2021.5.11[ 働き方 ]

立地と個室という強みを生かし、
「駅の中で仕事をする場所」を提供
~STATION WORK~

#ハイブリッドワーク #リモートワーク #事例

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立地と個室という強みを生かし、「駅の中で仕事をする場所」を提供~STATION WORK~ 立地と個室という強みを生かし、「駅の中で仕事をする場所」を提供~STATION WORK~

数あるシェアオフィスの中でも移動時間のロスが最小となる圧倒的な利便性を誇る、東日本旅客鉄道株式会社様(以下JR東日本)の手掛ける「STATION WORK」。駅構内にシェアオフィスを作ろうと考えた背景や、コロナを受けた利用の変化について、プロジェクト担当者にお話を伺いました。

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東日本旅客鉄道株式会社
事業創造本部 新事業・地域活性化部門 シェアオフィスPT
主席 中島 悠輝 様

STATION WORK
https://www.stationwork.jp/


――鉄道事業者であるJR東日本がシェアオフィス事業を始めたきっかけは?

当社のシェアオフィス事業「STATION WORK」の構想・立案、実証実験を始めたのが2018年の夏、サービスを開始したのが20198月です。当時はまだ、働き方改革の流れの中で一部のサービスが話題になり始めていたものの、「シェアオフィス」といった言葉が先行し、実態としての供給はまだまだこれからという時期でした。

働き方改革という文脈もさることながら、私が駅員として仕事をしていた頃に、駅の構内で電話をしながらメモを取っている姿や、ベンチで膝の上でラップトップパソコンを立ち上げて作業されている様子を非常によく目にしたという原体験があり、「駅の中で仕事をする場所」に対する潜在ニーズを感じていました。そこで、世の中の働き方改革の流れと駅員として見てきたお客様の潜在ニーズを感じた原体験を掛け合わせて、駅という場所を中心にシェアオフィス事業を立ち上げる必要性を感じて基本戦略を立てた、というのがきっかけです。


圧倒的利便性と個室ニーズへの対応 駅ナカにWeb会議に参加できる環境を提供

――「STATION WORK」の特徴や強みは?

STATION WORK」の強みは、主に2点あります。まず圧倒的な強みは立地です。すべての移動の拠点となる駅構内にあるという利便性は、やはり鉄道会社で運営する強みになっています。2点目は「個室性」です。コロナ禍を受けてWeb会議が増加し、「個室」のニーズが高まっていて、「STATION BOOTH」という電話ボックス型のワークスペースの利用増加につながっています。

もともとコワーキングスペースというと様々な企業の人が集って共有スペースでビジネスの共創が生まれたり、コラボレーションの創造といった効果を期待した設計がされていましたが、駅そのものが多種多様なお客様が混在している場所なので、むしろ「1人になれる場所」に価値があるのではないかという仮説を持ち、個室型のシェアオフィスをメインサービスとして展開することになりました。

一方で、ブース型はクイックに必要な作業をする場所として短時間でのご利用目的が多いのですが、もう少しゆっくり作業したいというニーズにお応えし、駅でも2~3時間は過ごしたいという方に向けて店舗型の「STATION DESK」という空間をご提供、さらに長時間のご利用にはホテルの個室をSTATION WORKとしてご利用いただくという風に、お客様のご利用ニーズ・利用時間に合わせて駅ナカまたは駅周辺といった好立地な場所に展開しています。

――コロナ禍を受けて変化を感じる点は?

利用実績を見ると変化していることが明らかなのですが、コロナ禍以前は、都心のブースやデスクが人気でした。都心を駆け回る営業担当者が、客先と客先の間に作業する場所としての利用シーンとして多かった印象で、当時の平均利用時間は60分未満でした。

それがコロナ禍以降、都心から30キロ圏内の郊外・準郊外での利用が増え、利用時間も7590分と増加しています。ユーザーアンケート結果を見るとビジネスユースが85%の中で利用目的の約半分がWeb会議を占めていて、160分のWeb会議に参加するために利用し、前後の入室準備や片付けを入れてのご利用、という活用シーンが見えてきます。

――そういった変化を受けて、「STATION WORK」として対応したことは?

もともとブースは防音性が高く、中の照明なども明るいなど、Web会議目的でのご利用に全く問題がないため、機能面で手を加えたことはないのですが、感染対策として抗菌・抗ウイルス剤を内面に塗布する、アルコール消毒剤や除菌シートを設置するなどウイルス対策の面では対応を付加しています。


今後はテレワーク主体になっていくそれを支えるのが我々シェアオフィス事業者

――コロナ禍を受けて、利用者される方に変化を感じる?

法人会員の傾向で申しますと、コロナ禍になってからは日系のメーカーやインフラ等の大企業様からのお問い合わせが増えてきており、テレワークが日本全体の働き方が変化してきているのだ、と実感しています。昨年4月の緊急事態宣言時には稼働が下がったものの、今年に入ってからの緊急事態宣言下では逆に稼働が非常に増えました。おそらく最初の緊急事態宣言では在宅ワークをしてみたものの、椅子や机が合わず体に負担がかかる、物理的な環境が整っていないなどの理由で自宅での仕事に限界を感じ、シェアオフィスやコワーキングスペースの利用に切り替えた方が多いのではないかと思います。

――今後のアフターコロナ時代に、この動きはどうなると見ている?

これまで週1の出社だったのが週2の出社になる程度の揺り戻しはあるにせよ、ワークスタイルの変化は元には戻らないと思っています。今後、オフィスの役割は「自宅やシェアオフィスでは代替できない機能を提供する場」として、主に次の3点を担うのではないかと思っています。1つ目は「チームミーティングや、情報共有・収集等の社内コミュニティを醸成する場」。2つ目は「メンタル・フィジカルを含めた社員のwellbeing(心身の健康)をサポートする場」。3つ目は「3Dプリンター等の高機能設備を提供する場」です。会社でのデスクワークをすることが減り、テレワーク主体になる、それを我々のようなシェアオフィス事業者が支えていくという社会構造になるのではないかと仮説を持っています。

――リアルのコミュニケーションは今後どうなる?

Web会議が普及するにつれて、リアルコミュニケーションの比率は下がり、だからこそリアルの価値が上がるだろうと考えています。例えばビジネス商談でいえば、従来何度も往訪して成約につなげていたものが、リアルの場は最終の商談のみになるかもしれません。リアルまでたどり着けるかがビジネスの成否を分けるようになると、少し逆説的な言い方になりますが、Webという制約条件のある中でいかに信頼関係を築けるかが、コミュニケーションの鍵になってくるかもしれない、と考えています。

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STATION BOOTH。人通りの多い駅構内で静かさとプライバシーが守れます。

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落ち着いた環境のSTATION DESK。いずれのタイプも抗菌・抗ウイルス剤塗布済み。

今回は、STATION WORK様の取り組みをご紹介させていただきました。

他にも20201年間のデータでの振り返りから、1stプレイス、2ndプレイス、3rdプレイス各企業の実例、感染症やワークエンゲイジメントなどの有識者へのインタビューなどをまとめ、様々な視点から熟考と判断を「WORK TRANSFORMTION vol.3」にまとめました。ぜひご一読いただき、これからのオフィスづくりご検討にお役立てください。

 下記の「ダウンロードボタン」よりダウンロードをお願いいたします。

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