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製造業の人材定着は「オフィスづくり」が解決のカギ

公開日:2026.4.13

執筆:コクヨコラム編集部

#ウェルビーイング #ダイバーシティ&インクルージョン #事例 #人材採用

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製造業の人材定着は「オフィスづくり」が解決のカギ

製造業において、工場などの製造設備における人材の確保と定着は深刻な経営課題となっています。その解決策の一つとして製造拠点の「オフィスづくり」が注目されていますが、一般的なオフィスとは異なる製造拠点特有の課題に、どう対応すべきか悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、製造拠点における人手不足の現状と、人材確保・定着につながるオフィスづくりの具体的なポイントを解説します。

700ヶ所以上の工場を訪問したコクヨの知見をまとめた「人材確保と定着に向けたオフィスづくり」の資料を無料でダウンロードいただけます。製造拠点ならではの課題解決のヒントや具体的な事例を掲載していますので、ぜひご活用ください。

1.なぜ今、製造拠点で「オフィスづくり」が重要なのか?

1.なぜ今、製造拠点で「オフィスづくり」が重要なのか?

慢性的な人手不足とネガティブイメージ

近年、多くの業界で労働力不足が課題となっていますが、特に製造業では人手不足や人材確保の問題が深刻化しています。

具体的には、製造業の就業者数は過去20年間一貫して減少し続けており、特に若年層の新規参入の減少が顕著です。この定量的な課題に加え、さらに深刻なのは、多くの求職者が工場勤務に対して「24時間稼働や夜勤が多い」「埃っぽく油汚れがある」「肉体的に危険が伴いそう」といった、時代にそぐわない根強いネガティブなイメージを抱いている点です。これらのイメージが強力な障壁となり、新しい人材、特に多様な働き方を求める層から就職先として敬遠される大きな要因となっています。

求められる「働きやすい職場環境」

こうした構造的な課題とネガティブイメージを払拭し、新たな人材を確保するためにも、職場環境を改善する「オフィスづくり」の戦略的なアプローチが急務となり、製造拠点にも「働きやすい職場環境」の実現が求められるようになっています。ワーカーの多様化(女性、高齢者、外国人など)や、WEB会議の浸透といった働き方の変化への対応も、喫緊の課題です。

従来の就労条件の改善だけでなく、働きやすい環境づくりやオフィスづくりによる労働環境の改善は、社員のモチベーション向上や生産性の向上につながります。そして、それが自社のブランドイメージ向上、採用ブランディングにも効果を発揮し、人材の確保と定着という好循環を生み出す鍵となるのです。

出典:「ものづくり白書」(厚生労働省)出典:「ものづくり白書」(厚生労働省)

2.見落とされがちな製造拠点の「働く空間」の課題

では、具体的に製造拠点ではどのような課題があるのでしょうか。次に代表的な課題を6つ挙げます。ちなみに、製造拠点や研究所は、働く場所と時間が制約されることが多いため、一般的なセンターオフィスとは異なる共通の課題が存在します。

2.見落とされがちな製造拠点の「働く空間」の課題

・無機質で閉塞感のある環境: コンクリートや金属に囲まれ、無機質な環境が閉塞感を生んでいる。
・活用されない食堂: 食堂が「食べるためだけ」の空間となり、固定席化。食事時間以外は活用されていない。
・硬直的なレイアウト: 工場新築時に用途が決められているため、フレキシブルな区画変更がしづらい。
・設備の老朽化: 自社施設で移転の機会がなく、家具などを更新するタイミングがない。
・新たな働き方への未対応: WEB会議に適した場所が確保できていない。
・多様性への未対応: ダイバーシティへの配慮が必要になってきたが、対応できていない。

こうした課題を解決せず、先送りをして積み重なることで、本社オフィスとの環境格差が広がり、人材採用に影響が出るケースも少なくありません。

3.【働きやすい空間づくりのポイント】多様性への配慮。誰もが働きやすい環境づくり

3.【働きやすい空間づくりのポイント】多様性への配慮。誰もが働きやすい環境づくり

製造拠点の「働く空間」には、「多様性への未対応」をはじめとする、本社との環境格差につながる課題が残されています。こうした状況下で、人材確保と定着を実現するために具体的な「働きやすい空間づくりのポイント」として、まず最優先で「多様性への配慮」に取り組むことが不可欠です。

女性に配慮したオフィスづくり

就活生の企業選びでは、8割以上が「オフィス環境」を重要視しているというデータもあり、製造拠点でも本社との環境格差を埋めることが採用力強化につながります。
特に女性ワーカーに配慮した環境整備は重要です。体調面での女性特有の症状なども考慮し、以下のような配慮がポイントとなります。

・更衣室へのパウダーコーナーの設置
・女性専用のリフレッシュエリアの確保
・デスクワーク時の脚もとへの視線防止策

障がい者・高齢者・LGBTQなどへの配慮

これからのオフィスは、障がい者をはじめとする多様なワーカーにとって働きやすい空間であることが求められます。 例えば、障がい者の法定雇用率は段階的に引き上げられており、障がい者にとって快適なオフィス環境の整備は、選ばれる企業になるために必須と言えます。
また、加齢による身体的変化(高齢者)や、体格、性的指向・性自認(LGBTQ)、宗教(お祈りスペース)など、多様なニーズに応えるため、下記のような環境づくりも求められます。

・疲れにくいデスク・イスや、大きなモニターの設置
・オールジェンダートイレやお祈りスペースの確保

障がい者にとって快適なオフィスは、その他多くの社員にとっても快適な空間となります。

障がい者・高齢者・LGBTQなどへの配慮

4.【働きやすい空間づくりのポイント】環境整備。快適性とコミュニケーションを生む空間

4.【働きやすい空間づくりのポイント】環境整備。快適性とコミュニケーションを生む空間

多様性への配慮と同時に、オフィス空間そのものの「質」を高めることも重要です。

執務エリアのオフィス空間を整える

製造拠点では、様々な音が響き渡り、作業に集中しにくい場合があります。殺伐としがちな職場の雰囲気を和らげ、快適な空間にするために、音環境、照明、カラーリング、フロアプランなどを見直すことが効果的です。

食堂を「多目的スペース」として活用する

食事時間以外は活用されにくい食堂も、大きなポテンシャルを秘めています。
運用の工夫次第で、食事以外の時間も社員同士のコミュニケーションの場、グループワークの場、あるいはソロワークで執務をする空間として活用できます。

休憩・リフレッシュエリアとオフィスグリーン

1日の大半を施設内で過ごすワーカーにとって、休憩室やリフレッシュエリアは非常に重要な空間です。仮眠、雑談など、休憩の目的に合わせて使える空間を構築しましょう。
また、オフィスに植物(オフィスグリーン)を導入することも、ストレス軽減やコミュニケーション活性化など、さまざまな効果が期待できます。

5.【事例紹介】コクヨ三重工場。27年ぶりのリニューアル

5.【事例紹介】コクヨ三重工場。27年ぶりのリニューアル

こうしたポイントを踏まえ、実際にリニューアルを行った事例として「コクヨ三重工場」をご紹介します。
1994年に開設した食堂を、2020年に27年ぶりにリニューアル。床材をフローリング調にし、家具も一新。ナチュラルカラーで統一しつつ、カラフルな椅子をアクセントに配置し、落ち着いた雰囲気に生まれ変わりました。

食堂の多目的活用

リニューアル後の食堂は、昼食の時間外にはソロワークやグループミーティングの場として活用されています。窓際のカウンター席も利用率が高く、常設のミニステージは月次朝礼や社内勉強会などにも使われています。
また、マッサージチェアを置いた「リフレッシュコーナー」も設けられました。

「情報発信・共有」の場へ

食堂のスペースは、食事や仕事だけでなく、ワーカーの安全や相互理解を深める「情報発信・共有」の場としても機能しています。例えば、以下のような情報の共有が定期的にされています。

交通ハザードマップ: 地元警察と連携したハザードマップを掲示し、交通事故防止に活用。
技能実習生紹介: 海外からの技能実習生の出身地を紹介するコーナーを設け、仲間への興味を深める工夫を。
健康保持・増進: 体重計と血圧計を新たに設置。

2020年のリニューアルは「終了」ではなく「始まり」となり、その後も、ソロワーク用ブースの設置(2021年)や、大型モニターによる映像掲示板の活用(2021年)、日々の改善要望を見える化する「イイネ!提案」(遊び心のある「しかけ」)など、継続的な改修や運用の工夫が行われています。

「情報発信・共有」の場へ

6.製造拠点のオフィスづくりは「継続的な改善」が鍵

6.製造拠点のオフィスづくりは「継続的な改善」が鍵

製造拠点における「オフィスづくり」は、人材確保と定着に直結する重要な取り組みです。
コクヨが実施したアンケート調査でも、製造拠点におけるリニューアル前後で、効率性・快適性・創造性すべてのポイントが向上したという結果が出ています。

重要なのは、リニューアルして終わりではなく、コクヨ三重工場の事例のように、日々の運用の見直しと改善を継続し、常に働きやすい空間づくりを意識していくことです。
何から始めればよいか分からない場合は、まず自社の課題を知り、アンケートなどで社員の声を集めることから始めましょう。

コクヨでは、700ヶ所以上の工場訪問で得た知見をもとに、製造拠点ならではのオフィスづくりのポイントをまとめた資料(ホワイトペーパー)をご用意しています。
本資料では、記事でご紹介した内容に加え、さらに具体的な空間づくりのポイントや、コクヨ三重工場の詳細な事例紹介を掲載しています。
製造拠点の移転・リニューアル、働き方にお悩みの方は、ぜひこの機会にダウンロードしてご覧ください。

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