現役チームリーダーの「マネジメント」に迫る ニューノーマル時代のチームマネジメント#2

  • 公開日2025/10/20(月)
  • TEAMUSコラム編集部

VUCAと呼ばれる予測困難な時代において、ビジネスの最前線で奮闘するリーダーたちは、どのようにチームをマネジメントしているのでしょうか。巷にはさまざまなマネジメント論が溢れていますが、多くは遠い存在の「超有名リーダー」について語られたものです。そこで、身近なリーダーのリアルな声から、そのチームマネジメントの秘訣をインタビューを通じて探ります。
今回は、営業チームを率いるリーダー、関氏の「チームマネジメント論」に迫ります。


コクヨ株式会社 法人営業部 グループリーダー 関 貴幸
2006年にコクヨに入社し、約20年ワークプレイス事業の法人営業に携わる。約10年弱リーダー経験があり、現在も営業グループを牽引している。

■現在のチームについてお聞かせください。

私のチームは、営業を全員実施していて、50歳前後のベテラン数名と20代後半若手数名で構成されています。年齢層が大きく二極化した特徴があるチームです。

 

早速ですが、チーム運営で大切にしている事を教えてください。

私がチーム運営で最も大切にしている、そして「ぶれない軸」としているのが、聖徳太子の言葉に由来する「和を以て尊しとなす」です。「和」は、決して「仲良しクラブ」を作ることではありません。年功序列や経験に関係なく、メンバー一人ひとりを人間としてリスペクトし、一方的な指示ではなくフラットで対等な姿勢で接することだと考えています。上司として指示を出す際も、受け手に対して敬意を払うことを重視しています。年齢層が二極化しているという特徴のあるチームにおいて、相手を尊重することを大切にしています。チーム発足時は勿論ですが、新メンバーが入る際には、必ずこの言葉を共有し、形骸化させないよう継続的に伝えています。

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チームスローガン「しなやかに、したたかに」

実はさらにチーム研修の機会があり、チームメンバーと一緒にこの「和」を土台に考えた現代版の表現、チームスローガンがあります。「しなやかにしたたかに」です。これは、営業という仕事だからこそなのですが、営業として「負けない強さ」は必要としながらも、ゴリ押しではなく、柔軟性(しなやかさ)と戦略性(したたかさ)をバランス良く使いこなすことを大切にしたい想いを込めています。変化の激しい現代ビジネスにおけるバランス感覚をチームに根付かせたいためです。これらの言葉、チームスローガンをベースに、メンバー各自が自走できると良いと思っています。

■メンバーが自走する状態について教えてください。

「自分の意思を持って仕事をしている状態」こそが、自走だと私の中では定義しています。

何か相談事があった際のことを少し想像してください。理想の相談パターンは、「困った、どうしたらいいですか」ではなく、「こうしたいと思うがどうか」「ここが原因でつまずいているがアドバイスがほしい」等、メンバー自身が一度考えた上で質問してくれる状態です。


自走を促すため”放置でない伴走”

この自走を促すための「伴走」は、四六時中一緒にいることではないと思っています。まずは「どうしたいのか」を問いかけることを習慣化し、上記の例もそうですがメンバー自らに判断を委ねるようにしています。成長段階に応じて適切な距離感を保ち、必要なときに上司としてサポートに回る、「放置ではない伴走」です。若手には成長につながる仕事の渡し方を意識し、ベテランには若手の手本となる役割を期待するなど、一人ひとりの成長を意識したキャリア開発を行っています。

■コミュニケーションの工夫を教えてください。

年齢層の幅も広く、それぞれ担当するお客様も異なる中、コミュニケーションの工夫は何かされていますか?

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ハイブリッドワークが進む中で、チームミーティングは、極力対面のリアル参加を推奨し、私自身も出社時間をできるだけ長くし、対面でのコミュニケーションをとりやすくするようにしています。

営業という職種なので、メンバーそれぞれ別のお客様先に訪問するため、チームでリアルなコミュニケーションをとることが難しいところがあります。ただ、訪問先への移動中に業務以外の雑談をするなど、短時間でもコミュニケーションの機会を見つけ大切にしています。リアルな対話が減るからこそ、コミュニケーションの質を担保するための工夫も必要だと思っています。例えば、小さな事でも感謝の気持ちを「やってくれてありがとう」とSlack(チャットツール)で積極的に伝えたり、相手のメッセージにスタンプを押す、オンライン会議でもカメラはオンにし相手の顔を見て話すなど便利なツールも活用しています。

■チームマネジメントの成功体験

スローガン、コミュニケーションの工夫もされていますが、これまで何かチームマネジメントの成功体験はありますか?

チームをマネジメントしてきて、大きな成功体験と感じたというか、嬉しかったことがあります。昨年秋、私が休暇中を取っていた際に、メンバーが自主的にリードしてくれ意見をまとめるなど、ある大きな仕事の対応をやり遂げてくれたことです。この経験は、文字にするとすごくシンプルですが、自走できるチームを感じられた瞬間であり、メンバーと共に様々な工夫を繰り返してきて良かったと思えたとても良い機会でした。

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次は戦略的なチーム運営

まだまだ周りの先輩リーダー、マネージャーと日々会話していると自分も進化が必要だと思っています。今後は、よりチームの生産性向上や戦略的なチーム運営を目指し、チームメンバーと共に今までのベースを大切にしつつ、次のステップを目指していけたらと思っています。営業は、日々案件を実施する際にプロジェクトリーダーを任される機会があります。チームメンバーも日々のそのようなリーダーであることの経験を意識させ、将来的には全員リーダーになってほしいですし、よりお互いを高めあえるような存在でいたいなと思います。



編集後記

今回のインタビューを通じて、チームの軸(スローガン)を共有し、それを日々の小さな経験を通じて実践していくことが、「自走するチーム」を築くための足がかりになることが見えてきました。ハイブリッドワークなどで対面での機会が少ないチームをリードする方にとって、多くの具体的な学びがあったのではないでしょうか。

このコラムは、今後も様々なリーダーにインタビューを続けていきたいと思います。

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