KOKUYO FURNITURE


  1. HOME > 
  2. コンテンツ > 
  3. MO-RUM > 
  4. プロダクトアイデンティティ

Product identity モノづくりに秘められた「モノ」語り

Vol.01 ACTINA(アクティナ) for ACITVE WORKER

ACTINA ー それは2008年12月に始動した、
「モノづくりプロジェクト」から生まれた。
「モノづくりプロジェクト」とは、
同年11月にオープンした品川エコライブオフィスを舞台に、
開発プロセスの「見える化」を行い、
営業部門と協業しながらイスやデスクなどの製品を開発していく、
まったく新しいチャレンジのことである。

ACTINAデザイン担当
デザイン室 大木一毅

目指したのは、フリーアドレスに最適なイス

開発テーマは「フリーアドレスに最適なイス」。私たちイス開発チームは、まずフリーアドレスに隠された問題は何か、社内リサーチを行いました。すると、部署間のコミュニケーション低下、個人環境悪化などが挙げられました。その中でも、私たちはフリーアドレスが固定席よりも机上が狭く、荷物の置き場所が十分に確保されていないことに着目しました。そこで、この問題を解決し、社員のモチベーションが高まるような、快適な個人環境を提供するための新たなイスづくりを目指すことになったのです。

プロダクトデザインと空間デザインの協業

私たちは、“イスの座面下”に注目し、荷物を置く場所として活用する代わりに、スペース確保のためにロッキングメカの搭載を見送ることにしました。これは、フリーアドレスでは同じ席での長時間執務が少ないという判断によるものです。一方で、座の昇降機能に関しては、フリーアドレスだからこそさまざまな体格の人が利用するのだから外せない、と考えて残すことにしました。しかし、荷物スペースを営業職が使うような大きいカバンまで対応させようとすると、座の昇降機能に支障をきたしました。

カバンへの対応方法は、デザイン面でも大きなハードルとなりました。デザインの方向性が決まらず、チーム一丸となって来る日も協議が続いたある日、メンバーの一人である空間デザイナーの新居が、1枚のスケッチを見せながら発した一言が方向性を決定することになりました。
『フリーアドレスというアクティブな空間で使うんだから、軽快感が欲しい』
これを機に、思い切って発想の転換を図りました。イスでカバンの対応をすることにこだわっていたのをやめて、資料や小物の収納に特化したのです。そして、同じコンセプトで開発が進んでいたデスクチームと連携することで、同じ1つの空間で使われるプロダクトどうし、双方の完成度を高めていくことにしたのです。

Turning Point

●2本のフレームにより、メッシュを引っ張ることで、ハンモックの様な快適な座り心地を実現できないかと、空間デザイナーの新居が描いたスケッチ。 メッシュのため、座の下に荷物を入れたことを忘れにくいといったメリットがある。

プロダクトのあるべき姿に近づけるためのデザイン

機能の概要やデザインの方向が決まり、私たちイス開発チームが1つのプロダクトとしてまとめあげる段階へと進みました。今回、フォルムのコンセプトは「筒」。荷物をまるく包み込むようなフォルムを採用することで、「荷物を置くイス」ならではのデザインを引き出し、一目で「おっ!荷物を置けるイスなんだ」とお客様に理解してもらえるイスのありかたを目指しました。

●『筒』から荷物の出し入れに必要な出入り口を削り取っていくイメージ

この、包み込むようなまるいフォルムを実現するために私たちが採用したのは、アルミダイカストのフレームです。当初はコストを抑えるためにスチールのパイプと板で構造体を構成しようと計画していましたが、空間においた時の存在感を考え、アルミが醸し出す先進性と高級感を効果的に使いたいと考えました。メタル素材で緩やかに曲げられたフォルムで全体の流れを構成するアルミならではの手法は、イス自体の高級感の演出に大きく役立っており、私としてはエピファイ同様、これまでの家具には無い新しさが表現できたと自負しています。

ただ荷物が置けて使い勝手が良いだけではなく、このイスに座ったお客様が、やる気が出たり、仕事でのストレスが少しでも和らいだと感じていただいたのなら幸いに思います。不況が続くこんな時代だからこそ、ワーカーの感性を刺激するデザインが必要なのです。

●初期の3DCGと、座り心地確認のためのモデル

●最終の3DCGと、形状確認用のデザインモデル

今までとは違う開発プロセスがもたらした気付き

今回は前例の無いコンセプトのイスだったため、必要条件をどこで線引きするか、いかに機能を割り切るかが非常に難しいと感じました。特に、今回は開発プロセスのオープン化、営業部門との協業による開発ということで、さまざまな意見が飛び交い、その集約にあたっては本当に苦労しました。その反面、営業の前線にいるメンバーがチームに含まれていたり、ヒアリングもいつも以上に多く深く行うことで様々なことに気付かされ、私にとって非常に勉強になったプロジェクトでした。