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なぜABWは生産性を向上させるのか?メリットと導入の課題

公開日:2026.5.26

執筆:コクヨコラム編集部

#ABW #ハイブリッドワーク #フリーアドレス

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なぜABWは生産性を向上させるのか?メリットと導入の課題

コロナ禍を経て、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が浸透しました。その中で、「自社の現在の働き方で本当に良いのだろうか」「もっとワーカーの生産性や満足度を高める方法はないか」と模索している方も多いのではないでしょうか。
働き方が多様化する今、注目を集めているのがABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)という考え方です。
この記事では、ABWの基本的な定義から、混同されがちなフリーアドレスとの違い、導入のメリット・課題、そして成功に必要なポイントまで、コクヨの知見を交えて詳しく解説します。
「これからのオフィスのあり方」や「自律的な働き方」についてヒントを得たい方は、ぜひご一読ください。
なお、本記事でご紹介する「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」について、より具体的な導入のポイントやコクヨの最新事例をまとめた資料をご用意しています。こちらもぜひお役立てください。

1.ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とは?

1.ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とは?

ホワイトペーパーP.5 の「広域ABW」「オフィス内ABW」の概念図。
ABWとは、「Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」の略です。
その名の通り、業務内容(Activity)やその時の気分に応じて、時間と場所をワーカー自身が自律的に選択できるワークスタイルを指し、その範囲によって大きく2つに分類されます。

1.オフィス内ABW(狭義のABW)
オフィスの中だけで場所を選択する働き方です。例えば、「集中したいから個室ブース」「チームで議論したいからオープンスペース」というように、オフィス内に設けられた多様な環境を業務内容に応じて使い分けます。

2.広域ABW(広義のABW)
オフィスの外も含めて働く場所を選択する、より自由度の高い働き方です。自社オフィス(2nd PLACE)だけでなく、自宅(1st PLACE)、カフェやコワーキングスペース(3rd PLACE)なども働く場所の選択肢として捉えます。

従来の働き方が「場所が固定的」で「時間も固定的」だったのに対し、ABWは「場所の選択肢が多く」「時間の自由度も高い」ワークスタイルとして位置づけられます。

ABWが注目される背景

ABWが注目されるようになった最大のきっかけは、皆様ご承知のとおり、コロナ禍による出社制限があったことです。これにより半ば強制的にテレワークが導入され、多くのワーカーが「場所に縛られずに働く」というスタイルを体験し、次のような意識の変化が起きました。

オフィスに対する考え方の変化: ワーカーが自宅やカフェなど、オフィス以外の場所でも働けることを実感した結果、オフィスは「行かなければならない場所」から「働く場所の一つの選択肢」へと変わりました。
「いきたくなるオフィス」の必要性: オフィスが働く場所の選択肢の一つとなったことで、ワーカーが「わざわざ行きたい」と思えるような、魅力的な環境であることが求められるようになった。

2.ABWとフリーアドレスの決定的な違い

「オフィスで働く場所を選ぶ」と聞くと、「フリーアドレス」を思い浮かべる方も多いかもしれません。ABWとフリーアドレスは混同されがちですが、その「目的」、「適用範囲」「運用ルール」、「空間の特長」「環境」に大きな違いがあります。

項目
フリーアドレス
ABW(Activity Based Working)
主な目的
スペース効率化
(コスト削減など)
生産性・働きやすさの向上
(ワーカーの自律性促進など)
適用範囲
オフィス
オフィスに加え、オフィス外も含む
(広域ABWの場合)
運用ルール
オフィス内で自由に席を選ぶ(自席がない)
業務や気分に応じて働く場所や時間を選ぶ
空間の特長
オフィス空間に、多様な空間を用意する必要はない(同じデスクが並んでいるだけでも成立)
多様な空間を複数用意することが前提。空間に合わせて、家具や内装を変えることが一般的。
(集中ブース、カフェ、コラボエリアなど)

最も大きな違いは、フリーアドレスの主な目的が「スペース効率化」であるのに対し、ABWの主な目的は「ワーカーの生産性や働きやすさの向上」にある点です。
フリーアドレスは、必ずしも多様な働く環境を必要としません。一方、ABWは「集中」「協働」「リフレッシュ」など、様々な業務活動(アクティビティ)に対応するための多様な場を用意することが前提となります。
ABWを導入する企業の多くは、フリーアドレスを併用しています。固定席をなくしてスペースを効率化し、そこで生まれた余剰スペースを、ABWのための多様な場づくりに充てるケースが一般的です。

3.ABW導入がもたらす3つのメリット

ABWの導入は、ワーカー(従業員)と経営者の双方にメリットをもたらします。

メリット1:生産性の向上

ワーカーは、「集中したい時は静かな場所で」「アイデアを出したい時はリラックスできる場所で」というように、自分の業務に最適な場所を自ら選択できます。これにより、作業効率が高まり、生産性の向上が期待できます。
また、経営者視点でも、ワーカーの自律的な働き方を促すことで、個々のモチベーションや自己管理能力が向上し、結果として組織全体の生産性アップに繋がります。

メリット2:ワーカー満足度とワークライフバランスの向上

ABWは、ワーカーが「自分好みの環境」を選べる働き方です。裁量権や自由度が増すことで、仕事に対する満足度が上がり、ストレスの軽減にも繋がります。
特に「広域ABW」の場合、通勤の負担を減らしたり、プライベートの予定(子供の送り迎えなど)と仕事を両立しやすくなったりと、柔軟な働き方が可能になります。これにより、ライフワークバランスが取りやすくなる点は大きなメリットです。

メリット3:多様な人材の確保とファシリティコスト削減

経営者視点では、ABWの導入は企業の「採用競争力」を劇的に向上させる戦略的な一手です。柔軟な働き方を提供することで、採用活動における時間やコストを削減しながら、優秀な人材や多様なバックグラウンドを持つ人材を確実に確保でき、結果として企業価値の向上に繋がります。
また、ABW導入(特にフリーアドレス併用)により、オフィスの利用効率が最適化されます。出社率に合わせて座席数を調整することで、ファシリティコスト(賃料や光熱費など)の軽減も期待できます。

4.知っておきたいABW導入の課題

4.知っておきたいABW導入の課題

このように多くのメリットがある一方、ABWの導入には下記のようにいくつかの課題も存在します。

・コミュニケーションの弊害
ワーカーは、働く場所が分散するため、「上司や同僚がどこにいるか分からない」「気軽に声をかけにくい」といったコミュニケーションの弊害が生じる可能性があります。

・勤怠管理・人事評価の難しさ
経営者・マネジメントにとって、ワーカーの姿が直接見えにくくなるため、従来の「時間」で管理する勤怠管理や、「プロセス」を重視する人事評価(メンバーシップ型雇用)とはマッチしづらい側面があります。部下を監視・圧力をかけてしまうといった逆効果を生むケースも。

・ICT・設備投資のコスト
どこでも同じように働ける環境を整備するため、ノートPCやスマートフォンの配布、セキュリティ対策、在席確認システムなど、ICTツールへの初期投資(イニシャルコスト)が発生します。

・ルールの形骸化・不公平感
「結局いつも同じ人が同じ席に座っている」「特定エリアが使いにくい」など、ルールが浸透しなかったり、不公平感が出たりする課題です。これは、「何のためのABWか」という目的共有の不足や、社員のマインドセットが不完全なことから起こりがちです。

ただし、これらの課題の多くは、事前の準備不足や設計の不備から生じるものです。

5.ABW導入前に検討すべき3つのポイント

ここからは、前述の課題をクリアし、ABW導入を成功させる事前の検討ポイントを3つご紹介します。

ポイント1:制度・ルール

ABWは、従来の働き方と根本的に異なります。そのため、就業規則などの社内規定を見直す必要があります。
特に、テレワーク(社外・自宅)も含む「広域ABW」を導入する場合は、労働時間の管理方法、セキュリティポリシー、通信費や光熱費の負担ルールなどを明確にしなければなりません。
また、オフィス内の運用においても、「席の占有時間の上限」「Web会議エリアのルール」「不在時の荷物の受け渡し方法」など、利用者が納得感を得られる公平な運用ルールを策定し、それをチェックする体制を整えることが重要です。

ポイント2:ツール

場所を選ばずに働くためには、ノートPCやスマートフォン、ビジネスチャット、在席管理ツールといったICTツールの対応が必須です。
これらICT環境の整備と同時に、「ペーパーレス化」への対応も欠かせません。紙の書類を前提とした業務フローが残っていると、ABWの妨げとなります。
さらに、個人資料やPCを持ち運ぶためのモバイルバッグや、共用の文具類をどう管理するかなど、ICT以外のツールについても検討が必要です。

ポイント3:企業風土

ABW導入の成否を分ける最も重要な要素が「企業風土」です。
どれだけ素晴らしい「場(環境)」「制度」「ツール」を整えても、ワーカーやマネジメントの意識が変わらなければ、ABWは機能しません。
「どこでも良いと言われても、部下が見えないと不安だ」(マネジメント)
「どうせ評価されないなら、出社して上司の近くにいた方が得だ」(ワーカー)
このようなマインドセットが残っていると、せっかくのABWも形骸化してしまいます。
「何のためにABWを導入するのか」という目的(WHY)を全社で共有し、納得感を持たせるプロセスが何よりも重要です。
トップメッセージの発信、社内PR、ワークショップの開催などを通じて、ABWを受け入れる風土を醸成していく必要があります。

6.コクヨのライブオフィス「THE CAMPUS」のABW事例

6.コクヨのライブオフィス「THE CAMPUS」のABW事例

コクヨの品川ライブオフィス「THE CAMPUS」では、ワーカーが業務に応じて最適な時間や場所を選択できるABWを実際に導入しています。
THE CAMPUSのオフィスフロアは、画一的な執務エリアではなく、多様なアクティビティに対応する場が用意されています。

・多目的なカフェ空間: ソロワークや打ち合わせ、リフレッシュなど、様々な目的で利用可能。
・高集中環境: 自宅では得難い、遮音性の高いブースや囲われた書斎のような空間。
・偶発的交流エリア: 様々な「集まる」目的でオフィスに来た人同士が、自然と交流できるようなオープンスペース。

コクヨでは、ワーカーが実際に働いている現場(ライブオフィス)を見学でき、
ABWを導入したオフィス空間と、そこで実践されているワークスタイルを実際に体感できます。、貴社のオフィスづくり・働き方改革のヒントに、ぜひライブオフィス見学もご利用ください。

7.まとめ:自社に最適なABWの形を見つけよう

本記事では、これからの働き方のスタンダードとなり得る「ABW」について、その定義からメリット、導入の課題、そして成功のポイントまでを解説しました。
ABWは、単なる「おしゃれなオフィス」や「フリーアドレス」のことではありません。
ワーカーの自律性を促し、業務活動(アクティビティ)に合わせて最適な環境(場・制度・ツール)を整え、生産性と満足度を最大化するという経営戦略そのものです。
導入にはコストや時間もかかりますが、それ以上に「生産性の向上」「多様な人材の確保」「ワーカー満足度の向上」といった大きなリターンが期待できます。
まずは、自社の現状の課題を洗い出し、「何のためにABWを導入するのか」という目的を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。
ABWの導入をさらに具体的に検討するために、コクヨが蓄積したノウハウをまとめた資料(ホワイトペーパー)をご用意しています。

・ABWのより詳細な働き方事例
・導入前に検討すべきルールの具体例
・コクヨの最新ライブオフィス事例

など、本記事では触れられなかった実践的な情報を多数掲載しています。
これからのオフィスづくりと働き方改革のヒントとして、ぜひご活用ください。

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