2021.5.26[ オフィス空間 ]

多様な働く場と感染防止対策を実現し
働き方の変革を促す営業拠点オフィス
~ 株式会社ニチレイフーズ 中部支社~

#Covid-19対策 #事例

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多様な働く場と感染防止対策を実現し働き方の変革を促す営業拠点オフィス~ 株式会社ニチレイフーズ 中部支社~ 多様な働く場と感染防止対策を実現し働き方の変革を促す営業拠点オフィス~ 株式会社ニチレイフーズ 中部支社~

株式会社ニチレイフーズは、家庭用・業務用の冷凍食品やレトルト食品などの製造・販売を手がけ、「冷凍食品のパイオニア企業」として知られています。同社の中部支社では2020年6月からオフィスのリニューアル計画を練り始め、2021年2月末から新しいオフィスで働き始めています。多くの企業がコロナ禍の影響を受けた2020年、どのような思いからリニューアルを計画し、どこに注力して新オフィスを構築していったのでしょうか。そして、社員の働き方はどう変化したのか?総務グループのリーダーである金森雅俊様とマネジャーの武富春生様に伺いました。

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総務グループ
グループリーダー 金森雅俊様
マネジャー 武富春生様
(写真右から)

――コロナを受けて、働き方で変化したことは?

金森:2020年2月からは、全社的な方針としてテレワークが強く推奨されるようになりました。そこで中部支社でも、全社員が在宅勤務できる体制をつくる必要がありました。中部支社のオフィスでは、営業部門と私たちのようなサポート部門(総務グループ)の社員が仕事をしています。業務用の営業担当者は、お客様先でメニュー提案などを行うため、業務用調理機材で調理したものを持参することが必要です。しかし、自宅にはその調理設備や大量のサンプルを保管する冷凍庫がありませんので、お客様のところへ向かう前に会社に立ち寄り、テストキッチンを使って調理しなければなりません。ですから完全に在宅勤務に切り替えることは難しいですが、オフィスで過ごす時間を極力短くすることが求められるようになりました。

武富:テレワークを行う社員が増えたことによって、WEB会議にも取り組むようになりました。当初はおそるおそる行っていましたが、コミュニケーションの技術もしだいに身につき、物事に一つずつ結論を出していけるようになりました。ただ、出社している社員とテレワーク中の社員がWEB会議を行うようになると、「オフィスだと周りが気になって会議に集中できない」という声も上がってきましたね。


部署をまたいだコミュニケーションとメリハリのある働き方を
実現するためのリニューアル

――オフィスのリニューアルにあたって、働き方をどう変えようとした?

武富:実はコロナ禍以前から、働き方に関して感じていた課題がありました。それは、「部署をまたいだコミュニケーションが少ない」ということです。営業部門には複数の部署があり、いずれの部署でも共通のお客様とお付き合いがあります。ですから、普段から情報共有をひんぱんに行っていれば、お客様の要望にスピーディーにお答えしたり、ニーズに合うご提案をできるなどさまざまなメリットがあるはずだと感じました。

金森:コミュニケーションが少ない原因は、オフィスのしつらえにも一因があると考えていました。私たちのオフィスは、長らく部署ごとにデスクを並べた、いわゆる「対向島型」レイアウトを採用してきました。しかも固定席なので、部署を超えた交流がとりづらかったのです。オープンミーティング室が1か所しかなかったので打ち合わせのたびに、別フロアの会議室に出向いていました。また、フロアには執務デスクとミーティングスペースしかないので、少し気分転換がしたいと思っても自席でぼんやりするしかなく、窮屈さを感じました。集中する時間とリフレッシュする時間をしっかり分けて、メリハリのある働き方を実現したいと考えました。


――リニューアルにおけるポイントは?

金森:部署をまたいだやりとりがしやすいよう、フリーアドレスを採用することを決めたので、コミュニケーションが取りやすいデスク配置を意識しました。配置を変えるだけではなく固定化しない様に運用のルールを明確化しています。例えば、週2回、リーダーが   固まって座る席を指定し、リーダー同士のコミュニケーションだけでなく、そこに相談に来たメンバーとの交流も図りやすくなることで、部門間の壁を取り払いコミュニケーションの向上に繋げています。また、1つのフロアの中に、ほどよく集中しながらコミュニケーションもとれるエリア、リフレッシュできるエリア、周りを気にせずにWEBミーティングや集中作業ができるエリアを共存させたいと考えました。その際に重要なのは、エリアごとに異なる雰囲気をつくることでした。いくらコミュニケーションのできるカウンターや個室ブース、ミーティングテーブルやモニターなどをそれぞれのエリアに設けても、雰囲気がどこも同じでは気分が切り替わりませんから。とはいえ、パーティションを置くほどのスペース的余裕はないので、同じ空間の中でエリアの雰囲気を差別化することが、今回のリニューアルにおける大きなポイントでした。

武富:特にリフレッシュエリアのつくりかたは重要でしたね。ほかのエリアと異なるレンガ風の壁紙を貼って、リラックスできる雰囲気を演出しました。エリアのカウンターにPCを置いて作業をすることも可能なのですが、このコーナーにいると周りが「あの人は、今はリラックスモードなんだな」とおもんばかるので、しっかり仕事というよりはちょっとした相談で声をかけることが多いようです。

金森:もちろん、感染予防対策も重要でした。対向島型のレイアウトでは、社員同士が対面することになり、感染リスクが高まります。そこで、デスクを卍型に置くことで対面を避け、スペース効率を追求しつつ、フィジカルディスタンスを確保しました。今後働き方が変わったとしても、並べ方を変えればすぐに対応できるフレキシビリティも魅力です。

金森:今までの対向島型とはまったく違う卍型にデスクを配置することで、「今までと発想を変えて、よりクリエイティブに仕事をしていこう」というメッセージを打ち出すことができたと自負しています。


コロナ禍の以前からテレワーク態勢を整えていたため
最小限の設備投資で対応できた

――コロナ禍をきっかけに、変更した制度やルールは?

金森:オフィスのリニューアル以降は、営業部門の社員は基本的に自席を持たず、どこに座ってもよいフリーアドレスを採用しています。自由に席を選べるようになってから、部署を超えたやりとりは確実に増えてきていますね。

武富:働き方に関しては、スケジューラーに予定を入れるだけでテレワークが可能な体制をつくりました。社員に1台ずつ貸与しているスマートフォンを使えばすぐ入力できるので、現在はテレワーク利用者がかなり増え、出社率は5割程度になっています。テレワークでできる仕事は在宅で行い、オフィスに短時間だけ立ち寄る社員が多いですね。


――ICTで新たに導入したモノ・コトは?

武富:もともと社員にスマートフォンを貸与してあるので、オフィスの外からでも行動予定や商談日報を入力したり、WEB会議に参加したりすることは可能でした。ただ、自宅にWi-Fi環境が整っていない社員には、Wi-Fi機器を新たに購入・貸与しました。

金森:数年前からの働き方改革の流れを受けて、希望すればすぐテレワークができる環境は整えていました。ですから、コロナ禍だからといって急に大きな設備投資をする必要はありませんでした。


――新型コロナウイルスの感染予防対策として行っていることは?

武富:デスクの置き方を卍型に変えて社員同士が向き合わないようにし、感染リスクを減らしています。それぞれのデスクには、飛沫感染防止対策としてアクリルパネルを設置しています。また、オフィスの入り口には、消毒用アルコールと検温器を設けています。

金森:今回のリニューアルをきっかけにフリーアドレスを実現できたのはよかったのですが、誰がどの時間にオフィスにいたかが把握しにくくなったのも事実です。そこで、会議の出席者や日時、そのとき同じ空間にいた社員などを記録できるスマートフォンのアプリを導入しました。万一のことが起こったときには、その場に誰がいたかを追跡・特定し、すぐに対応をとることができる態勢を整えています。


デジタルをさらに活用してFAXや捺印のための出社を減らしたい

――今後、コロナが収束したとして、働き方はどう変化する?

金森:全社的に、現在テレワーク率7割を目指しています。もちろん中部支社でもその目標に合わせて、オフィスでなくてもできることは極力テレワークで行うことを推奨していきます。テレワークを行う社員が増えたことで、フレキシブルな働き方ができるようになった実感もあります。例えば会議などは、WEB会議が主流になったことで「関係者全員がオフィスに集まらなければならない」という縛りがなくなり、それぞれが都合のいい場所から参加できるようになりました。テレワークをきっかけに取り入れた便利なワークスタイルは、今後も続けていきます。

武富:テレワークを推進していく際にネックとなりそうなのがFAXの送受信です。お客様の中には、サンプルの受発注にFAXをご利用なさっている会社様もあります。社員の自宅にはFAXがない場合が多いので、現状では送受信のためにオフィスに立ち寄らなければなりません。しかし今後は、PCのアプリを活用して自宅からFAXを送受信できる態勢を整えていきたいと考えています。文書への捺印もそうですね。それぞれの場所から関係者が承認の捺印を行えるよう、オンライン化を進めていきます。

金森:コロナ禍が治まっても、出社と在宅勤務を組み合わせて働くスタイルは推進したいです。リニューアルによって部署をまたいだコミュニケーションもできるようになったので、オフィスで顔を合わせる時間は短くても、ますます実のあるやりとりが実現することを期待しています。

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卍型に配置した座席で対面を避けるようにしています。将来的なレイアウト変更のしやすさも視野に入れています。

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座席やミーティング席には、使った場所を登録するためのQRコードを貼付。

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周りを気にせずWEB会議や集中作業をしたいときに使える個室ブース。

 
L21040035_02.jpg周りを気にせずWEB会議や集中作業をしたいときに使える個室ブース。

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壁際には、天板の角度を変えられて作業者の首に負担がかからないデスクを置き、社員の健康に配慮。

今回は、株式会社ニチレイフーズ様の取り組みをご紹介させていただきました。

他にも20201年間のデータでの振り返りから、1stプレイス、2ndプレイス、3rdプレイス各企業の実例、感染症やワークエンゲイジメントなどの有識者へのインタビューなどをまとめ、様々な視点から熟考と判断を「WORK TRANSFORMTION vol.3」にまとめました。ぜひご一読いただき、これからのオフィスづくりご検討にお役立てください。

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