日々、オフィスワーカーの身体と向き合っている
専門家の方に語っていただきました。
整体師として一流アスリートから企業経営者まで、
多くの方々のボディメンテナンスを行いつつ、
書籍や講演会を通じて「正しい姿勢」を啓蒙し続ける萩原健史氏。
本記事ではそんな萩原氏にUPTISの優れている点、
さらに正しい姿勢とデスクワークについて聞きました。
現代では、長時間のデスクワークをするオフィスワーカーも少なくありませんが、歩いてもないのにすごく疲れたり、首や肩が凝るなんてことは日常茶飯事。おまけに、どんどん姿勢が悪くなっている、なんて方もいらっしゃいます。萩原さんは、こうした現代のデスクワーク事情についてどう感じていらっしゃいますか?
萩原:端的にいうと、正しい姿勢でデスクワークができていないということに尽きると思います。
正しい姿勢でのデスクワークとはどういうものなのでしょうか。
萩原:まず正しい座位姿勢とは、“骨盤を立てるように太ももで座る”こと。わかりやすいように、骨盤と背骨のみの模型でお見せするとこんな感じです。
萩原:このように意識して座ってくれたら良いですが、デスクワークをしているときに、姿勢のことまで頭が回らないですよね。つまり、デスクワーク自体が正しい姿勢を保つことが難しいものなんです。例えば現代のオフィスワーカーは皆さんPC作業しますよね。特にノートPCで作業をされている方は注意が必要で、モニターを覗くために目線が下がるから猫背になってしまうし、目線を合わせようとして腰を前方にずらして椅子に浅く座ると、骨盤が後傾して首や腰に負担をかけてしまいます。ほら、こんな感じで。
これは無理がある姿勢だということは、素人でもわかりますね(苦笑)。でも自分自身のデスクワーク時の姿勢を思い浮かべると、ここまで極端ではないかもしれませんが、猫背や骨盤後傾の姿勢になっていることに気づかされます。
萩原:日常的にそのような姿勢をしていると、やはり体にとっては良くありません。人間は使った通りの体になるので、毎日30分以上同じような体勢を続けていたら、体がその姿勢に固定されていくんです。
萩原:1日の中で長時間やっていることといえば、寝ているか、仕事しているか、移動しているか、ですよね。だから仕事でデスクワークが中心なら、自然と前傾姿勢になる人が多いんです。紙を丸めると丸まって戻らないのと同じで、姿勢ってクセづけされてしまう。これが体の歪みの原因というわけです。
そうした姿勢って、本人にとっては「楽」だからついやっちゃうんですよね…。
萩原:そこはいいポイントで、悪い姿勢であっても、その人にとってはバランスが取れているから楽なんですね。だるま落としを思い浮かべてもらえばわかりやすいのですが、例えばこのイラスト。歪んでいるけれど絶妙なバランスの上で成り立っていますよね。
そうですね。いつ崩れてもおかしくないような形ですけど、バランスは取れています。
萩原:この人(ダルマ)にとっての悪いなりの最適なバランスなんです。人間は、本能的に脳を守ろうと筋肉が働くもの。歪んだ姿勢であっても必死に背中や首の筋肉を使い、頭を守ろうとするわけです。
なるほど。だから歪んでいようとも、むしろ歪んででも崩れまいとバランスを取ろうとするんですね。
萩原:はい、それも無意識にね。先ほども申しましたが、仮に歪んでいようと、日常的にとっている姿勢は体と脳に記憶されてしまうんですね。そして逆にそれを正そうとしても、窮屈に感じてしまうこともあります。楽な姿勢=歪んでいることの、弊害ですね。
悪い姿勢は、肩こりや腰痛の原因になるというのはわかるのですが、そのほかの体へのダメージはあるのでしょうか。
萩原:もちろんあります。体は入れ物のようなものなので、その形が崩れると中の内容物、つまり内臓が圧迫されることになるんですね。例えば、このように…(と言いながら、2リットルの空のペットボトルを捻り潰す)。
ううぅ…これが人の体だと思うと、ちょっと怖いですね。
萩原:このペットボトルは大げさですが、猫背になると呼吸器官で一番大切とされる肺や横隔膜が圧迫されます。酷い場合は、呼吸が浅くなります。そうなると、脳に酸素が行き渡りづらくなって、言ってしまえば“酸欠状態”となるわけですね。
酸欠状態と言っても息ができなくなるわけではないですよね?
萩原:もちろんそうですが、酸素の供給がうまくいかなくなるので、本来のパフォーマンスを発揮することが難しくなる。つまり悪い姿勢でデスクワークをしていると、作業パフォーマンスの低下に繋がります。
肩こりや腰痛などのわかりやすいマイナス症状とは別に、自分の意識が及ばないところでパフォーマンスが低下してしまうと?
萩原:ええ。悪い姿勢の状態が続くと、首が張って体から脳へ送る血液の流れが悪くなり、脳からの指令を体に送れなくなるんです。そんな大切な配管詰まりを作り出しているのが、自らの悪い姿勢というわけ。姿勢が悪いと起こるのは、肩こり、腰痛といった肉体的な症状だけではないんですよ。
そういう意味でいうと、多くのビジネスパーソン、オフィスワーカーは本来のパフォーマンスを発揮できていないかもしれないわけですね。
萩原:私はそう確信しています。さらにいえば、姿勢が悪いと、体がずっと緊張状態なんですね。その状態が長く続くと自律神経も乱れます。自律神経が乱れると、自分の意思とは関係なく内蔵を働かせてしまうので、体がいつまで経っても休まらない。姿勢が元で内臓の働きも悪くなるし、それが精神にも影響が及ぶこともある。実際、私が知りうる限り、多くのビジネスパーソンは必要以上に疲弊しているように思います。必要以上に体中の筋肉を使いまくり、呼吸も浅くなっているため、疲れやすく、そしてパフォーマンスの低下を招いているのです。
対処方法はないのでしょうか?
萩原:もちろんありますよ。まず大事なのは復旧作業。体は内臓や魂が宿る、いわば家のようなもの。そんな家が崩壊したら生活どころじゃなくなります。姿勢が悪い=倒壊を招く一歩手前の状態、というわけなんです。これを食い止めるには、正しい姿勢を習慣化する、これにほかなりません。ただ悪癖がついた姿勢を正すには、ちょっとした根気や意識が必要。そういう意味で、無理なく負担の少ない姿勢に自然と促されるUPTISは素晴らしいツールと言えますね。このデスクは正しい姿勢を習慣化する上で、大いに貢献してくれると思います。
毎日使うデスクが正しい姿勢を続けることに役立つのであれば、それは楽ですよね。
萩原:はい。健康を維持するためには予防が大切です。それに仕事のパフォーマンスアップの鍵は、コンディショニングアップにあると思うんです。これはアスリートもビジネスパーソンも同じ。スポーツアスリートは、パフォーマンスをあげるために試合前に必ずウォーミングアップをするし、試合後はクールダウンをしています。次の試合に向けてコンディショニングを整えているのに、“ビジネスアスリート”は何もしていない。
毎日使うデスクが正しい姿勢を続けることに役立つのであれば、それは楽ですよね。
萩原:ビジネスアスリートは毎日が試合とも言える状況でも、試合前も後もコンディショニングアップをしない。日々のコンディションを整えれば、毎日のパフォーマンスは上がります。だから日々のコンディションをUPTISのようなツールでよくできるのであれば、それはどんどん活用すべきだと思いますね。それに加えて、クールダウンすなわち、アフターケアも大事。長い時間仕事をしたら、是非ストレッチなどをして体をほぐしてください。このふたつをするだけで、パフォーマンスは全然違ってくると思いますよ。
デスクワークやオフィスでの過ごし方を少し見直すだけで、健康的にもなるし、パフォーマンス向上にもつながる。逆にいうと、今までの悪い姿勢のデスクワークのままだったり、アフターケアもしなければ、全く逆方向に歩を進めることになるかもしれないと。
萩原:そういうことです。結局、人間が地球上に生きている限り、重力には逆らえないんですよ。この基本を改めて認識していただきたいですね。その点、UPTISは重力に逆らっている部分が少ないから体への負担が少ないというわけです。このデスクの良さを実感できないとすれば、重力がない宇宙空間だけかもしれませんね(笑)。
萩原健史さん
株式会社all-win 代表取締役。整骨院経営や健康経営サポート、
からだコンサルなど、様々な健康事業を展開する。
本来の体の状態に戻すゴットハンドの持ち主と呼ばれ、5万人以上の体を治療。