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COLUMN

オフィス防災サークル【巻頭号】いまこそ始めたい「その日へのソナエ」

<始めるなら今日!?楽しく備える防災力アップのコツとは>

こんにちは!GOOD WORK DAYS.編集部です。最近、なんだか災害のニュースが増えてきましたよね。皆さんは身の回りの防災対策はされてますか?

9月1日は「防災の日」。ということで、自宅でもオフィスでも役立つ情報をお届けしていきたいと思います。災害はいつどこでやってくるかわかりませんが「備えあれば憂いなし」。「個人による防災力アップ」の重要性や、「楽しく始めて、続けられる」ようにするにはどうすればよいのか?コクヨで防災事業を立ち上げた酒井さんと相田さんに、お話しをうかがってみました!

コクヨ株式会社 防災ソリューション部  左:酒井 希望さん 右:相田 勇輝さん

【目次】

    オフィスの防災グッズ、「S席」の置き場所とは?

    ーそもそもなぜ、オフィスの防災事業を始めたのですか?
    酒井:1995年の阪神淡路大震災以降、企業でも防災の業務が定着し始め、お客様から相談されるようになりました。
    当時被災したコクヨ社員もいたそうですが、社内からも防災事業の可能性が検討されていたようです。

    ーたしかに、、身近に被災した人がいると切迫感ありますね...

    酒井:私は神戸出身で10代の時に震災を経験しました。2006年入社当初は文房具の営業をしていたのですが、被災当時のリアルな状況をお客さんに話したり困りごとを聞いているうちに、防災用品を自分で探して提案していくようになりました。

    ▲およそ500点ある防災用品の中の「非常用品セット」。いまでは商品数も増えてカタログに整理されていますが、最初はひとりでコツコツ仕入先を探して提案していたそう。

    ーオフィスの防災って「水や食糧」などの備蓄がまっさきに思い浮かびますが、それだけではないんですか?

    酒井:食糧などの備蓄は地震発生後しばらく時間が経過してから必要になるものですよね。いっぽうで「避難・救助・ケガの応急処置」や「オフィスから自宅への帰宅時」に必要になるものもあります。時間軸で考えてどのタイミングで何が必要になるのか?準備しておく必要があるんですよ。

    ↑災害時の時系列の対策フロー

    ーなるほど。ヘルメットやケガの応急処置はそれこそ社員が真っ先に取り出して使えないといけませんよね。

    酒井:そうなんです。備蓄品の導入期は「何をどれだけ買ったら良いか?」といった悩みが多かったのですが、2011年の東日本大震災以降、「災害時に実際に使えるのか?」といった有事の有効性も大事になってきました。「いよいよ自分ごとになってきた」という実感も広がってきましたし、「帰宅困難」という言葉もこの頃から聞くようになりました。最近は首都圏でも南海トラフや直下型地震について報道されるようになってきましたし。

    ーコクヨの品川SSTオフィスでは、DAYS OFFICEを使って社員が見えるところに置いてますね。

    酒井:はい、ウォールシェルフの下段に置いてます。ふつうは「収納庫の下段」って取り出しづらいため、ライブ会場でたとえるなら「B席」扱いです。ですが、普段から社員の目に触れるオープンな場所に置いてもらえるというのは「防災用品にとってはS席」なんです(笑)。 オフィスの防災をワーカーに伝えるといった点からも実は「見せる防災」は効果的で、導線的にも意図的に社員が目にする場所に置いてるんですよ。

    ▲「見せる防災」。オフィスでは保管庫の中身を知らない社員がほとんど。いざという時に必要なものをすぐに取り出して使えるようにしておくことも重要だそう。

    ー置き場所って大事なんですね!そう言われてみると、オフィスの保管庫にどんな防災用品がしまってあるか、まったく意識してませんでした...

    相田:私たちはふだん自分の仕事のことで頭がいっぱいですから、防災について無関心なのはある意味仕方ないですね。いっぽうで最近では働き方改革や新型コロナの影響もあって、在宅勤務やリモートワークで「オフィスにいない」ことも増えています。総務主体の防災対策というのに限界を感じている防災担当者も多いのが実情です。
    だからこそ、企業が取り組んでいる「オフィスの防災」を、ワーカーに伝えることがいっそう重要になってきていると思います。いわゆる「個人の防災力」向上のためにも、お役に立てればと思っています。

    防災ワークショップに参加して得られる気づき

    ー企業への備蓄プランニング以外に何か活動されているんですか?

    相田:「オフィス防災LAB.」というのを立ち上げ、オフィス防災実験(被災シミュレーション)をしています。実際にライフラインの停止したオフィスで一夜を過ごしてみたり、、
    そこで得た気づきを社内外に還元しようということで、「ワークショップ」なども定期的に開催しています。

    ー具体的にどんなことをするんですか?

    相田:例えばこんなことをやっています。①災害時3日間の献立を考えてみる ②簡易トイレを使ってみる ③徒歩帰宅シミュレーションをしてみる

    ▲非常食選びは意見がなかなかまとまらないことも多いとか!?

    ー参加した人たちはどんな気づきがありましたか?

    相田:まず、「災害時に実際に食べるシーンを考えて非常食を選ばないといけない」ということですね。ニオイやゴミの問題なども考慮しておく必要がある、ということです。カタログを見て選ぶだけではどうしても価格や味の好みで選んでしまいがちになります。あとは簡易トイレの凝固剤って本当に固まるの?とか。初めての体験だから、最初はみんな半信半疑なんですよ。

    ー面白そうですね。ちょっと参加してみたくなりました。

    相田:あいにくコロナウィルスの影響でワークショップは提供できていないのですが、これまでとは別のかたちで実施できないか?検討しています。

    ーそのほかにも、ユーザーさんからの意見や、なにか行動が変わった例とかありませんか?

    酒井:「防災」という言葉は、固定観念として「楽しんではいけない、真剣にやらないといけない?」というイメージがあるかもしれません。しかし「楽しんでやるということが効果的、防災意識の向上になる」と、まずは考えが変わられます。義務感だけでは続かないですし、社員へ浸透しにくいですよね。エンタメ感覚で楽しんでもらうと良いと思います。

    酒井:私たちが提案している内容は↓こちらにもありますので良かったら参考にしてみてください。

    備蓄で個人防災力を底上げ。「ローリング・ストック」って?

    ーさきほど「個人の防災力」という言葉がありましたが、私にも何かできることがありますか?

    相田:在宅勤務やテレワークが増えてくると、災害時に総務(防災担当者)が不在ということもありえます。そんな時、そこに居合わせた社員のみで対応できるためには、さきほどお話したように"体験する"ということが一番有効なんです。

    とはいえ昨今はワークショップも難しいのが実情ですので、備蓄品を「実際に使ってみる」ことをオススメします。被災時の状況を想像するだけでなく、防災用品を購入したらすぐに試してみて「使い方にちょっとコツがいる...」とか「意外とカンタンで便利!」みたいなことを把握しておくと、パニックになりませんよ。

    ▲簡易トイレの使い方を試してみる社員(水を使って試します)


    ーたしかに自宅での備蓄も準備したいですが、何から揃えたらよいですか?

    相田:まずは無理なくできることから始めるのが良いと思います。例えば、水やお菓子、トイレットペーパーなど日常で使うものを普段から多めにストックしておくことで、災害時の備蓄となります。 長期保存のものではなく、普段から使うものをローリングストックするのがおすすめです。多めに買っても古いものから使えば、無駄になりません。

    なるほど、それなら今日からすぐにできそうです!多めに購入しておくことを「ローリングストック」っていうんですね。なんか、ローリング・ストーンズみたいな響きでカッコいいですね!

    相田:ははは笑、面白い。でも海外では通じないようで、和製英語っぽいですよ。

    ―エッ、そうなんですか?一瞬、「イギリス人が考案した?」とか思ってしまったんですが...笑

    相田:それくらい「地震国家」の日本では防災対策が必要ということでしょう。

    ー他にもオススメはありませんか?

    相田:実はローリングストックできないものがあるのですが、何だと思います?「簡易トイレ」です。スーパーやコンビニでもほとんど見かけず、災害直後は手に入りません。簡易トイレは備蓄品として準備しておくことをおすすめします。

    ▲簡易トイレには、液体もかためて捨てられる「凝固剤」が入ってます。

    ーたしかに、、水が止まってしまったらトイレはすぐに困りますもんね。あまり想像したくないですが...さっそく注文して使ってみます!

    相田:水は飲用だけでなく、調理・応急処置など多用途に使える貴重な資源です。代替手段で済ませられることは、備蓄品を買い置きしておきましょう。簡易トイレはニオイ問題も軽減できたり、クルマで遠出する時にも携行できますしね。

    ーありがとうございました!

    キャンプにも。日常使いできるグッズで個人防災を

    ーちなみに最近キャンプをする人が増えているように思うんですが、家でもふだんから使えて防災に役立つものがあれば教えてもらえませんか?

    相田:良い質問ですね。例えば自宅のキッチンはガスコンロを使ってますか?

    ーうちのキッチンは据え付けのIHタイプなんです。とくに困ってないですが。

    相田:それならカセットコンロはどうですか?停電になった時でも、調理やお湯が沸かせるというのは役立ちます。登山をする人は小型・軽量で持ち運びしやすいタイプを持っていると思いますが、キッチンにガスコンロがある人でも、イザという時に役立ちます。ガスのインフラ復旧は水道や電気と比べて日数がかかるケースもありましたし。

    電気グリルと比べてカセットコンロの利点は、家族で鍋物や焼き肉をしたりする時に「コードレス」で卓上の取り回しも便利な点です。自宅メインで使う人であれば、家庭用のカセットボンベ式でよいでしょう。登山用のガスボンベと比べて組み立て不要で安定感もあり、安価に手に入りますしね。普段から活用するためには、「面倒くさくない」というのも大事なポイントです。

    ▲家庭用カセットコンロ。収納や持ち運びを考えると、立てておける「キャリングケース付」がオススメです。屋外に持ち出す時も、持ち手があると便利。ちなみに冬の屋外など寒い場所で使う場合は、低温対応ガスボンベを用意しておくとさらに安心です。

    ーありがとうございます!なんかアウトドアでも使いたくなってきました〜。

    酒井:調理道具やキャンプ用品のように普段から使っているものであれば、有事にもすぐに使いこなせますよね。自宅や仕事中に被災した場合にも即役立ちます。ボンベ1本で何分くらい持つのか?とか、日頃から使っていればストックの量も見当がつきますから。

    ー酒井さん、相田さん、今回はありがとうございました!これからもよろしくお願いします。

    編集後記 by GOOD WORK DAYS. 編集部

    防災対策の巻頭号、いかがでしたか?防災について行動するキッカケになれば嬉しいです。これからも楽しく備えるためのコツやグッズをご紹介していきますので、皆さんも試してみてくださいね!

    (おわり)

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