2021.6.29[ 働き方 ]

これからの「働く」のあり方は社会課題、
戦略的な離合集散を目指して
~コクヨ株式会社 大田 豊 インタビュー~

#Covid-19対策

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これからの「働く」のあり方は社会課題、 戦略的な離合集散を目指して~コクヨ株式会社 大田 豊 インタビュー~ これからの「働く」のあり方は社会課題、 戦略的な離合集散を目指して~コクヨ株式会社 大田 豊 インタビュー~

大田 豊
コクヨ株式会社 執行役員ファニチャー事業本部長
1988年、コクヨ株式会社に入社。オフィス家具の営業担当や同社の100周年プロジェクトの担当を経て、2002年に上海に赴任、文具・オフィス家具の中国事業を推進。2012年からは日本のオフィス家具営業部門に戻り、20204月よりコクヨ株式会社執行役員ファニチャー事業本部長に就任。

コロナ禍による「強制力」が
働き方改革の流れを急激に推進

 コクヨのファニチャー事業本部は、お客様と共にお客様にとって最適な働き方を考え、その働き方にあったオフィスを作るお手伝いを長年続けてきました。今回の新型コロナ感染拡大によって企業や官公庁に突きつけられた、ニューノーマルな働き方を模索しなければならないという課題に対してのソリューションを出していくことは私たちの使命だと考えています。

 2013年頃より女性活躍推進、その後一億総活躍へと政府の指針が出され「働き方改革」として長時間労働の是正のため、多くの企業で時間と場所の制約から解放された働き方の導入が検討されてきました。その一つとして在宅勤務制度が挙げられます。これにより育児や介護など時間制約のある人たちが活躍する機会が与えられましたが、この制度を広く全社員を対象にしていくことは、これまではマネジメントの難しさやセキュリティへの不安が障害となってなかなか受け入れられていませんでした。ところが新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言発出で状況は一変しました。半ば強制的な在宅勤務経験を通じて多くの企業やワーカーが在宅勤務のよさに気づいたのです。通勤地獄から解放され、かつ通勤時間に充てられていた時間を有効に活用できます。さらにフレックスタイム制度が導入されている場合は、育児や介護、家事などに充てる時間と働く時間を自由に組み立てることが今まで以上に行いやすくなりました。また、一人で作業するため、集中度が増し、効率がアップするといった実感も得ているようです。他に、在宅勤務により可処分時間が増えたため、弊社では副業を開始したという例が出始めています。

 

働く場所が分散することは必至
では、どのような働き方で競争力を引き上げるか

一方、経営の視点で考えるとどうでしょうか。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発出される状況においては、政府や自治体の要請に従い、在宅勤務を継続してただただ嵐が過ぎ去るのを待つしかありません。しかしながら多くの経営者はガラガラのオフィスを見て「これで本当に競争力を維持できているのだろうか?」との不安を感じているようです。ただ「ワクチン接種の拡大によってコロナの脅威が収束したとしても、働き方を元に戻すことはしない」とみなさんコメントされていますので、今後も働く場所が分散することは間違いなさそうです。ならば分散するなかでどのような働き方をすることで企業としての競争力を持とうとするのでしょうか。どのような仕事をオフィスで行い、どのような仕事を自宅やその他の場所で行えばよいのでしょうか。そしてどのような空間を用意すればよいのでしょうか。

 

競争力を維持するためには、仕事を分類し、
意思を持って働き方を選択していく必要がある

イノベーションを競争力の源泉とするGAFAMなどのBig Tech企業はこれまで、広大な低層のオフィスに朝昼晩の食事を提供するカフェテリアやジム、託児所を設置することでワーカーがオフィスで多くの時間を過ごしたくなる理由をひとつずつ増やしてきました。自社の競争力を決定する価値は唯一イノベーションであり、その創造性はオフィスで発生する様々なコミュニケーションのなかから生まれると考えているからです。さすがに新型コロナ感染拡大局面では在宅勤務を徹底しましたが、ここにきていよいよBack to Officeを開始しているようです。

 では私たち日本企業はどのようにして競争力を維持するのでしょうか。競争力を維持・向上させるという観点では、分散して好きな場所で働ける環境や制度を整えるだけでは意味がありません。在宅勤務の方が効率や競争力が上がる仕事もあり、オフィスで集まって取り組まないと成果が出ない仕事も当然あります。どのような働き方、どのような分散の仕方が最も企業の競争力を向上させるために効果的なのかを見極めなければなりません。分散することを完全に社員個人に委ねるのではなく、部門や階層などを踏まえて在宅向きの仕事なのかオフィス向きの仕事なのかを分類し、意思を持って選択する必要があります。

 

まずは自分たちで実証実験することで、競争力を持つための
働き方とその中でのオフィスの役割・機能を定義づけていく

 私たちコクヨはまずは自分たちでその解を求めようとしています。2021年2月にオープンした東京品川の拠点、"THE CAMPUS"は壮大な実験場という位置づけです。私たちはここで実験・実践を繰り返し、競争力のある働き方とその中でのオフィスの役割、機能を定義づけていきます。そのうえで、オフィスで行うべき業務のパフォーマンスを引き上げるオフィスをもう一度構築します。従来は「みんながオフィスにいる」ことを前提としたオペレーションが組まれていましたが、今後は「みんながオフィスにいる訳ではない」ことが前提です。このような環境でどのようにして創造性を高めるのか、どんなオフィスでどうやって働くのかを考えていく必要があります。

 またオフィスに人を集める以上、当面は感染症への十分な対策が不可欠です。分散によるメンタルヘルスへの懸念点もあります。毎日会える訳ではないなかでどのようにしてWELL-BEINGな状態を作るのか、オフィスにどのような役割を持たせることができるのか、他にも今後バーチャルをリアルに近づける技術はどこまで実現できるのかなど、アフターコロナ時代のニューノーマルな、より良い、より強い働き方を実験・実践を繰り返すことによって構築していきたいと考えています。そしてそのプロセスを多くのお客様と共有し、お客様の競争力あるニューノーマルな働き方を一緒に考え、一緒に実現していきたいと望んでいます。これからのコクヨのチャレンジに是非ご期待ください。

今回は、コクヨ株式会社大田 豊のインタビューをご紹介させていただきました。

他にも20201年間のデータでの振り返りから、1stプレイス、2ndプレイス、3rdプレイス各企業の実例、感染症やワーク・エンゲイジメントなどの有識者へのインタビューなどをまとめ、様々な視点から熟考と判断を「WORK TRANSFORMTION vol.3」にまとめました。ぜひご一読いただき、これからのオフィスづくりご検討にお役立てください。

 

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