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本選びから見える、未来の潮流。【後編】-青山ブックセンター・ブックコンサルタントインタビュー

こんにちは!GOOD WORK DAYS.編集部です。今回は、前回に続き青山ブックセンターさんの、ブックコンサルタント佐野さん・須藤さんにお話をお聞きしました。膨大な本から見えてくる未来の潮流は一体どんなものなんでしょうか?白熱の前半もどうぞ!

PROFILE(写真右から)
佐野正樹さん:ブックオフコーポレーション株式会社 新刊複合事業部 新刊グループ統括エリアマネージャー
須藤夕香さん:ブックオフコーポレーション株式会社 新刊複合事業部 青山ブックセンター 外商

【目次】

    ブックコンサルタント流、本の「把握術」!

    ーすごい気になることがあって...。ご提案する本って全部読んでるんですか?

    佐野:ふふふ(笑)全部読んでる...といいたいところなんですが、お恥ずかしながら、全部は読めていないんですよ(笑)

    ーそうですよね(笑)ちょっと安心しました。この膨大な量...!読んでたら超人ですよね。

    佐野:前編でもお話しした通り、やはりデータと社内の本に対する知識のナレッジを活用することで、適切な本を選んでいます。

    須藤:どちらかというと、ざっくりでも「どんな本か」を知っていることがすごく大事なんですよ。

    佐野:それにはコツがあって。帯・目次、あとははじめと、あとがきを読むことで、大枠どんな本なのか、ということをつかんでいます。

    ーそれは、なんだかいいことを聞いたような気がしますね(笑)立ち読みに使えそうな...(笑)

    須藤:(笑)

    みんなで「育てる」本棚

    ー「納品後の運用」もサービスの一環で行なっているとお聞きしました。

    佐野:ランニングサービスを提供しています。納品した最初って「景色」として書棚がドドーンと見える化するので、すごい喜んで貰えるんですね。

    ー特にオフィスとかだと「なんかすごい自由なイメージに変わった!」って感じですよね。

    佐野:最初はそうなんですが、本屋さんでも、ずーっと同じ本だけある本屋さんはあまり魅力がないですよね。それと一緒でほったらかしにしておくと「風景」になってしまうんですよ。

    ー「景色」ではなく「風景」に。

    佐野:そうです。風景になるって「素通りされている」ことでもあるんですよね。使われなくなってしまう。だから、私たちは、定期的に新しい本をプラスするランニングサービスをおすすめしています。利用状況やリクエストを元に、利用者様のニーズにすり合わせていけるんです。利用者の皆さんに、よりマッチしたラインナップになります。「皆様と一緒に成長する本棚」と考えていただければ嬉しいです。

    ー「運用」されるといっても、本棚のスペースには限界がありませんか?

    佐野:それは、すべてのクライアントから、ほぼ100%いただく質問ですね(笑)「絶対」とは言えませんが、私たちが運用する中で、本棚がパツパツになるクライアントはまだいません。レイアウトの工夫で素敵に運用していけます

    須藤:どうしても心配なお客様のためのサービスもご用意しています。ライブラリースペースにリサイクルボックスを設置させていただき、不要な本を買い取り、NPO法人など社会貢献活動への寄付ができるんです。

    ーそれは、素晴らしいですね!

    本から見える、時代の潮流。未来の潮流。

    ー企業様との取り組みが増えてきたとお聞きしたんですが、なにか導入事例から、現在の「潮流」みたいなものが見えてきたりするものですか?

    佐野:お答えになっているかわかりませんが、一般的な企業様からは、「クリエイティブなものやアイデア、発想を学ぶ本が欲しい」というリクエストが多いです。

    須藤:増えてますよね。教養として「アートやデザインを学びたい」という声。

    佐野:逆にクリエイティブを手がけるような企業様からは、「一般的なビジネス知識や教養が学びたいから、ビジネス書籍を揃えたい」とオーダーをいただきます。

    ーそれは、なんだかすごく面白い傾向ですね。なんとなくなんですけど、「ビジネス書籍」ってジャンルが近年すごく広がりを見せているように思います。

    佐野:それは、すごくあると思います。時代の流れや世相が本の売れ行きに表れます。そういったものをすごく身近に感じて働いてきました。
    例えば、1980年代は人文・思想・哲学書...吉本隆明さんに代表されるような作家の作品がすごく売れていて、時代を象徴していました。

    須藤:いわゆるニューアカデミズムと言われるような動きですよね。

    佐野:そのあとの90年代には、写真集・アートブック、それからデザインを取り扱った書籍の時代。00年代はインテリアやファッションの本...いわゆるライフスタイル本の時代だったんですね。それが10年代に入ってからは、完全にビジネス本が主役の時代だったと思います。

    ーすごく興味深いですね。でも、なんでビジネスなんでしょうね?

    須藤:んー。これは私的な意見ですけど、特に現在は、先行きが不安な時代だからでしょうか

    佐野:それは、僕も本当にそうだと思います。例えば近年話題の『ファクトフルネス』とか『サピエンス全史』とかも、少し前までは、統計学だとか哲学・歴史の本として取り扱われてたと思います。でも、今はビジネス書籍の一環としても売れているんですよね。

    ー先行きの不安を学びで解消しようとしている?

    佐野:そうですね。リーマンショックなどでも、ビジネスが一度不安な状況になったと思うんですね。そこで、世界中がビジネスを再度学び出した。そうすると、ある程度同じようなビジネス知識を持った上で、競争優位性を保とうとして、様々なジャンルを取り込み出したんじゃないかと思います。

    ージャンルレスなものをビジネスで語る時代になってきている。

    佐野:80年代じゃないですけど、哲学だとか人文、あとは古典回帰みたいな流れが、うっすらとですが出てきていると思います。2020年代は、そういう時代になるかもしれませんね。

    まずは試したい、オフィスの本棚を素敵に見せる、3つのコツ

    ーちょっとここでお聞きしたいのですが、実際に企業でも本棚を持ってたりするじゃないですか。ブックコンサルタントさんにお願いする前に、自分たちでもすぐに真似できるようなコツがあったら教えてください!

    佐野:まずは、本ってプロダクトでもあるし、装丁家さんやデザイナーさんがとても丁寧に作っているモノなので、表紙を前に向けて並べてみるといいです。

    佐野:2つ目のコツは、本だけでなく、オブジェも絡めてみること

    須藤:DAYS OFFICEの棚は、オブジェと本を置くのにすごく向いていますよね。向こうが見えるみたいな抜け感と軽やかさ・カジュアルさがすごくいいなって思います。

    ▲OFFICE DAYSのシェルフ。小物・雑貨と書籍が映える抜け感を意識して作られています。

    ーありがとうございます!

    須藤:3つ目は、今ある本をきちんと整理するっていうことです。きっと並べ方をちょっと工夫したり、本を綺麗にしてあげるだけで良く見えると思うんです。

    ー愛情を持って接するということですね!

    佐野:その通りです。なによりも大前提として...本が好きであることが重要です(笑)普段本を読まないって方も、少しでいいから本が好きになってから取り組んでいただきたいです。

    ー好きこそものの上手なれってやつですね!ありがとうございます。

    本好きが選ぶ、今読んで欲しい本とは...

    ーちょっと個人的なことをお聞きするのですが、お二方がそれぞれに注目している本やジャンルってあるんですか?

    須藤:私は今、言葉の時代なんじゃないかなって思っていて、戦時中に書かれた『夜と霧』ですとか、幡野広志さんの本とかを読んでいると、考え方や物事の見方を含めた言葉の本質が伝わってくるように思います。でも今日一番オススメしたいのは、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』です。なんていうか、身近な世界から、世界中がつながっていると思わせてくれる作品ですごく面白かったです。

    佐野:実は...かぶりました(笑)。僕も同じ本を持ってきました。最近多様性って言われますが、日本人て単一民族なので「多様性」がこれまであまりリアルではなかったと思うんです。でもブレイディさんの話に出てくる海外の様子は、普通に毎日の生活の中に差別がある。それにどんな風に対処して、どんな風に子供に伝えるか、そのヒントが書いてある。これからの日本が見習うべき姿勢がたくさんあると思ったんです。

    ー二人ともおすすめ!これは、読んでみないとですね。

    佐野:僕も今は言葉の時代だと思っていて特にSNSライクな、短い文章で伝えることに、すごく興味があって短歌とか詩に注目しています。特に個人的に好きなのは最果タヒさんの『きみの言い訳は最高の芸術』ですね。あとは、タイトルが面白くて、わかりやすいもの。『だから僕はググらない』とか、なんだかすごく意思を感じて、読みたくなる本に注目しています。

    ーありがとうございます!

    働くこと。オフィスのこと

    ー最後に、お二方にとって「仕事」そして「オフィス」ってどんなものですか?

    須藤:仕事って、普通だったら会えないような企業の方に会えたり、全然知らなかったことを学べるっていう素晴らしい機会をもらえるものなんですよね。そして、オフィスはなんだかんだで起きている時間の半分くらいを過ごす場所です。だからこそ、周りの人を大事に過ごすための場所でありたいと思います

    佐野:シンプルに「やりがい」ですね。今は仕事が本当に素直にやりがいと言える時代になったことが、働いていてとても嬉しいです。実は、ほんの2年前くらいまで、オフィスでご導入いただいても、本の利用率がすごく低かったんです。「本を読んでいるとさぼっている」というような風潮がまだまだあって。そういう社会の風潮が少しずつ変わってきて、今はすごく未来に希望があるような雰囲気もあるのかなって思います。

    ーそれは、本を売っていても感じることですか?

    佐野:そうですね。未来を予測する本なども数多く出ていますし、ゆるやかに時代は変化しています。これからも、素敵な本を色々な場所に紹介していければいいなと思います。

    編集後記 by GOOD WORK DAYS. 編集部

    まずは、お二人とも「本」を心から好きなんだな...というのが言葉の端々から伝わってくるインタビューでした。とてもアナログな「プロダクト」でもある本は、アナログなコミュニケーションを結びつけるのにとても向いているツールなのかもしれませんね!

    DAYS OFFICEでも、オプションサービスとして、青山ブックセンターさんとご一緒に本のご提案をさせていただいています。ぜひ、ご活用ください!

    (おわり)

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