開発者インタビュー

企画・開発の中心を担った
キーマンが語る、その裏側

Rooneyは、ワークスペースを持ち運ぶというコンセプトのもとに生まれたワークツール。バッグを開けばそのままワークスペースができあがる。そんなユニークな商品の開発にあたったのは、普段はステーショナリーではなくオフィス家具をメインに担当するチームでした。デスク椅子収納家具などを守備範囲とする彼らがなぜ、今、ワークツールの開発に挑戦したのか。ワークスタイルをどんなふうに変えたいのか。開発の中心を担った3人のキーマンに、その裏側を聞きました。

KEYMAN

1「今のワークスペース必要なこと」の先に
辿り着いた答え

普段はオフィス家具をつくる皆さんが
PCバッグの開発に取り組んだきっかけを教えてください。

林 :新商品の企画として動きはじめたのは、2020年の春先。新型コロナウィルス(COVID-19)がすでに大きな話題になっていましたが、1回目の緊急事態宣言が出るのはもう少し後のこと。オフィスに出社することが当たり前の状況でした。そのときに考えていたのが、個人収納の新しい形。これまでのように固定された保管場所ではなく、個人が自由に持ち運べて、好きな場所に保管できるようなことを開発しようとしていたんです。しかし、みるみるうちに新型コロナウィルスの感染者が増えて、緊急事態宣言が発出されました。テレワークが日常になり、多くの人がオフィス以外で働くようになりました。そんな状況を迎えて、進行していた商品企画のすべてを見直すような企画も出てきました。
そこで今回の3人が集まって、うんうん唸りながら考えたのが『持ち運べるじぶん空間』というコンセプト。それを実現するためにはどんな形がいいんだろうと試行錯誤した末に生まれたのが、Rooneyです。

その時点ですでに最終形の姿は見えていたんですか?

今髙 :コンセプトはほとんど変わっていませんが、デザインや素材、細かな仕様はまったく違っていましたね。特に機能的にはPCケースでありながらバッグ・イン・バッグとして使えて、PCスタンドにもなり、収納庫のようなロック機能もある。さらにスマートフォンや小型のタブレットを設置できる拡張スペースがバッグから飛び出したり……。振り返ると随分と欲張りなものをつくろうとしていました。

浅野 :初めは素材やつくりも、どちらかというと自分たちの得意な家具に近いものでした。持ち運ぶバッグとしては重いし、収納道具としての使い勝手も悪い。その上、機能が盛りだくさんで、格好悪いし、コストもかかる。社内での評価も散々でしたね。

2異分野への挑戦、コロナ禍
想定内は、ひとつもなかった

みなさんにとっては新しい分野への挑戦です。
難しさを感じる場面もあったのでは?

浅野 :同じものづくりと言っても、家具とステーショナリーは全然違っていました。たとえば、パーツとパーツをくっつけるとしても、家具なら溶接やビスで固定できる。でもバッグの場合はすべて縫製でなんとかしなければいけない。それも縫い目ができるので、どこにでもつけられるわけではない。ホームセンターで仕入れた材料で何度も試作したり、既製品のバッグを分解して研究したり。それでもわからないことはステーショナリーのチームに相談して……。毎日が勉強でした。

林 :何をすればコストが上がって、どうすれば下げられるのか。それを把握することも苦労しました。やりたいことを詰め込んでも気軽に買えない価格になってしまいます。何が正解なのか、いつも3人で話し合っていました。最終的には『持ち運べる』という原点に戻って機能を絞り込みました。試作品がシンプルになっていくにつれて、社内でも好意的な意見が増え、ようやく手応えを感じられるようになりました。

コロナ禍や緊急事態宣言は、開発に影響を与えましたか?

今髙 :実際にRooneyを生産している海外の工場に足を運べなかったのが辛かったですね。そんな状態でしたが、向こうの人たちも気を遣ってくれて、一つひとつのパーツがどんなふうに完成していくのか動画で撮影してくれたり、オンラインで担当者を紹介してくれたりしました。ニューノーマルな時代のものづくりを体験できた、いい機会だったと捉えています。

浅野 :ただ、やはり現場の人と直接話せないことはデメリットでもありました。伝言ゲームのような状態だと、こちらの意図が正確に伝わらない。そこでオーダーやリクエストはできるだけ詳細なイラストやテキストにして送り、『それをそのまま渡してください』というやり方に変えました。また、サンプルが僕たちの手に届くまで時間がかかるので、現地で試作が出来上がるとすぐに写真を送ってもらい確認するようにしました。しっかりとコミュニケーションを取れば、きちんと応えてくれるので安心して進められましたね。

3空間づくりへのこだわりを、
バッグの中へ。

バッグの専門家ではないからできたこともたくさんあったのでは?

今髙 :できあがったのはPCバッグのような形ですが、つくった僕たちとしては『これからの時代に最適なワークスペースを考えたらこうなった』という感覚です。もちろん、これまでの家具づくりで培ったノウハウも詰め込んでいます。チルトの角度、スマートフォンスタンドの位置など、さまざまな体格、身長差の人ができるだけ自然な動作でPC作業できるようにこだわりました。どこまでも家具っぽいアプローチでつくったツールと言えるかもしれません。

浅野 :クラウドファンディングで評判になっている多機能PCバッグなど、ライバルたちをたくさん調べましたが、Rooneyほどしっかりとつくり込まれたものはないと、今は自信を持っています。開発過程でつくった試作品は社内のメンバーにサンプルとして配布してたのですが、それを見た別の人間から『自分も欲しい』とリクエストをもらうことも。実際に使った人とその周りから評価してもらえるのは嬉しいですね。

いよいよデビューを迎えます。最後にメッセージをお願いします!

林 :RooneyはノートPCをどう収納するかよりも、どう開いて、どう働くかにフォーカスしたバッグ。それこそが、働く環境をずっと考えてきた、つくってきたコクヨが開発した意味だと思います。オフィス、自宅、カフェ、コワーキングスペースなど、どこでも働く時代がやってきました。会社のデスクに縛られず、自分に合った場所で効率的に働いて、いいアイデアやビジネスが生まれていく。Rooneyなら、きっとそのお手伝いができると信じています。

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