テレワーク導入ステップ①
目的の明確化・現状調査

第2回:目的の明確化が欠かせない理由とは?

テレワーク導入に向けた最初のステップである「目的の明確化」と、テレワーク導入が自社にとって有益かどうかを判断するための現状調査について解説します。

テレワーク導入において「目的の明確化」が欠かせない理由は?

――テレワークの検討から導入までの流れで、最初に「目的の明確化」を行うことは不可欠だと言われます。そもそも目的の明確化とは、どのようなことを指すのですか?

目的の明確化とは、「テレワーク導入によって実現したい具体像を決めること」です。いわば、企業として「あるべき姿」を描くわけです。例えば「移動を減らし業務効率を上げる」「ファシリティコストを削減する」「従業員の満足度を高める」といった内容が考えられます。

――なぜ、あるべき姿を描くことが必要なのでしょうか?

あるべき姿を明確化しておかなければ、テレワーク導入を進めるときに、「どの部署を対象にするか」「どんなICTツールやインフラを準備するか」「労務管理規則をどう変えるか」といった具体的な施策が決まらないからです。テレワークの環境構築や運用ルールは、導入の目的次第で変わってきます。テレワーク制度を導入する企業は年々増えていますが、「導入したものの利用者が少ない」というケースも少なくありません。その一因は、「テレワーク導入によって何を目指すか」が漠然としていることにあります。

「目的の明確化」のためにやるべきことは?

――目的の明確化に向けて、どこから始めればよいですか?

まずは社長などにインタビューを行い、「テレワークによってどんな効果を期待するか」を明確化しましょう。テレワークをはじめ働き方を変える取り組みは、最上位にある方針を理解することから始めなければ、その後の具体的な施策が迷子になってしまいます。ですからテレワーク導入に向けて、トップへのインタビューは行うべきことの筆頭に挙げられます。

――ほかにやるべきことはありますか?

あるべき姿を達成するための手段としてテレワークが適切か、自分たちの業務や企業文化と合っているかなどを検証するための「現状調査」が必要です。また、テレワーク導入を推進するためのプロジェクトチームを早い段階で立ち上げることも、行うべきことの一つです。

――プロジェクトチームのメンバーには、どんな人を選んだらいいですか?

あるべき姿を描くことによって、どの部署の従業員がチームに関わるべきかが見えてきます。なかでも、総務・人事や情報システム、労働組合のメンバーは必須と考えていただきたいです。チームメンバーがテレワーク導入の目的を正確に理解し、初期段階から関わっていくことで、現状調査においても的確かつ効果的な調査を行うことができます。

現状調査では何を、どのようにリサーチすればよい?

――現状調査では、どのようなことを調査するのですか?

テレワーク導入の目的次第で何を調査すべきかも異なりますが、欠かせないのは、部門長・従業員へのインタビューやアンケートにより業務の特性を洗い出すことです。部署別にどんな業務を手がけているかを可視化し、テレワークを適用できるか判断していくわけです。同じ部署の中でもテレワークに向く業務とそうでない業務が混在するので、調査によって一通りピックアップします。

――テレワークに向く業務・向かない業務はどのように判断するのですか?

データ入力や資料作成といった場所を選ばない傾向にあるソロワークは、テレワークに向いた業務であるといえます。一方で、チームで行う仕事だとテレワーク導入のハードルは少し上がり、テレビ会議システムなど、スムーズなコミュニケーションを実現するための仕組みを整える必要があります。さらに、オフィスでないと利用できないツールを使う業務や、工場・実験室などでの業務は、テレワークで行うことは難しいといえます。

――テレワークで行えない業務がある場合、テレワーク導入は取りやめにすべきですか?

全従業員がまったく同じ業務に取り組む企業は少ないので、一部の部署や特定の業務を対象にする方針で、引き続き検討することが一般的です。

――その他、現状調査としてやっておくべきことはありますか?

従業員同士がどのようなシーンで、どんなツールを使ってコミュニケーションをしているのかも調査したいところです。その結果によって、運用ルールや揃えるべきツールも変わります。さらに、現状どれだけICTツールが揃っているか、どんな通信環境が整っているかについても、コストに関わってくる部分であるため調査項目に加えた方がよいでしょう。

このコラムのまとめ
  • テレワーク導入の目的を明確にしておくことで、運用ルールや揃えるツール類、環境構築のあり方などが具体的に決まってくる。
  • 目的の明確化に向けて、まずはトップが「企業としてあるべき姿」を描き、テレワークの必要性を強力に訴えることが大切。導入に向けた現状調査や、テレワーク導入を推進するチームメンバーの選定も、プロジェクトの初期段階で行いたい。
  • 現状調査では、テレワークが適用できるかを判断するために、部署別の業務内容を可視化することが重要。従業員同士のコミュニケーションの取り方や、現段階で整っているICTツールや通信環境も把握しておく。
吉田大地(Yoshida Daichi)

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント
ITコンサルタントとして、ITをベースに複数のクライアント企業の課題解決を手掛ける。現在はワークスタイルコンサルタントとして、空間、働き方の両面から、働く人1人ひとりの感性を刺激し、創造性を発揮するオフィス環境の構築を支援中。働く人の能力を発揮させ、互いの知識・情報を共有し、交流を活性化させるオフィス環境の実現をサポート。

2019.12.16
作成/コクヨ

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