インタビュー
埼玉県 総務部 管財課
——— 事業の立ち上げ背景と目的を教えてください
これからの庁舎に求められるのは執務+αの機能で、職員の「ウェルビーイング」も実現する
埼玉県庁では平成30年頃から執務環境の改善に取り組んでおり、ABWができる執務室やワークラウンジの整備を継続してきました。今回の改修で新しく着目したのは、職員の「ウェルビーイング」です。
リフレッシュ、リラックス、リチャージを意識した場所づくりがコンセプト。これまでの庁舎にはなかった仕事の緊張感を解くようなリフレッシュできる空間や、新しいチャレンジ、自己表現ができる場所を目指しました。これまでは業務時間内に自席を離れて「気分を切り替える」ことに抵抗感がありました。空間の改修を通じて職員の働き方や意識改革を進めたいという想いがあります。
——— 今回改修したリフレッシュルームと会議室について教えてください
「可変性」と「ナチュラルな透明感」にこだわったリフレッシュルーム
リフレッシュスペースは、フェーズフリーの考え方を取り入れた空間づくりも意識しました。リフレッシュルームの窓際にある「畳の小上がり」は自慢ポイントの一つです。普段は職員がリラックスする場所ですが、災害時にはそのまま仮眠スペースとしてトランスフォーム(変形)できるようになっています。
レイアウトが変えられる畳の小上がり
また、以前の休養室は「入りづらい」という声がありました。そこで、廊下との仕切りをガラスにして、絶妙な「透明感のあるフィルム」を採用しました。中の様子がほどよく見えることで、心理的なハードルを下げて入りやすくしています。あえて大型モニターなどは置かず、カフェのような雰囲気でメールチェックやちょっとした調整に使える、リフレッシュできる空間にこだわりました。
人の顔の判別が難しい「透明感のあるフィルム」を採用
従来型の会議スペースを職員のニーズに応える、新たな「ハイブリットスペース」へ
このスペースは、もともと音楽室だったのですが、以前はアルミの間仕切りで、音漏れの不安があり、電源設備やモニターもなくアナログな空間でした。今回の改修では、廊下と会議室の間仕切りにはスチールパーティションに吸音材を入れて音漏れ対策をしながらも、会議室内は人数や会議内容に応じてフレキシブルに使用できるようカーテンで仕切れるようにしました。
音漏れの心配はありましたが、スチールパーティションでは部屋の大きさが決まってしまうことと、完全に遮音できるわけではないことから可変性を優先させました。日中の業務時間は人数や会議形式に応じて柔軟に使えますし、休日や業務時間後はサークル活動(ピアノやギターなど)の場として、これまで通り活用できます。DXが進んだ今の働き方に合わせて、電源やモニターもしっかり整備しました。
カーテンで仕切られた可変性のある会議室
——— 改修の効果と今後の目指す姿を教えてください
働き方改革が職員の意識を変える
ABWを取り入れ始めたことで、働く場所が変わるだけでなく、職員のマインドも少しずつ変わり始めていると感じます。庁内ではフリーアドレス化が広がってきており、業務内容や気分に合わせてこうしたリフレッシュスペースで仕事をするという働き方が徐々に浸透してきています。
また、アンケート結果からも職員の意識に変化が起きていることが分かります。リフレッシュルームができた当初は「場所の使い方がわからない」という戸惑いの声もありましたが、活用方法の動画を作って周知したり、室内の照明や緑化などの工夫により明るい雰囲気にしたりと、小さな改善を続けています。その効果もあり、ABWにいち早く適応した職員たちがリピーターとなり徐々に利用の輪が広がっています。
目指すは「県民サービス」への還元
最終的な目的は、質の高い県民サービスを提供することです。働き方やオフィス環境を見直し、職員が生き生きと健康的に働けるようになれば、生産性が向上し、その成果を質の高い行政サービスとして県民の皆様に還元できると考えています。
コクヨ担当者
2018年からの庁内リニューアル支援に続き、2025年度はワークエンゲージメントのさらなる向上を目指した事業を支援させていただきました。
全職員が利用できる会議室とリフレッシュルームの構築では、将来の県庁再整備を見据え、「可変性」と「柔軟性」を重視。職員の皆様が自らトライアルがしやすい空間を意識しました。
ハード面の整備に加え、広報支援や「カイゼン委員会」の実施や庁内広報動画の作成支援にも注力いたしました。
特にカイゼン委員会でのプロセスは、皆様と意見を出し合いながら場を創り上げていく非常に高揚感のある楽しい時間となりました。
この事業が、職員の皆様にとって心身ともに健やかに過ごせる基盤となり、埼玉県庁のさらなる発展に寄与することを願っております。
コクヨ
篠田 美玖