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働き方用語辞典「ビジネスケアラー」

公開日:2025.5.29

執筆:コクヨコラム編集部

#トレンド #働き方用語辞典 #制度

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働き方用語辞典「ビジネスケアラー」

ビジネスケアラー

働きながら家族などの介護をする人

「ビジネスケアラー」とは、仕事を持ちながら家族などの介護を行う人のことで、ワーキングケアラーとも呼ばれます。働く人のワーク・ライフ・バランスや介護と仕事の両立できる環境づくりが、企業にとっても課題となっています。

経済産業省によると、日本におけるビジネスケアラーの人数は、2020年に262万人であったのが2030年には318万人へと増加が予測され、高齢化の進行に伴いこれからも増え続けることが見込まれています。

2030年には、ビジネスケアラーの離職や生産性の低下に伴う日本の経済損失額は、約9兆円に上ると予想されています。労働人口が減少し続ける中で、企業や組織にとって人材確保や離職対策の面でも、介護両立への対応は喫緊の課題です。経済産業省からもガイドラインが出されるなど、働き方や働く環境、制度の整備などが求められています。

家族介護者・ビジネスケアラー・介護離職者の人数の推移および経済損失家族介護者・ビジネスケアラー・介護離職者の人数の推移および経済損失
出典:「経済産業省における 介護分野の取組について」(経済産業省、2024年3月)

■ビジネスケアラーに関する課題
・仕事と介護の両立による疲労
仕事の合間や帰宅後、休日など、仕事以外のほとんどの時間を介護に費やすため、休息を取ることが難しい。心身の疲労や疲弊によって、業務やパフォーマンスに悪影響を与えることがある。

・介護離職
精神的・肉体的な負担や業務の責務、勤務形態などの理由からやむを得ず退職に至ることもある。本人にとっては収入源を失うことになり、企業にとっても人材の採用や育成にかかるコストが発生するなど経済損失につながる。

■企業に求められるビジネスケアラーへの取り組み
・柔軟で多様な勤務形態や制度の導入
社内の課題を調査・把握し、リモートワークやフレックスタイム制、短時間勤務、介護休暇など、仕事と介護を両立しやすい柔軟な勤務形態や休暇制度を導入する。

・相談しやすい環境整備
相談窓口の設置や1on1ミーティングの実施など、ビジネスケアラーの不安な気持ちや悩みを相談することができる環境を作り、介護離職を防ぐ支援を行う。

・サポートや制度、情報の周知促進
対象となる社員に向けての制度の周知・利用促進だけにとどまらず、社内全体の意識改革や理解浸透に向けて、介護やビジネスケアラーに関するセミナーなどを実施する。

2025年には国民の6人に1人が75歳以上の後期高齢者となり、以前にも増して介護と仕事の両立が身近な話題になってきています。顕在化していないだけで、実は悩みを持つ社員も多いかもしれません。共通の悩みを持つ社員が情報を共有するための、社内コミュニティの構築もストレスの軽減やメンタルヘルスケアに有効でしょう。

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