

エンゲージメントサーベイは本来、ワーカーの意欲や働きがい、上司やチームとの信頼関係や貢献実感などを把握し、よりよいチーム作りに活かすものであるはずです。しかし、サーベイで「高スコア」を出すことが目的化してしまうケースを目にしたことはありませんか?
例えば、マネージャー会議でサーベイ結果をにらみながら「この数字がなぜこんなに低いのか」「どうしていくつもりなんだ」と詰問され原因追及が始まってしまう。そうなると、リーダーも防衛的な姿勢になってしまいます。その結果、サーベイの前になるとメンバーの顔色を伺って急に1on1を設定したり、「スコアが低いと自分が責められる」とメンバーにこぼしてしまうなど、本質的ではない振る舞いが出てしまってもおかしくありません。
「ある指標が目標になると、その時点でその指標は“良い指標”ではなくなる」というグッドハートの法則 ※1 にもあるように、スコアを上げることを目的にしてしまうと、本質から遠ざかってしまいます。
※1:グッドハートの法則(Goodhart's Law):「ある指標が目標になると、その指標は良い指標ではなくなる」という1975年にチャールズ・グッドハートが提唱した法則。数値目標を重視するあまり、本来の目的ではなく「数字を上げること」自体が目的化し、指標の有効性が失われる現象を指す。
一方チームメンバーであるワーカーも、「スコアがマネージャーの評価につながる」と感じてしまうと、無意識に影響を受けて現状を正当に評価できなくなる場合も。実際に、コクヨが実施したアンケート調査の結果から、サーベイに本音で回答できていないワーカーが一定数いることがわかっています。その理由として、「自分の印象が悪くなる」「人事評価への影響」「個人が特定される不安」などの懸念があるようです。
このようにワーカーが本音で回答ができなければ、実施の意味が薄れてサーベイが形骸化してしまいかねません。正しく組織の「現在地」を知るためには、匿名性の担保や実施の目的、結果の活かし方の明示など、不安を抱かずに回答できるように設計されていることが前提と言えそうです。


エンゲージメントサーベイは、「評価(通信簿)」ではなく、チームの現状を把握するための「健康診断」。スコアの良し悪しでジャッジするのではなく、現在のチームの状態を正しく理解し、改善点を話し合ったり、強みを共有したりするために活用することが大切です。つまり、サーベイは実施して終わりではなく、結果が出てからがスタート。その際、リーダーや個人の評価ではなく、個人の集まりである“チームの現状”として共有することが重要です。
個人が感じていることとチームの認識にはギャップがある場合もあります。例えば、リーダーはもっとチーム内で活発な意見交換をしてほしいと思っていても、若手は「周りの先輩が忙しそうで声をかけづらい」と感じていた、という事例がありました。こうした行動の背景やチームが大切にしたい価値観がわかれば、具体的なアクションプランも自然と見えてきます。
このようにチームメンバー個々の価値観や役割認識、行動の背景などを伝え合い、相互理解を深られることにこそ、サーベイを実施する意義があるといえます。
ただ、リーダーに任せてスコアだけを渡しても、リーダーは結果をどう扱えばいいのかわからず、触れづらい項目は流されて放置されたり、無難なまとめで終わってしまう場合も。リーダーがどう結果を共有し、対話を始めればいいのかのガイダンスや、チームの状態として集計され、スコアの背景にある行動や関係性を読み解ける設問設計である必要があります。

サーベイを最大限に生かすためは、結果をもとに対話を重ね、チームのめざすゴールや実現したいことを共有することが大切です。
例えば、
・自分とチームの感じ方にギャップがあり、驚いた項目は?
・結果から見えてきた、チームの強みは? その強みをゴールの達成にどう活かせそう?
・チームのゴールを実現するために、自分はどんな貢献ができそう?
このようなテーマで話し合う場を持つことで、初めて相手の視点や価値観を知れることもあるはずです。お互いの違い、またその違いの背景にある考え方を知っていくことで、ゆくゆくはチーム内で健全な意見交換や議論ができるようになります。こうした対話のプロセスそのものがエンゲージメントや心理的安全性を育んでいくはずです。
サーベイは使い方次第で、本来の目的と逆行した結果にも、チームの心理的安全性を育むことにもなり得ます。スコアを「評価する道具」ではなく、チームの「現在地を共有するための指標」と考え、サーベイをチームの現状を語る共通言語として、メンバー全員で対話するために活用したいもの。
コクヨの組織成長ソリューション「TEAMUS」は、チームの「これから」を描くために、メンバー一人ひとりの心の内を引き出す対話を支援する仕掛けをたくさんご用意しています。
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