協創の核となる「ワイガヤステージ」を中心に、30mの範囲にすべての執務席を配置。
空調世界No.1企業として知られるダイキン工業株式会社(以下、ダイキン)。社内では世界各国での事業活動が急展開してきた2004年頃から、グローバルを見据えた研究開発のコア施設の必要性を感じていました。
主力製品であるエアコンは、機械・電子・化学という異なる技術を融合した製品にも関わらず国内の開発拠点は3ケ所に分散しており、日常的に密な打合せをすることが難しい状況でした。その一方で、技術進歩がこれほど早い時代にはすべて自前主義では対応できないのではないかという危機感もあり、「社内外の知恵を糾合し、異業種・異分野のオンリーワンの技術を持つ様々な企業・大学・研究機関との連携・提携、融合を通じて、新たな価値をオープンな環境で作り上げる『協創』を技術開発の中心にすることが必要」という思いがありました。
摂津市にあるテクノロジー・イノベーションセンター。
新施設であるテクノロジー・イノベーションセンター(以下、TIC)のコンセプトは「社内外の協創」。まずは700人の社員が一体感を感じ「社内協創」できるオフィスにするためにフロアの形状を模索。最終的には2フロアのオフィスの中2階に、技術者だけでなく関係する人材が集まって部門を越えて議論を行う場として「ワイガヤステージ」と名づけたスペースを設け、それを半階ずつ上と下にある見通しのよい執務エリアで囲むことに。ワイガヤステージは、360度どこからでも白熱したオープンな議論が見える、このオフィスの象徴的な場所です。
中間層にあるワイガヤステージの下には、ミーティングルームや個人ブースを設置。オープンなオフィスだからこそ、こもって集中できる場所も選べるようにしています。
また、社外の協創の場として「フューチャーラボ」「知の森」という2つの場を設け、通常の業務を離れ未来の技術やビジネスなどについて語り合うインテレクチュアルカフェを開催。各部門や自主的に結成したチームがそれぞれ主体となって運営し、社内外の講師による勉強会なども実施しています。
フューチャーラボでは定期的にワークショップや勉強会を開催。
オープンなフロアにすることや、外部からの知見を求めてオープン化することには、「みんなから見られる場所なんて誰も使わない」、「必要な技術は自前で解決できるという技術力への誇りがある」など最初は反対の声もあったそうです。しかしワイガヤステージは、オープン当初から大盛況に。担当者を見かけてすぐ話しに行ける、議論が始められるというメリットを実感できるようになりました。TICには、オープンから平成29年7月までに48,800人を超えるお客様が訪問。破壊的なイノベーションには多様性が必要ということに、技術者たちも気づきはじめています。