KOKUYO FURNITURE


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Product identity モノづくりに秘められた「モノ」語り

Vol.07 Leafline(リーフライン)

天板の開閉、走行性能、使用時の固定性、
配線機能、収納効率など、
様々な機能のついたフラップテーブル。
コストの限られた中、それら機能を整理し、
ユーザーにとって最も大切な
価値にフォーカスすることで、
提案性の高い製品を実現しました。

デザイン・開発担当
商品開発部 ア健太郎

設計・開発担当
商品開発部 新谷英之

価値の絞り込み

普及価格帯の製品では、限られた会議室空間を有効に活用するため、最も基本的な価値である、収納効率が重視される。空間設計部隊へのヒアリングや、会議室での使われ方観察などを行うなかで、そんなニーズがはっきりとしてきました。「スタックピッチのクラス最小化」、「天板開閉の軽さ」、この2つの価値をいかに高めていけるかが、製品開発のポイントとなりました。結果としては、スタックピッチ90mmという、フラップテーブルの中でも最もコンパクトなレベルを実現することができたのです。しかし、平均的なスタックピッチが120mm前後である中、100mmを切る価値を実現するには、発想の転換によって高い壁を飛び越える必要がありました。

2つの製品価値

スタックピッチのクラス最小化と天板開閉の軽さ

機能的制約

実現すべく決めた価値からは機能的な制約も生まれました。天板開閉の軽さを実現するための機構として、脚の付く位置や角度が固定され、その制約を踏まえたデザイン、設計を行う必要がありました。当初は、同等クラスでは一般的な、脚部をスチールパイプで構成したアイデアを展開していましたが、制約条件を満たそうとすると、どうしても不自然な形になり、うまくまとまりません。製造面や強度面でも無理が生じ、デザインを含め、そのままでは製品として成立するのに高い壁がありました。

発想の転換とブレイクスルー

そんな中で工場メンバーとも頭を悩ませているうち、一度今までの方向性をリセットし、どんな解決策があるか、ゼロベースで考えてみようという話になりました。必要な投資、製造技術、工場での生産性などを一から見直すうち、いっそアルミダイカストを採用した方が、製造効率や強度面、形状のまとまりもよいという発想の転換に結びつきました。このアイデアが、このプロジェクトで最も大きなブレイクスルーとなったのです。

廉価タイプの商品では、2本のパイプを溶接して脚を形作る、投資の少なくて済む方法が一般的ですが、その分、作業工数や製造精度を出すのに多くの手間がかかります。作り方のメリット、デメリットを捉え、固定概念を捨てて考えられたことが、この発想の転換につながりました。

さらに、価値を実現するには、様々な新しいアイデアが必要でした。棚が付いていてもスタックピッチを邪魔しないよう、天板開閉とともに収納される棚もそのひとつです。そんなアイデアを、チームメンバー全員で機能試作を囲み、それぞれの視点からアイデアを出しては検証を繰り返し、練り上げていきました。

天板開閉とともに収納される棚のアイデア

スチールパイプとアルミダイカストを組み合わせた構成。脚の高さを極力低く抑え、横からの人の出入りのしやすさに配慮

ワンランク上の品格

脚部にダイカストを使うことで、デザイン面でも飛躍的に進歩させることができました。パイプよりも自由な形状を実現しつつ、強度も担保できたのです。そこで改めて設定したデザインのポイントは、「説明的なデザイン」にならないこと。意匠イメージは、薄型スタックという特長から「フラットな」かつ「軽快な」イメージを設定しました。

既存製品のダイカスト脚を見ると、平行スタックのためのクランク状に曲がったダイカストにパイプが乗っているという、機能要件を満たすための説明的な構成が目立ちました。その構成を素直な形に整理し、いかに意匠イメージとして表現するかを検討した結果、パイプからダイカストまでが流れるようにつながった、ひとつの構成物に見える案を採用しました。

既存の平行スタックの脚形状

クランク状に曲がったダイカスト脚にパイプが乗っている構成。アルミダイカスト脚は、より高級なテーブルに使用されている

また、会議空間は、知識創造のための重要な場として位置づけられ、様々な新しい会議スタイルや会議空間が提案されていますが、廉価タイプの家具だけはコスト勝負になっており、旧態依然としていました。今後、新しい会議スタイル、空間として提案されることをふまえ、それに見合ったワンランク上の品格を実現すべく、全体のプロポーションからディテールの面形状まで、丁寧に形作っていきました。

初期スケッチ

パイプからダイカストまでが流れるようにつながり、
ひとつの構成物に見える案

切削モデルによる意匠検討

製品に仕上げること

詳細設計のフェーズでは、樹脂や板金、ダイカストなど、部材ごとの工場と綿密な打ち合わせを重ね、最終の寸法設定や金型データに落とし込んでいきました。金型工場や成型工場を飛び回り、ギリギリまで金型微調整を重ねるなど、最後の大切な詰めの部分も、チームメンバー全員が「絶対にいいモノができる!」というモチベーションを持って、仕上げてゆくことができました。

ダイカスト脚強度解析

強い力が加わった際に、どこに応力が集中するかを分析。
変形・破壊に至らないかどうかを検証

リーフラインは、デザイン、設計、工場がまさに一体となり、実現できた製品です。ここには書ききれないほどの、画期的なアイデアもたくさん詰まっています。使う人の働く環境や気分が心地よいものに変わり、長く愛されるスタンダードな製品になってほしいと願っています。