2023.7.26[ 働き方用語辞典 ]
働き方用語辞典 「ダイナミックプライシング」


ダイナミックプライシング
商品やサービスの需要に応じて価格を調整すること
「ダイナミックプライシング」とは、チケットやサービスなどの価格設定が、時期や天候、人気や需要の増減を勘案し、変動する仕組みのことです。一般的に需要と価格は比例し、需要が高ければ価格が高くなります。
ダイナミックプライシングは、日本語では「変動価格制」や「動的価格設定」と呼ばれ、「dynamic・変動性のある・動的な」、「pricing・価格をつけること」を合わせた言葉です。
宿泊施設や航空券の価格が、夏休みや祝日など利用者の多い時期に上がるのもダイナミックプライシングのひとつです。他にも、コンサートや公演、スポーツ競技などのチケットなど、様々な業界でダイナミックプライシングが採用されています。
以前は、原価や売上、顧客動向などのデータをもとに人が価格を決めていましたが、近年ではデータのデジタル化やAI(人工知能)の活用によりダイナミックプライシングの採用が広まっています。
蓄積されたビッグデータをもとに、リソースや利益、変動費などを考慮したアルゴリズムを作ることで、精度の高い予測ができ、より正確なタイミングと価格でのダイナミックプライシングが可能となりました。
■ダイナミックプライシングのメリット
―企業にとって
- ・高需要時には販売価格を上げ、利益拡大が期待できる
- ・低需要時には販売価格を下げ、在庫や廃棄を減らすことができる
- ・繁忙期と閑散期の需要が平準化し、設備や人的リソースの最適化ができる
―消費者にとって
- ・通常よりリーズナブルな価格で購入できる
■ダイナミックプライシングのデメリット
―企業にとって
- ・システム構築のための投資コストや販売価格変更のコストがかかる
- ・価格変動に対し消費者が不満を抱き、購入率が下がる可能性がある
―消費者にとって
- ・高い販売価格で購入せざるを得なくなる
- ・値下がりを待ち、購入機会を逃すことがある
最近は、スポーツや旅行、レジャー業界以外に、身近なスーパーや飲食店、小売店などでも、タイムセールやハッピーアワーなどのダイナミックプライシングを導入するお店を目にすることができます。
ダイナミックプライシングを取り入れる際は、需要の予測や事業と消費者の相性なども重要ですが、競合の価格動向をしっかり把握し価格設定することで、顧客離れを防止し収益拡大につなげることができるでしょう。