

カウネット株式会社
(写真左から)
MD本部 本部長 赤坂 真吾様
MD本部 MD3部 部長 本澤 真悠子様
CXデザイン本部 本部長 上山 哲史様
「お客様の立場で考え お客様の役に立つ」を経営理念に掲げ、購買管理システムおよびEコマースサービスを提供する株式会社カウネット。数十万規模のエンドユーザーとの接点から働く環境における困りごとを拾い上げ、BtoB領域に特化したプライベートブランド「カウコレ」の開発に力を入れています。
同社で取り扱う商品全般の施策推進や「カウコレ」の企画開発等を担うMD(マーチャンダイジング)本部は、およそ80名、複数の部門からなる組織です。変化の激しい市場のなかで、特定のスタープレーヤーに頼るのではなく、一人ひとりが自律的に価値を生み出す組織を目指してきました。その理想に向けた一環として活用が始まったのが、コクヨ株式会社の組織成長ソリューション「TEAMUS(チームアス)」です。
「TEAMコンディション サーベイ」でチームの状態を可視化した結果、チームコンディションの数値が特に良好だったMD3部では、サーベイの結果をもとにメンバー同士が対話する「MEMBER インサイト」と、ビジネスコーチによるリーダーに向けた伴走のプログラム「LEADERコーチング」へと踏み込みました。部署の良い状態をさらに伸ばし、そのエッセンスを部門全体へ広げていくことが狙いです。
今回は、MD本部長の赤坂様、MD3部の本澤様、そしてCXデザイン本部長の上山様に、取り組みの背景と、半年間のコーチングを経てチームに生まれた変化についてお話をうかがいました。
1.個の自律を、チームの力に。変化の激しい市場で、MD本部が人の育成を最重点に置く理由とは
—— MD本部全体では、部長の皆さんにどのように成長してほしいと考えているのでしょうか。
赤坂 様:私はMD本部の本部長として、マーチャンダイジングの戦略構築と実行、そして組織のマネジメント全般に携わっています。流通小売業として創業から四半世紀が経ちましたが、国際情勢の変動やテクノロジーの進化など、ここ数年は特に時流の変化がとても激しいと感じています。毎年立てている事業計画も、1年前のものから大きく変わることも珍しくありません。
これだけ流動的な局面では、スタープレーヤーの能力を企業成長のよりどころにするのではなく、社員一人ひとりが自律性を持って価値創造や課題意識に取り組んでいくプロセスが重要です。個々人の課題認識力が集合知になれば、特定の人材に偏らずに組織として戦略を実行できます。
MD本部のマネジメント陣は、ビジョンメイクや結果責任といった素養では期待以上のパフォーマンスを出してくれています。ただ、マネジメント陣の能力が上がることと、組織が強くなることは、必ずしも一致するとは限りません。個人の能力ばかりに頼っていては、組織として永続的なアウトプット向上にはつながらないからです。
—— CXデザイン本部は、今回の取り組みにどのような立場で関わられたのでしょうか。
上山 様:私が本部長を務めるCXデザイン本部は、カウネットの顧客体験を上げていくことをミッションにしています。ただ、顧客体験が向上しても、そのあいだに立つ社員や協力会社さんなどに過度な負担をかけては、持続可能な経営は実現しません。
そのため、「全ての働く人のCX向上」をスローガンに、社員の働きやすさもCXデザイン本部の大事なミッションの一つに入っています。たとえば残業が多いという課題にも、ただ「業務時間を減らせ」と言うのではなく、根本の原因を探って改善していきます。今回のTEAMUSの取り組みも、社員の働きやすさにいかにつなげていくかという観点から検討し、推進しました。
2.毎月のサーベイは根づいていた一方で、足りなかったのは数字の先にある一手
—— TEAMUSの活用が始まる前、社内でのサーベイはどのように運用されていたのでしょうか。
赤坂 様:TEAMUSの導入前から、他社のサーベイツールで月ごとに定点観測として調査していました。部門、グループ、個人まで、どこのコンディションが良いか悪いかを組織として判断できるようになっています。部内ごと、グループごとに数値を比較できるため、「なぜこういう数値が出たのか、思い当たるところは?」など、個別の課題に応じて調査結果を活用していました。
上山 様:一方で、それだけだとチームビルディングという観点では難しかったですね。あくまで個人のステータスがどうであるか、ということなので。チームにおける個々の関係性までを可視化しつつ、改善策まで踏み込めるサービスは魅力的に感じました。
—— すでに他社のサーベイを実施されている状態で、TEAMUSにはどのような違いを感じていましたか。
上山 様:以前から導入しているサーベイは、調査用のツールとしての活用に留まっていました。昨今よく聞かれるようになった「サーベイ疲れ」を示す具体的な発言こそありませんが、「サーベイに協力して、具体的には何をしてくれるの?」という思いは、社員も抱えていたと思います。それも毎月という頻度で実施しているので、何かしらのメリットを提示し、施策につなげていかねばという思いを持っていました。
本澤 様:以前から導入しているサーベイツールの場合、画面上にさまざまなヒントや解説こそ表示されますが、自分たちで読み解いて課題を見つけないといけません。一方でTEAMUSの場合、ビジネスコーチといった担当者の方から第三者視点のアドバイスをいただくことで、自分でも見つけられなかった気づきを得られる点が、一番の違いです。サーベイツールの数値を読み解くのが得意なTEAMUSの担当の方から、「〇〇の数値が出たのは、どういう理由からだと思いますか」と問いかけてもらえることで、自分自身の力で気づくことができます。
3.状態の良いチームをさらに伸ばし、将来的には社内展開も。仲が良いチームだからこそ、言いにくい本音を
—— MD本部の各部がサーベイを実施したなかで、MEMBER インサイトとLEADERコーチングの対象にMD3部が選ばれた背景をお聞かせください。
赤坂 様:初回のサーベイの結果を確認したところ、MD3部はチームとしてとても良い状態で、特にチーム力が強かったのです。部長である本澤はモチベーターとしての素養がとても高く、「なぜこれをやらなければいけないのか」「どこをゴールにするのか」「それぞれのメンバーがどう動かなければいけないのか」と、チームのメンバーに向けて道理をもって説明することが得意です。
部長それぞれに独自のマネジメントの型を持ってはいますが、成功例の共有を受ける機会は限られています。そこで、MD3部にはどんな成功モデルがあったのかを可視化し、MD本部全体に広げていきたいと考えたのです。
—— 本澤様は、この機会を提案されたときどのように受け止められましたか。
本澤 様:私が担当するMD3部は日用品と飲料食品のカテゴリーで、各仕入れ先様との売り上げ拡大に向けた取り組みがメインの業務です。部長は4年目で、現在10名弱の組織となっています。
チームのメンバーは年齢層がとても近いことからプライベートな話を相談しやすく、とても仲が良いのが特徴です。そのため、これまでのサーベイ結果も良好そのものでした。しかし仲が良いからこそ、なかなか組織長である私には言えないこともあるのではと感じたのです。そのため、マネージャー不在の場で、メンバーだけで会話できるMEMBER インサイトはぜひ受けてみたいと感じました。
4.メンバーの声から生まれた共有の場。半年に一度の振り返りが、毎週の習慣になるまで
—— MEMBER インサイトは、MD3部の社員にとってどのような時間でしたか。
本澤 様:初回のMEMBER インサイトでは、対面で研修とセッションを実施しました。その後に課された宿題をこなしつつ、最後はオンラインで研修とセッションを実施しました。具体的には、サーベイの結果をもとにチームコンディションの状況と一人ひとりの役割、そしてMD3部をどんな組織にしていきたいかを話し合っています。
ファシリテーターの盛り上げ方がとても上手で、「なぜMEMBER インサイトをやるべきなのか」「会社からどんな期待がされているのか」を話していただき、自然とメンバー同士の会話が生まれたと聞いています。上司である私がその場に入ってしまうと、メンバーは評価に関わるのではないかと考えてしまい、なかなか本音で話せません。しかし客観的な立場からMEMBER インサイトを実施いただき、盛り上げていただいたおかげで、自分たちのチームをよりよくするためにすべきことを考えることができたと思います。
—— MEMBER インサイトの結果は、その後どのようにチームの動きにつながっていきましたか。
本澤 様:MEMBER インサイトで出た意見のひとつに「自分たちがどのような取り組みをしているかをグループ内でシェアし、メンバー同士で気づきを共有する場が欲しい」という提案がありました。
さっそくその意見を取り入れ、まずは1年間の取り組みを一人3分でプレゼンし、相互にフィードバックする場を設けました。集まったフィードバックは私が集約し、一人ひとりへのメッセージカードにして送っています。今年からは、毎週の部のミーティングにメンバー持ち回りで発表の時間を設け、半期に一度フィードバックを行う形にしました。チーム内からフィードバックを受けられることで、年次に関係なく、自分の業務が誰かの役に立っているという実感を得られることもポイントだと考えています。
5.知識ではなく、内省を得る時間。半年のコーチングが導いた、チームとの新しい関わり方
—— 半年間のLEADERコーチングは、実際どのような時間でしたか。印象に残っているやりとりがあれば教えてください。
本澤 様:コーチングを受けるのは今回が初めてだったため、当初は当時進めていた研修のプレゼン内容に対する指摘事項やフィードバックをもらおうと準備していました。しかし初回セッションを通じて、コーチングはコンサルティングとは異なり、業務上の知識や具体的なアドバイスを授かる場ではないのだと理解しました。マネジメントやチームに関する悩みの壁打ち役となっていただき、内省を通じて自分自身で答えを導き出す場なのだと気づかされたのです。
それ以降のセッションでは、サーベイの結果をベースに進めました。チームのある指標が落ち込んだ際には、「なぜこのタイミングでこの数値なのか」「背景にはどんな要因がありそうか」とコーチから的確な問いかけをいただき、考えを深めていきました。時にはチームメンバー一人ひとりとの関係性や、今後メンバーにマネジメント経験を積ませる上での私のフォローのあり方など、現場の具体的な課題から長期的な人材育成にまで踏み込んで伴走していただきました。この客観的な問いかけによって、マネージャーとしての思考の深さや行動の引き出しが確実に広がったと感じています。
半年のコーチングを経て強く実感したのは、マネージャーにとってのコーチという存在の貴重さです。社内の人事評価とは一切関係がなく、利害関係も存在しない。そして当然ながら機密保持が担保されているからこそ、どんなことでも安心して本音で打ち明け、細部まで壁打ちを重ねながら内省を深めることができました。この経験は私にとって非常にありがたいものでした。
なお、初回にコミュニケーションスタイルとして「厳しく指摘するタイプ」か「優しく受け止めるタイプ」かを選択できたのですが、後者を選んだことも大きかったと感じています。否定されずに受け止めてもらえる安心感があったからこそ、自身の自己肯定感が高まり、前向きな気持ちでマネジメントに向き合うことができました。
—— コーチングを通じて、ご自身のマネジメントに芽生えた変化があれば教えてください。
本澤 様:コーチングではさまざまな気づきがありましたが、チームのコンディションや組織運営の課題には区切りがないことを改めて実感しました。個人もチームも、業務についてはいつまでに目標数値を達成する、課題を解決する、といった締め切りがありますが、組織自体の場合は課題同士が関連しあい、つながっています。だからこそ、今回のコーチングのように定期的に内省する機会を設け、継続的に課題解決に向き合っていくことが重要だと感じました。
コーチングで得られたヒントは、グループリーダーやメンバーとの1on1でも共有しながら会話していました。教わった「組織の成功循環モデル」の考え方やコミュニケーションの技法を、それぞれ柔軟に受け入れて活用してくれたと感じています。メンバー一人ひとりの状況や仕事の仕方に合わせた伴走の進め方も、コーチングの相談テーマにしていました。
メンバーは個々のスキルもモチベーションも高く、個人としての課題はありませんでした。だからこそ私自身は、メンバーに任せるために「引く」ことを意識し、社内で表に立つ機会を増やすようにしていました。
6.挑戦が当たり前のチームに。サーベイで可視化されたデータが裏づけた変化と得られた気づき
—— 俯瞰した立場から、MD3部にどのような変化があったと感じていますか。
赤坂 様:TEAMUSの取り組み当初に、本澤と設定していた重点項目が「メンバー育成」でした。これまで以上にメンバーが主体的かつ前面に立つ機会を部内外で増やそうと決め、実際にメンバーが事業運営審議会や組織横断の会議体に出るようになり、私と直接戦略について対話する機会も増えました。その結果、トップダウンの進め方では出てこなかったような着眼点のアイデアや提案が積極的にメンバーから出てくるようになり、実際に施策に活かされた機会も増えています。
その変化を裏づけたのが、一連のTEAMUSの取り組みが一区切りついたタイミングで受け取ったレポートです。「TEAMコンディション サーベイ」では、チームの状態を「チームづくり」「連携の促進」「成長への挑戦」の3領域・18の要素で可視化します。以前のMD3部は「成長への挑戦」が突出して強く、一人ひとりが自分の力で仕事を回していくチームと位置づけられていました。それが最後の定点調査では、反対側の「チームづくり」へと重心が移っていたのです。
この結果は一見すると、「挑戦の姿勢が弱まった」とも読めます。しかし実際は、挑戦が特別な頑張りではなくなり、一人ひとりの当たり前の行動として挑戦が根づいたからこそ、チームの重心がその先の「チームづくり」へ移ったことを示すものでした。つまり、変化が定着した証だったのです。現場で感じていた手応えと、データの読み解きが一致した瞬間に、自分の中で答え合わせができた感覚がありました。
7.ひとつのチームの実例を社内へ。個の能力をかけ合わせ、チームで成長する会社へ
—— 今後の展望をお聞かせください。
上山 様:チーム全体でひとつの施策に取り組むことで、メンバー全員に変化をもたらすことができると、その兆しを得られたことが今回の収穫です。同じような変化を他のチームでも起こすことができるか、今後試していきたいですね。
当社はキャリア入社したメンバーが比較的多く、チームワークよりも個々の能力でタスクを処理していく傾向が強い会社です。そこに「チームで共に成長する」という新しいチームのあり方が回り始めれば、組織力がさらに高まると期待しています。
赤坂 様:AI技術の普及や市場の変化などにより、若手が積む経験の質は私たちの時代とは大きく異なっており、今後も積極的な若手登用の流れは強めていく必要があります。その際、組織の障壁によって若い人が意見を出しづらい状態はあってはなりません。組織のあるべき姿は、成長に紐づく機会の創出と責任を持ったメンバーの登用です。今回は状態の良いチームでの取り組みでしたが、今後はまだ発展途上にある組織にも注力し、全体を引き上げていきたいと考えています。
※本記事の内容は取材当時(2026年8月)時点のものです。
組織成長ソリューションTEAMUS(チームアス)をもっと知りたい方へ
サーベイでチームの状態は見えている。それでも、その結果をどう次の一歩につなげればいいのか分からない —— そう感じている組織は少なくありません。TEAMUSは、個人ではなくチームそのもののコンディションを見える形にし、対話を通じて自律・自走するチームづくりに伴走する、組織成長ソリューションです。
マネージャー層の成長や意識の変化を後押ししたいとお考えの経営層・人事のご担当者は、ぜひサービス資料をご覧ください。
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文・編集/大木 一真 撮影/植田 翔

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