2021.6.22[ WORK TRANSFORMATION ]

Well-Beingを超えた
「Better-Co-Being」な社会の実現を
~宮田 裕章 氏 インタビュー~

Well-Beingを超えた「Better-Co-Being」な社会の実現を~宮田 裕章 氏 インタビュー~ Well-Beingを超えた「Better-Co-Being」な社会の実現を~宮田 裕章 氏 インタビュー~

宮田 裕章 氏
慶應義塾大学 医学部 医療政策・管理学教室 教授
専門はデータサイエンス、科学方法論、Value Co-Creation。データサイエンスなどの科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くするための貢献を軸に研究活動を行う。専門医制度と連携したNational Clinical Database、LINEと厚労省の新型コロナ全国調査など、医学領域以外も含む様々な実践に取り組むと同時に、経団連や世界経済フォーラムと連携して新しい社会ビジョンを描く。

 

「科学的手法を用いて
社会をよりよくすること」
を軸に多様な活動に携わる

 私はデータサイエンスや科学方法論、精神医学、労働衛生などを専門としており、多様な領域の活動に携わっています。例えば2020年には、LINE×厚生労働省「新型コロナ対策のための全国調査」の分析に携わりました。また、専門医制度と連携して約500病院が参加する手術症例を蓄積したデータベース「NCD(National Clinical Database)」の開発・運営も行っています。さらに、2025年に開催予定の日本万国博覧会(大阪・関西万博)でテーマ事業プロデューサーを務めることも決まっています。

 これらすべての活動は、「科学的手法を用いて社会をよりよくすること」という軸に支えられて行っているものです。コロナ禍が始まった2020年以降、世界は著しい変化を遂げています。その中で、1分野を見ているだけでは未来が見えてこないと感じて、科学的なデータや統計の手法を使いながら、さまざまな分野の専門家や活動家の方々と一緒に未来を描き、今やるべきことに取り組んでいます。

 

一人ひとりがつながって
互いにWell-Beingをかなえる
「共鳴する社会」を目指す

「社会をよりよくすること」の中には、当然ながら人々の「Well-Being」という視点も含まれます。Well-Beingという概念は、ノーベル経済省学者のジョゼフ・ステグリッツらが提唱したものです。これまでの豊かさが「モノを所有すること」だったのに対して、これからは「一人ひとりが幸福に生きること」が豊かさのあり方だ、という主張です。

 ただし、コロナに象徴されるように、今は一人ひとりの行動が世界のあり方を決める時代です。個人が独りよがりのWell-Beingを築いても、周りがよい状態になければ持続可能とはいえません。一人ひとりがつながりながら互いにWell-Beingを実現し合う、いわば「共鳴する社会」を実現したいと考えています。人々が互いにつながり合いながらWell-Beingであり続ける状態を、私は「Better-Co-Being」と名付けています。

 

デジタルの可能性を
考え抜くことによって
Better-Co-Beingが実現する

 Better-Co-Beingな社会をつくるうえで、一人ひとりがどう働き、どう学び、どう遊び、何をどこで食べて、大切な人とどのように暮らすかは重要です。私は、Better-Co-Beingを実現するために、デジタルの力を活用するべきだと考えています。働くことに限って考えてみても、コロナ禍以降のテレワーク普及によって、デジタルはワーカーに欠かせないものとなっています。

 例えば会議に関して、この1年ほどでオンラインミーティングの割合が非常に高まりました。「移動時間をカットできる」「会議に伴うもろもろの"儀式"を省略できる」といったオンライン会議のメリットは、今や多くの人が認めるところでしょう。とは言え現状では、オンライン会議は対面で行う会議の代替手段としてしか使われていないように感じます。

 しかし、例えばアメリカではすでに、出席者が発言した内容が音声認識ソフトによって瞬時にテキスト化できるテクノロジーが開発されています。この技術を活用すれば、管理職の方は複数の会議にログインしてそれぞれの内容をチェックし、問題が起きそうな兆候をキャッチしたら調整に入る、といったマネジメントが実現します。つまりデジタルの活用によって、対面の会議では考えられなかった価値を付加できる可能性もあるのです。

 もちろん、顔を合わせての会議にも価値はあります。例えば私のオフィスは、「ここでは守りの言葉は言わずに攻めまくる」「ここではゆったり落ち着いてリラックスしながら話す」「ここでは相手をリスペクトして言葉を傾聴する」といったテーマごとに異なるしつらえをしたコーナーがいくつかあります。内容に応じてコーナーを変えることで、ミーティングがスムーズに進みやすくなります。空間デザインから何かを感じるだけでなく、同じ飲み物を味わったりして身体的な共通体験をもつことも、付加価値につながります。会議一つにしても選択肢が増えた今、私たちはそれぞれの仕事について「どのように働くか」を考え抜き、新しい価値を創造していくことが求められています。

 

コロナの影響を
受け止めるだけでなく
新たな価値創出のきっかけに

 コロナ禍は、私たちの生活や働き方を大きく変えました。しかし、コロナの影響を受け止めるだけでなく、そこから社会を転換させていくギアチェンジのきっかけにさせるべきだと私は考えています。ダイバーシティの尊重やインクルージョンといった価値づくりに向けて、ビジネスのあり方や国の仕組みそのものを大きく変える時が今なのです。

 私は「社会はどう変わるか?」という問いには1ミクロンも興味はありません。「どう変わるか?」ではなく「どう変えるか?」が重要だと思うからです。変化のきっかけが日本から生まれ、世界につながっていく流れをつくりたいという抱負を持っています。2020年に朝日新聞社が実施した調査の結果を見ても、国連が定めたSGDsの中で「すべての人に健康と福祉を」「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」といった項目に目を向ける人は増加しています。私自身も、今つながりのある方たちと一緒に、ギアチェンジを仕掛けていきたいと思います。

 

参考資料

【SDGs認知度調査 第6回報告】SDGs「聞いたことある」32.9% 過去最高
(2020.03.26 朝日新聞社)
https://miraimedia.asahi.com/sdgs_survey06/

今回は、宮田裕章氏のインタビューをご紹介させていただきました。

他にも20201年間のデータでの振り返りから、1stプレイス、2ndプレイス、3rdプレイス各企業の実例、感染症やワーク・エンゲイジメントなどの有識者へのインタビューなどをまとめ、様々な視点から熟考と判断を「WORK TRANSFORMTION vol.3」にまとめました。ぜひご一読いただき、これからのオフィスづくりご検討にお役立てください。

 下記の「ダウンロードボタン」よりダウンロードをお願いいたします。

  

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