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学びの空間とICTを駆使し、問題解決の力を育む~「豊島区立 目白小学校」事例レポート~

学習院大学や川村学園、日本女子大学などが点在する文教地区の一角に位置し、都心ながら緑豊かな環境に建つ「豊島区立 目白小学校(以下:目白小学校)」。2014年に全面改築が行われた同校では、フレキシブルな教育空間と最新のICT機器を活用した様々な学びが行われています。今回は、アクティブラーニングへの先進的な取り組みで注目される公立小学校の事例をレポートします。

自ら問題を設定し、解決する。その楽しさを伝えたい

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大きな吹き抜けを中心に、クラスルームや特別教室などの学びの空間が配された目白小学校の校舎。廊下を歩いていると、教室と廊下を仕切る可動式間仕切りを開け放った教室から、児童たちの活気溢れる声が聞こえてきました。教室を覗いてみると、向かい合わせにした机越しに話し合う児童やタブレットPCを片手に調べ物に専念する児童、ノートに文字を書き込む児童の姿も。授業の内容を観察していると、今学期に秩父での移動教室を予定している4年生が、事前の下調べをしている様子です。

 

「総合的な学習の時間を使って、児童たちが自ら興味のある題材を選び、移動教室に向けてそれぞれのテーマに即した下調べを行っています。インターネットで情報を集めたり、図書を調べたり……。今の児童たちは、インターネットのまっただ中にいる世代。ネットと本を垣根なく行き来しながら、必要な情報を調べることがとても上手ですね。ただ、これらの授業を通じて伝えたいのは、自ら問題意識を持ち、現地でそれを検証することの楽しさ。空間もICTも、そのための道具立てに過ぎないと考えています」とは、大野一美副校長。

 

その言葉の背後にある、目白小学校ならではの教育哲学とはどんなものなのでしょうか。

 

単なる知識ではなく、体験に根ざした知恵を

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大野一美副校長

 

「目白小学校では代々『心豊かに 学び豊かに』という教育目標のもと、知・徳・体を育む学校教育が行われてきました。なかでもここ数年の課題として考えているのが、授業などで得た知識をいかに児童自身の知恵として定着させられるかということです。先ほどの4年生の授業が象徴するように、自ら問題意識を持ち、身をもって検証することで、知識は生きた知恵となって児童自身のものになるのだと思います。こうした学びを進めることで、21世紀に求められる主体的な問題解決力を育みたい。新しい校舎は、そんな学びを支える環境として機能しています」(大野副校長)

 

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2014年に改築したばかりの目白小学校には、学校教育の今後の可能性を感じさせる空間的工夫が散りばめられています。全館に整備された無線LAN環境、必要に応じて開閉できる教室の間仕切り、約70台を揃えるタブレットPC、パソコン教室と図書室が一体となった学習・情報センター……。ただし、こうした最新の設備は、あくまでも自ら学ぶ力を身につけるための舞台。目白小学校では校内でのディスカッションや校外でのコミュニケーションなど、実体験を通じて生きた知識を身につけることを重視しています。

 

「たとえば手軽に携帯できて映像や画像を記録できるタブレットPCは、校外学習と非常に親和性の高いツール。4年生の移動教室だけでなく、3年生の理科の校外学習や高学年の社会の校外学習などにも積極的に持ち出しています。また、タブレットPCで制作した映像や資料を発表するプレゼンテーションでは、各教室に設置された短焦点プロジェクターが活躍しています。1年生が『箒の使い方』をタブレットPCで撮影してプロジェクターで教室の仲間と共有したこともありました。また、学習情報センターでは、可動式の椅子やテーブルを活用することで、グループワークやディスカッションも円滑に実施できています。一方で、模造紙や黒板といった昔ながらのツールにも、掲示や書き直しのしやすさといったメリットがある。大切なのはデジタル・アナログの垣根にとらわれずに最適なツールを選択し、主体的・協同的に学ぶ楽しさを教えること。そうすれば、未知の問題にぶつかった時、子供たちは自ら考えて行動できるはずです」(大野副校長)

教員も日々勉強。理想の学びのために

デジタルとアナログを行き来する、目白小学校ならではのアクティブラーニング。豊島区の平成26・27年度の研究推進校に指定されていた同校では昨年、協同的な学びをテーマにした研究発表会を開催。都内外から300名もの教育関係者が訪れました。もちろんこうした研究活動は継続中で、現在も様々な取り組みが行われています。たとえば、2016年6月に各教室に導入された『コの字型』の机の配置もそのひとつ。

 

「黒板に向かって前向きに並ぶ従来の配置だと、どうしても教員と児童が向き合う形になるので、児童同士の言語活動が活発になりにくい。そこで今年から教室の中央を挟んで児童が向き合う『コの字型』を教室の基本形として取り入れています。もちろん教員は、タブレットPCやプロジェクターを活用しながら、教室を自由に動きながら授業をします。『コの字型』の教室を使ってどのように児童間のコミュニケーションが加速できるのか。現在は、その成果を検証しています」(大野副校長)

 

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効果的なアクティブラーニングを実現するためには、教員の日々の研鑽が欠かせないと大野副校長は続けます。

 

「アクティブラーニングのひとつの理想型として思い描いているのは、子供たちと一緒につくっていく授業です。教員は指導者であるとともにファシリテーターの役割を担い、子供たちは自ら問題を見つけ、自分たちの方法で調べ、考えていく。ただ、こうした授業を展開するためには、われわれ教員が日々勉強しなければいけないと思っています。児童が答えに辿り着くまでじっくり指導する忍耐力も必要ですし、児童のモチベーションを高めるマネージメント能力も問われますから、大変です(笑)。ただ、そんな学びがたくさんできるような学校にしていくことが、我々の目指すべきことなのだと考えています」(大野副校長)

 

最新の校舎とデジタル・アナログにとらわれない教育ツール、そして日々新たな学びを模索する教員の情熱……。目白小学校の取り組みは、公立小学校が目指すべきひとつの方向性を指し示しています。

 

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