KOKUYO FURNITURE


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Product identity モノづくりに秘められた「モノ」語り

Vol.02 EPIPHY(エピファイ)

2007年1月 首都圏のオフィスビルの
新築ラッシュに伴い、貸会議室需要も増加。
ビルの内装に合う高級感と、
デザイン性にすぐれた
会議テーブルの開発が求められるなか
スタートしたエピファイ開発プロジェクト。
2004年にキャリア採用で入社して以来、
回転イスのデザインに携わってきた大木にとって、
会議テーブルのデザインは新たなチャレンジとなった。

EPIPHY デザイン担当
デザイン室 大木一毅

あたりまえのデザインを、白紙に戻してみる

初めて会議テーブルをデザインして感じたことは「やりようが無い!!」です。 会議テーブルにあって当たり前の「天板のフラップ」、「効率の良いスタッキング」という機能を追求していくと、ほとんど形が決まってしまい差別化が図れるのはせいぜい脚くらい。なんとか新規性を見出そうと、足元のパネルに今までに採用したことの無い素材や質感を与えたり、配線機能にこだわったりしてスケッチを描いていました。ところが描いても、描いても、なかなか「これだ!」と言うアイデアは出てきませんでした。自分でも納得のいくデザインが出てこないので無論、上司からのGOサインも出ません。 「もっと、本質的なところから考えないといけない・・・」思い切って今までやってきたことは白紙に戻し、発想をゼロからスタートさせることにしました。

足していく発想から、そぎ落とす発想へ

「会議室にふさわしいテーブルのあり方、存在感とは?」「何故、会議室のインテリアデザインのトレンドに自社の会議テーブルが役不足なのか?」 世の中に既に存在する会議テーブルを見て1番最初に感じたことは、天板とパイプ、幕板パネルいった部材の組み合わせ的な印象が強いと言うことでした。確かに天板がフラップしたり、効率よくスタッキングする機能が付加されているので、機能から来る形状を追っていけば、おのずとプラスしていく方向性のデザインになり、部材の組み合わせ的な印象になってしまいます。

そんなことを漠然と考えていた時に、ひらめいたのが、「空間を邪魔しない、1番シンプルな直方体の箱からカタチを削ぎ落としていったら?」という発想でした。すでにアルミダイカストを脚に採用する事は決まっていたので、アルミの塊を削り取ったり、曲げたりした様な造形を取り入れれば、金属の素材感を十分に活用でき、高級感も演出できると考えました。こうして、天板から配線ボックス、幕板パネルから脚へと面が流れていくような、エピファイ独特のフォルムが誕生しました。

●もっと空間をスッキリ見せる会議テーブルのあり方とは?

●初期段階スケッチ

●3D-CADによるレンダリングスケッチ

製品化に向けた、開発チームの一致団結

無事に本格的な開発スタートすることになり、まずは工場のスタッフへ今回の開発コンセプトを説明しました。その第一声は「カッコいい!是非スケッチのまま実現したいね。」という声。一気に現場も盛り上がり、設計も、試作品もほぼ順調に出来上がりました。いよいよ、量産に向けた設計に取り掛かろうと最終会議に試作品を出した時、大きな問題が発覚しました。

今回のポイントは、天板から脚へと流れるような面構成で、体感のあるデザイン。ところが、天板をフラップ(天板を起こす機能)させた状態から、使用する状態にするために天板を下ろすとき、脚と幕板パネルに出来る隙間に指を挟む危険性がある、と品質管理部門から指摘されたのです。「指を挟まないようにするために、幕板パネルと脚の間に隙間を設けてください。」安全性を考えると致し方ない指摘でした。しかし、このままでは一体感のあるデザインが実現できません。

●指を挟むと自動的にパネルがはずれる

そこで、脚から幕板パネルが離れ、指を挟んでしまう様な隙間が出来ないように、幕板パネルが脚に沿ってスライドする機構を工場に提案しましたがコストが合いません。一体感のあるデザインの実現を半ばあきらめかけていたとき、開発者と工場の設計者があるアイディアを出してくれました。それは、「指を挟んでしまったら、パネルが自動的に外れる機構」でした。しかもフラップさせる動作を、もう一度繰り返したら、外れたパネルがまた元の位置に戻るという優れもの。これなら隙間を設けずに一体感のあるデザインを活かすことができます。こうして課題もなんとかクリアし、一気に量産へと進んでいきました。

心を動かすデザインには人を動かすパワーがある

このプロジェクトは発想を転換することで、目の前の問題をクリアできた様に思えます。そして、開発に携わるチームのメンバーが「作りたい!」「このままのデザインで実現したい!」と思ってもらえるデザインを提示できたことで、チームの一体感が生まれ、その後の開発フローが上手く回ったと感じます。その結果として、グッドデザイン賞やドイツのiFデザイン賞を受賞し、不況下でも多くのお客様に支持していただけたのではないかと思います。
デザイナーは、それを使っていただくユーザーの生活が豊かになること、幸せになること、楽しく思ってもらうことなどを常に考えながら、目の前の問題に立ち向かい解決し、新しい価値を付加したりしながら商品を世の中に送り出そうとします。
今回改めて感じたのは、そんな理想的な商品をユーザーに届けるためには、開発チームのメンバーが「自分も作りたい!」と思ってもらえるデザインを提案することの大切さでした。開発メンバーも営業マンも「作りたい!」、「売りたい!」と思うような魅力的なデザインが出せて、商品化することができれば、ユーザーにもその魅力は確かに伝わるのではないかと思います。

●EPIPHY単品カタログ

単品カタログの表紙写真は
デザインでこだわった点のひとつです。
当初からスケッチに描いていた様に、
光と影のコントラストで魅せる造形を意識して
デザインしました。