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教科の枠にとらわれない"STEAM教育"で、未来を切り拓くチカラを育てる〜「聖徳学園中学・高等学校 13号館」事例レポート〜

東京都武蔵野市にキャンパスを構える「聖徳学園中学・高等学校(以下:聖徳学園)」は、個性・創造性・国際性を教育方針とする私立中高一貫校。2015年度入学の中学1年生から1人1台のiPad導入を開始するなど、先進的なICT教育で知られる同校に「13号館」が生まれたのは2017年春のこと。「Learning Commons」を中心に数々の特別教室を備えるこの空間では、ユニークな“STEAM教育”が展開されています。同校が、Science・Technology・Engineering・Art・Mathematicsの頭文字を取った“STEAM教育”に取り組む理由とは何か? 今回のレポートでは、その答えを探ります。

教科の枠を軽やかに飛び越える、聖徳学園の“STEAM教育”。

聖徳学園STEAM教育

MacBookやプロジェクターを駆使しながら堂々とプレゼンテーションする高校1年生や、ドローンやロボットを興味津々の様子で操作する中学1年生……。聖徳学園の13号館では、多彩な教室を活かしたさまざまな授業が展開されていました。いずれの授業も、生徒たちの生き生きとした表情が印象的。どの教室にも、絶えず生徒たちの声が飛び交っています。

 

とくにユニークだったのが、13号館の3階にある実験室「S-Lab 3」で行われていた中学1年生の授業でした。教室に配置された各テーブルでは、生徒たちが3人〜5人ほどのグループになり、iPadを使って映像作品を撮影・編集しています。教室を見渡せば、撮影した映像を入念にチェックするチームや著作権フリーの効果音をインターネットで探すチーム、撮影用の小道具を熱心に製作するチームなど、それぞれの作業に夢中で取り組む生徒たちの姿が。ある生徒からは「みんなで作品を作っていくのが楽しいです。もうすぐ作品の提出なので、放課後にも集まって作業の続きを進めます!」と言う声も聞こえてきました。活気にあふれた授業風景−−−−−−。しかし、ここでひとつの疑問が生じます。これはいったい、何の科目の授業なのでしょうか?

聖徳学園STEAM教育

「この授業は、『ICT』と『美術』の2教科が連動して行う中学1年生の授業です。生徒たちは2学期の授業時間を使って、チームごとに2分間のストップモーション・アニメーション作品を制作。光や音、フレーミングの技法といった美術的な要素を学ぶ一方、iPadを使って撮影や編集を行うことでICTのスキルを養うこともできます。『13号館』で行われる授業では、従来の教科の枠にとらわれない学びを積極的に行っています」とは、同校の情報システムセンター長の横濱友一先生。

 

聖徳学園STEAM教育

教科の枠にとらわれない学び。そのコンセプトとなるのが“STEAM教育”なのだと横濱先生は続けます。

「STEAMとはSience・Technology・Engineering・Art・Mathematicsの頭文字を取った概念のことで、一般的には理数系教科に力を入れる教育方針と理解されています。ただ、私たちが目指す“STEAM教育”は少しニュアンスが異なっていて、各分野が重なり合う部分にこそ大切な学びがあるのではないかと考えています」(横濱先生)

これからの社会に必要な“課題解決力”を養うために。

聖徳学園STEAM教育

聖徳学園では、中学生の「ICT」や高校生の「情報」といった授業時間を軸に、“STEAM教育”に力を入れています。たとえば、映画制作の授業は、アートとテクノロジーをクロスオーバーする内容。また、ドローンやロボットを操作するためには、マスマティックスやエンジニアリングの知識も必要です。同校では、こうした授業を多角的に行うことで、総合的にSTEAMをカバーすることを目指しているといいます。

 

「たとえば高校1年生の『情報』の授業のひとつに、プレゼンテーションをテーマにしたものがあります。この授業では、『1画面に使える画像は1枚のみ。文字は10文字以下』、『プレゼンテーションの時間は3分以内』といった具合に制約を設け、本当に必要な情報を精査することを意識づけしています。良いプレゼンテーションを行うためにはICTツールを使ったリサーチや資料制作はもちろん、聴衆とのコミュニケーションをデザインしていくことも必要。つまり、教科としての『情報』には『美術』や『国語』のエッセンスも含まれているのです」と、学校改革本部長の品田健先生は話します。

 

さまざまな学びの要素を行き来しながらで展開される「情報」の授業は、生徒にも大好評の様子。「今日はどんな授業になるんだろう?」と期待に胸を膨らませて教室にやってくる生徒が増えたといいます。

 

「これまでの教育では、教科ごとの知識を生徒に教えることを重視してきました。ただ、教科で区切ってしまったことで伝えられなかった大切な部分もあると思うのです。実際、世の中にある課題は、理科や数学、技術といった教科の知識だけでは解決できないことばかり。分野にとらわれない大きな視点で問題の本質を見定め、さまざまな知恵を使って解決の糸口を探っていく……。中学生や高校生のうちからこのような経験を積むことは、これからの社会を生きていくうえで大きな糧になるはず。生徒には、『情報』の授業を通じて身につけたスキルや思考法を、他の教科や今後の人生に役立ててほしいですね」(品田先生)

 

聖徳学園STEAM教育

“STEAM教育”を実践する学びの場として。

聖徳学園STEAM教育

さて、柔軟な発想で設計された“STEAM教育”を展開する聖徳学園。同校の学びを象徴する空間が、13号館の1階に広がるLearning Commonsです。自由なネットワーク配線を可能にするOAフロアや可動式のデスクやチェア、大型プロジェクターやホワイトボードなどを備えたこの教室の特長は、授業内容や目的に合わせて変更できるフレキシビリティ。生徒の学びや生活にフィットする空間となっています。120脚ものチェアを備えたLearning Commonsは、最大4クラスが同時に授業を展開できる広々とした空間。各クラスの生徒や教員が、それぞれ互いの授業に刺激を受けながら学ぶこともできるといいます。もちろん、グループワークやプレゼンテーションなど、さまざまな授業スタイルを展開できることもポイントです。

 

「目まぐるしいスピードでテクノロジーが進化し、社会が変化してゆく時代だからこそ、『今、生徒にとって必要な授業』を展開することが大切だと考えています。そのためには、年間カリキュラムをただ追いかけるのではなく、授業を常にアップデートさせていかなければいけません。即時性のあるニュースを題材にした講義を行ったり、最新のツールを使ってワークショップをしたり、第一線で活躍するエンジニアや大学教員を招いてプレゼンテーションをしてもらったり……。“STEAM教育”を進めるほどに感じるのは、授業コンテンツも学びの空間もどんどん変化していくということです」(横濱先生)

 

フレキシビリティの高いLearning Commonsは、変化を続ける “STEAM教育”に適した空間。放課後には生徒たちに開放され、自習やグループワークなど、さまざまなアクティビティが行われているともいいます。教室の柱には生徒が自主的に作成した「可動式チェアの使用ルール」に関する張り紙が貼られるなど、すでに聖徳学園に欠かせない学びの空間となっていることがわかります。

 

「先生や生徒が『今、やりたいこと』を叶えられる自由な空間であることが、一番大切だと思っています。そのために広いスペースがあり、可動式のデスクやチェアなどのツールがある。今後も自由な学びを加速させる空間として活用していきたいですね」(横濱先生)

 

“STEAM教育”の実践の場として機能するLearning Commons。この新たな学びの空間では、今後どのような授業が行われていくのでしょうか。社会の“今”を見据え、柔軟な発想で多彩な教育コンテンツを“発明”する同校の挑戦から、ますます目が離せません。

 

 

 

2017.11.25
ICTの"ワクワク"で、生徒のモチベーションと創造性を育む〜「城北学園 城北中学校・高等学校 iRoom」事例レポート〜

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