HOME > オフィスづくりに役立つコラム > 働き方用語辞典「ラーニング・バイアス」
「ラーニング・バイアス」とは、就業者が学習から遠ざかる要因の、学びについての偏った認識・意識のことです。
人材不足の深刻化やICT技術の進展、働き方の多様化などによって、人的資本経営やリスキリングが注目されている一方で、日本の就業者の学習が少ないことが課題となり、このような言葉が生まれてきました。
パーソル総合研究所が、2022年に正規雇用就業者を対象に「学び合う組織に関する定量調査」を行ったところ、56.1%が「業務外の学習時間なし」と回答し、学習方法についての質問でも「どれも行っていない」が54.9%と、いずれも半数以上が学習していないという結果が出ました。
また、同社が行う「グローバル就業実態・成長意識調査」でも、日本は「社外の学習や自己啓発を何も行っていない」が52.6%と18カ国中ダントツで、他国に比べても自発的な学びが少ないことがわかりました。
■ラーニング・バイアスの種類
ラーニング・バイアスは、7つの種類に分けることができ、これらは学習意欲に対してマイナスの影響を及ぼしているとされています。
・「新人」バイアス:学びは新人や若い人だけがやるものである
男女50~60代で高い傾向
・「学校」バイアス:学びは、学校で生徒が行うものである
・「地頭」バイアス:生まれつき知能は決まっていて不変である(固定的知能観)
男女20~30代で高い傾向
・「自信の欠如」バイアス:学びはもともと得意でない、自信が無い
・「現場」バイアス:経験だけが重要であり、学びは必要ない
・「タイパ」バイアス:手っ取り早く、正解だけを学びたい
女性40~60代の女性で高い傾向
・「現状維持」バイアス:今のままで十分仕事ができている
女性40~60代の女性で高い傾向
■学習者と無学習者の比較
学習者は無学習者と比べ
・はたらく幸せ実感 20.3%
・ワークエンゲージメント 17.3%
・変化適応力 16.6%
・人事評価 10.6%
・個人パフォーマンス10.1%
高く、多視座性や時間枠の広さなど、思考の広さや柔軟性があることがわかります。一方で、無学習者はいずれのバイアスも高い傾向にあります。
ラーニング・バイアスをなくすためには、企業が研修やワークショップを導入するだけでなく、資格取得の受講料や試験料、書籍購入の費用補助をはじめ、自己啓発の時間・機会の提供など、積極的にサポートすると効果的です。また、学習への取り組みを人事評価の対象にすると、自発的な学習を促進することができでしょう。そうすることで、社員のモチベーションやパフォーマンス力が高まり、人材の定着にもつながります。
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