コクヨファニチャー株式会社
コクヨの教育空間

「ラーニングコモンズは学びの場になっているか?」 イベントレポート

2016年12月10日「ラーニングコモンズは学びの場になっているか?」と題したセミナーを開催しました。大学において「ラーニングコモンズ(以下、LC)」と呼ばれる自学自習空間は定着しましたが、その運用は様々なスタイルが見受けられます。今回のセミナーでは、LCの実態について、コモンズに従事されている方々より、運用の成功・失敗事例を生の声として頂き、参加者の皆様へ還元させて頂くことを主旨としました。当日ご参加いただいたのは教育関係者33名。セミナーの最後にはワークショップも行われ、LCに関心のある教職員から図書館司書、経営に携わる方まで、異なる視点を持つ出席者の方々より、貴重なご意見が集まりました。

ラーニングコモンズの最前線から届く運用者の本音

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最初の登壇者はLCの第一人者である中央大学の小山憲司先生(上写真 左)。黎明期から現在に至るまでのLCの変遷、海外と国内の事例比較、展開に当たっての課題などを、さまざまなデータとともに解説。ICTの活用が日常となり、他者とのコミュニケーションを通じ知識を深めることが求められる近年の学びの場において、従来の図書館では十分に果たしてこられなかったLCならではの役割が、明確に示されました。教員から一方的に伝えるのではなく、学生の主体的な学びへと変わりつつある大学教育。その中心的役割を果たすのが、能動的学習の場たるLCである。そのようなお話を通して、LCの重要性が出席者の方々の間で再認識されました。

 

続いては、先進的LCとして注目を集める千葉大学より、まずは小野永貴先生(上写真 右)が登壇。「千葉大学附属図書館アカデミック・リンク・センター」を例に「学習空間」「コンテンツ」「人的支援」という三つの柱の重要性をお話いただきました。とくに千葉大学で重視されるのは、学生の学習ニーズとのマッチング。そのためにアンケートや定点カメラから赤外線センサーまで、実に多様な分析調査を実施されています。続いてお話を引き継がれたのは、実際に分析調査を担当されている千葉大学職員・谷奈穂様(上写真 中)。詳細な分析方法とその結果の具体例を通し、LCを学生がどのように利用しているのか、どんな環境を必要としているのかを説明していただきました。お二人の話に共通したのは、LCはただ設置して終わりではなく、運用方法こそが重要であるということ。分析を通して日々ブラッシュアップされる、柔軟なLCの運用をご提案いただきました。

 

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その後は、創価大学の池ヶ谷浩二郎様(上写真 左)からのお話。2013年9月に設置されたLC「SPACe」が、開設3年を経て、学生にどのような学習支援が提供され、利用数が増加しているかを臨場感溢れるプログラム中の撮影動画とともにご紹介いただきました。学生の声(特に女性の視点)を聞き、居心地の良い空間作りにこだわったポイントなどのご紹介により、出席者の方々は具体的な運用について学ぶ点が多くあった様子。中でも多くの出席者の関心を集めたのは、「楽しく学び語学力を伸ばす語学学習プログラム」における学生スタッフ(留学生、留学経験者)との協働のお話でした。学生数8000名の創価大学で一日当りの利用者2000名という高い利用率の秘訣について、包み隠さずご紹介いただきました。

 

最後のプレゼンテーションはセミナー会場となった立正大学品川キャンパスのLC「RiLL Port」について。まず設置の経緯と過程、変遷について立正大学職員の島田貴司様(上写真 中)よりお話いただきました。続いて空間設計とその狙いについて、コクヨ株式会社・齋藤悦子より説明しました。最後には実際の活用状況とその効果について、立正大学文学部哲学科の木村史人先生(上写真 右)の発表。とくに「RiLL Port」を積極的に利用して教育に活かす木村先生のお話は、「学びが動的に、アクティブになる」というLCの効果のみならず、「周知が不足している」「学生のニーズに対応しきれていない」という課題の提言にまで及びました。

 

異なる立場、異なる視点からLCに携わる4組7名のプレゼンテーション。最前線から見る現場の具体例を交えたご説明は、今後ますます普及が加速するLCの魅力とともに、解決すべきこれからの課題を浮き彫りにしました。

ワークショップでラーニングコモンズの本質的課題に迫る

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登壇者の方々の個性豊かなプレゼンテーションの後は、中央大学・小山先生のファシリテーションでワークショップが開催されました。出席者の皆様には、事前にLCについて日頃感じていることを伺いました。赤い付箋には成果、青い付箋には問題点や課題を、それぞれご記入いただき、ホワイトボードに掲示しました。その後のワークショップでは、同様の課題を持つ方を中心に、「授業との連携」「LCのルール」「LCの利用率」「学内組織との連携」「活動内容」の5つのグループに分かれ、その課題への解決策を議論していただきました。ここでは最先端のラーニングコモンズである、立正大学「RiLL Port」の本領を発揮。可動式の一人用デスクは、瞬く間に議論に最適なグループ学習仕様へと姿を変えました。議論においても、さすがは教育の場で、実際にLCに携わる方々。5つの課題について、次々と解決の糸口が見つかりました。「利用率増加のためにオープンキャンパス段階から周知を徹底」「学生の生活圏と近い場所(例えば学食等)をLCにして学内連携を強化する」など、短い時間のなか、白熱の議論が交わされました。

ラーニングコモンズの重要性と課題を再確認

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セミナーの最後は、登壇者の方々よりイベントの総括。「ラーニングコモンズという箱に、機能性という魂を込めていく。そんな気持ちが大切」(立正大学・島田様)、「利用率が低いということは学習ニーズとの適合性が低いということ。授業との連携を通して、新たな学習ニーズを創出することも必要」(千葉大学・小野先生)、「学生は卒業して入れ替わっていく。今使われているLCが1年後も利用されるとは限らない。学生に直接意見を聞くことを続けてもらいたい」(千葉大学・谷様)、「リピーターを増やすためには、居心地を良くすること。学生の声を取り入れつつ改善を続ける」(創価大学・池ヶ谷様)、「利用を強制するのではなく、促すこと。そのためには教員にも課題は多い」(立正大学・木村先生)といったお話をいただきました。

 

師走の土曜日というご多忙な時期にも関わらず、参加された皆様より沢山の熱のこもったご意見を頂戴し、大変有意義な時間となりました。「他校の同じ立場の参加者と課題を共有できた」というご感想もいただきました。次回開催の糧とさせていただきます。

 

ご参加いただいた皆様、立正大学様、本当にどうもありがとうございました。

 

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