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キャズム
市場に製品やサービスが浸透する際に超えるべき壁
「キャズム」とは、新商品や新サービス、技術革新が、市場に普及していく過程で直面する大きな障壁のことです。キャズムは本来、「深い溝や隔たり」という意味で、キャズム理論とも呼ばれています。これはアメリカの経営コンサルタントであるジェフリー・ムーアにより提唱されたマーケティング理論で、市場を開拓する際にキャズムを克服することが重要となります。
キャズムとは、イノベーター理論の中で論じられたイノベーターやアーリーアダプターなどから構成される初期市場と、アーリーマジョリティからラガードまでのメインストリーム市場を隔てる溝のこと指します。
■イノベーター理論
新たな製品やサービスを市場に普及していくプロセスを、5つの消費者タイプに分類したマーケティング理論で1962年に米・スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授が提唱しました。
イノベーター(革新者):新製品を好み、商品の質よりも先行性や話題性を重視する層で、市場全体の2.5%を占める。
アーリーアダプター(初期採用者):流行に敏感で、商品やサービスの機能性やメリットに価値を置く。インフルエンサーが多く、市場全体の13.5%を占める。
アーリーマジョリティ(前期追随者):慎重で、機能や価格など、コストパフォーマンスを重視する。。話題の商品やサービスに関心を持ち、市場に浸透させる層で、市場全体の34%を占める。
レイトマジョリティ(後期追随者):保守的で、新しいものへの抵抗感が強く、周囲の動向を確認し市場全体に浸透してから採用を検討する。市場全体の34%を占める。
ラガード(遅滞者):最も保守的で、先進的なものに興味がなく、新しいものを最後まで採用しない場合もある。市場全体の16%を占める。
■キャズムが生まれる理由
キャズムは、初期市場とメインストリーム市場の消費者の価値観の違いにより発生します。初期市場の消費者は、トレンドや目新しさに興味があるため、製品やサービスに対して「新しさ」を求めます。一方、メインストリーム市場は実用性や価格、信頼性に価値を置き、「安心感」を重視します。キャズムを超えるためには、それぞれのニーズを考慮する必要があります。
■キャズムを乗り越えるためのポイント
・ターゲットの明確化
特定の市場にターゲットを絞り、最適なマーケティングを展開すると、製品の普及拡大につながる。
・アーリーマジョリティへのアプローチ
アーリーマジョリティは、トレンドに興味があり、製品やサービスを拡散させる存在であるため、他の購買層に影響を与え、購買意欲を高めることができる。
・ユーザビリティの向上
メインストリーム市場では製品の安心感や利便性が重視される。そのため、消費者の意見を取り入れユーザビリティを高めることで、満足度の向上が期待できる。
・インフルエンサーの起用
インフルエンサーを活用し、製品やサービスの信頼性を広めることで、アーリーマジョリティに安心感を与え、購入につなげることができる。
キャズムを克服するためには、消費者の不安を払拭し、安心感や信頼感を得ることが鍵となります。お客様窓口やよくある質問(FAQ)をホームページに設置するなど、サポート体制を整えることが有効です。また、積極的に消費者の声に耳を傾け、消費者の視点から問題点や課題を改善することにより、新しいものを受け入れにくい消費者層の支持も得ることができるでしょう。
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