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働き方用語辞典「人的資本経営」

公開日:2025.12.18

執筆:コクヨコラム編集部

#ウェルビーイング #働き方用語辞典 #経営

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働き方用語辞典「人的資本経営」

人的資本経営

人材を資本とみなし、その価値を最大限に引き出すことで、企業価値の向上につなげる経営手法

「人的資本経営」とは、従業員が持つ知識やスキル、意欲などを企業の資本と捉え、積極的に投資し最大限に活用することで、中長期的な企業価値を高めていく経営手法です。2020年に経済産業省が公表した報告書「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書人材版伊藤レポート2.0※」で話題となり、注目されるようになりました。
※出典:「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書人材版伊藤レポート2.0
」(経済産業省)

従来の経営は、人材をヒト・モノ・カネといった「資源」と考え、資源の管理をコストとみなしたため、人材にかかる費用をなるべく抑える傾向にありました。一方、人的資本経営では、人材を「資本」として着目し、利益を生む存在である人的資本を投資の対象として考えるのが特徴です。

■人的資本経営が注目される背景
・人材や働き方の多様化
非正規雇用従業員や外国人従業員の増加により、人材や働き方が多様化したことで、従業員を尊重しそれぞれに合った価値を最大限に引き出す経営が必要となった。

・DX推進による経営戦略
AIやロボットなどの先端技術の進展に伴い、人の付加価値として新たな価値の創造やイノベーションの創出などが求められるようになったことで、従業員が最大の価値を活かす環境が重要視されるようになった。

・ESG投資の普及
持続可能な社会を目指した取り組みが注目される中、ESG※投資を推進する企業が増えており、人材への投資状況が企業の成長性を評価する判断ポイントとなるため、人的資本経営を強化する動きが見られている。
※ Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)

■人的資本経営のメリット
・生産性の向上
人材育成を推進することで、従業員の成長やスキルアップが期待でき、生産性の向上につながる。

・企業ブランドの向上
積極的な人材投資は、社会的信頼につながり、企業ブランドを高めることができる。また、優秀な人材の採用に直結し、競争力の向上も期待できる。

・従業員エンゲージメントの向上
人材育成の機会を提供することで、従業員のモチベーションが高まり、エンゲージメントの向上や離職率の低下も期待できる。

・従業員の能力を可視化
人材育成を通して、従業員の成長過程や能力、スキルを把握することができるため、適材適所の人員配置や必要な教育などの人材投資が可能になる。

人的資本経営の推進にあたり、まずは目標やビジョンを明確化し、従業員に共有するようにしましょう。また、人事部門だけが行うのではなく、あらゆる部門が連携し組織全体で取り組むことも必要となります。そのためにも、普段から他部門の従業員と積極的にコミュニケーションを図ることで、目標に向かって円滑に進めることが重要といえるでしょう。

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