2022.8.23[ WORK TRANSFORMATION ]
「STI値」に注目!本当に効果があるオフィスの「音」対策アイテム


オフィスのオープンスペースで、周囲の会話が気になったり、Web会議をする場所がなくて困ったことはありませんか?出社と在宅を取り入れたハイブリッドワークの浸透に伴い、働く環境やワークスタイルが多様化し、オフィスでの「音」に関する様々な問題が顕在化しています。「吸音」や「遮音」などの効果をうたう素材を使用したブースやパーティションなどの設置を検討する人も多いのではないでしょうか。
コクヨは、誰にとっても同じ目線で効果を評価できる数値指標として「STI値」に着目し、実際の商品の効果を測定しました。
オープンスペースで気になる、「音」環境

コロナ禍でハイブリッドワークが浸透し、働く環境やワークスタイルが多様化。オフィスの一角や自席などでオンライン会議に参加する際に気になるのが、「自分の声が周囲に迷惑をかけていないか」「周囲の音声をマイクが拾ってしまう」という「音」の心配です。コクヨがテレワーク経験のあるワーカーに行った調査*では、約65%の方が「オンライン会議用の遮音性の高いブースをオフィスに増やしたい」という結果が出ており、ワーカーが「音問題」に関して敏感になっていることが分かります。
*2021年11月テレワーク経験者300名を対象に実施
音問題への対策、効果はどうやって測る?
では、オープンスペースにおける音問題を解決するためにはどうすれば良いのでしょうか。まず、一般的に音問題への対策の指標とされるのが「ABCD」という4つの項目「吸音(Absorption)」「遮音(Block)」「暗騒音(Cover)」「距離(Distance)」です。吸音素材を用いた個室ブース(吸音)やパーティションの設置(遮音)、オフィスで流すBGMやサウンドマスキング(暗騒音)の使用などが、音問題の対策として行われます。

「吸音性能」や「遮音性能」が表すのは、素材の性能。
では、商品自体の効果を表すのは?
「吸音性能」や「遮音性能」という表記をよく見かけますが、これはその商品に使われている素材自体の性能を示し、実際の商品の形状を考慮しての「吸音」や「遮音」ではありません。また、実際のオフィスでは環境や使い方も様々です。その中において、果たして商品が効果を発揮できるのか、それをどのように測り、検証するのかは難しい課題でした。
そこでコクヨが着目したのは、音の明瞭度に関する数値「STI値」です。
音声の明瞭度を数値で比較「STI値」とは

「STI値(音声伝達指標)」は、音声の「明瞭度・聞き取りやすさ(≒聞き取りにくさ)」を0~1の数値で表した指標です。「音圧レベル」・「周囲騒音のレベル」・「残響時間」の3要素を総合的に数値化するもので、IEC(国際電気標準会議)により規格化されています。STI値が低い(明瞭度が低い)と聞こえにくい、高い(明瞭度が高い)と聞こえやすい、ということを表しています。
- ・STI値 0.2・・・集中していても聞き取れない
- ・STI値 0.5・・・集中すると聞き取れるが気にならない
- ・STI値 0.8・・・意識を向けなくてもはっきり聞き取れる
例えば、パーティションやブースを設置すると、どれくらい音の明瞭度が下がるか(=聞こえにくくなるか)といった体感的な効果を、STI値で比較できます。聞きなれない言葉ですが、身近な場面では、駅構内でのアナウンスの聞こえ方の評価などにも使用されています。
音が聞こえにくい範囲「サウンドソーシャルディスタンス」

周囲や自分の声が気になるオープンスペースにおいては、音が聞こえにくい(STI値が低い)=快適な環境といえます。コクヨでは、STI値が0.5になる範囲をワーカーのパフォーマンスを阻害しない範囲「サウンドソーシャルディスタンス」と定義して検証を実施しました。「ISO3382-3*」でも、STI値が0.5以下になると音による人への影響が小さくなると定義されています。
*ISOとは
ISO(国際標準化機構)は国際的な規格を制定する非政府組織で、ISOが制定した規格が「ISO規格」で、サービスや品質に関する国際的な基準とされています。
実際の商品「フォーレ」で検証、STI値の測定の一例
コクヨでは、実際の商品を用いたSTI値の測定・検証を進めています。オープンスペースの「音対策」として一般的なパネルやブースなどを使用し、音がどれくらいの距離まで影響するかを実験しました。今回は一例として、ブースシステムの「フォーレ」の測定結果をご紹介します。※フォーレ H1800(屋根なし)で検証。
「サウンドソーシャルディスタンス」を、見える化

ブースの音対策の程度(期待値)を円形のレーダーチャートにし、音が聞こえやすい範囲(STI値が0.5以上)を青色に着色することで、音の影響を見える化しました。青色の範囲が小さいほど、音漏れの影響範囲が狭く、音対策として有効であると言えます。

また、複数のチャートを組み合わせることで、最適なブース形状やレイアウトを知ることもできます。このように、個室ブースやパネルの「サウンドソーシャルディスタンス(STI値が0.5以上になる範囲)」が見える化され、より効果的で快適なオフィス環境のご提案ができるようになりました。
まとめ
それぞれの環境やオフィスに合わせた商品を選び、効果的な音対策をしていくことがワーカーの働きやすさに繋がります。記事で紹介した「フォーレ」以外にも「ブラケッツ」や「ワークポッド」などの商品について、STI値を用いた音対策の効果検証をしています。資料をご用意しておりますので、下記よりダウンロードいただきご覧ください。