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学び続ける力を育む、学修支援の拠点~「玉川大学 大学教育棟2014(ラーニング・コモンズ)」事例レポート~

約61万㎡もの広大な敷地面積を有し、幼稚部から大学院までひとつのキャンパスに集う玉川学園。8学部17学科に約7500名が学ぶ「玉川大学」に「大学教育棟2014(以下:教育棟)」がオープンしたのは2015年4月のことでした。目的や用途に応じて使い分けられるフレキシブルな空間と、学生の学びに寄り添うサポート体制を兼ね備えた、新たな学修支援拠点の取り組みをレポートします。

考え、対話し、表現する。多彩な学びを実現する空間

「玉川大学」の新たなシンボルともいえる教育棟を歩くと、2階の図書館の個室学修スペース「Cubicle」でレポートを作成する大学3年生や、3階のラーニング・コモンズにある「ワークショップ・ルーム」でプレゼンの練習に励むグループ、4階の「サポート・デスク」で学修支援を受ける1年生の姿などが見られました。

 

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取材時は試験前ということもあって、全1040席ある座席は、7割以上が利用中。特に3階のラーニング・コモンズは大盛況でした。可動式の勾玉型テーブル3台を組み合わせて資料作成に取り組むリベラルアーツ学部の3年生は「授業の空き時間を利用して、国語の模擬授業用の教材を作っています。ここは、机が広くとれるので便利なんです。グループで模擬授業の練習をする時は、ガラス張りの『カンファレンス・ルーム』を使うこともあります」と教えてくれました(写真左)。また、ホワイトボードを使いながらダイナー型テーブルでディスカッションをする教育学部の3年生は「この夏にボランティア活動で行うキャンプイベントの企画を考えています。ダイナー席はとても落ち着くスペースなので人気が高い。今日はこの席が取れて良かったです」と笑います(写真右)。

 

「授業に関わる学修はもちろんですが、クラブ活動やボランティアなども、学生にとっては成長の機会。空間の使い方をルールで縛るのではなく、できるだけ学生の自主性に委ねたいと考えています」とは、玉川大学教学部教育学修支援課の山崎千鶴課長。考え、対話し、表現する――――。教育棟では、実に多彩な学びが行われていました。

「1日8時間大学で過ごす。快適に学べる空間」を叶える、玉川大学の新たなシンボル

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中央に開放的な吹き抜け通路を持つ7階建ての教育棟は、1~2階を85万冊もの蔵書を収めた自動書庫や個別学習スペースを備える「図書館」(写真上)、3~4階を学修支援のサポートデスクやガラス張りのカンファレンスルーム、ダイナー型テーブルなどの多様な空間が揃う「ラーニング・コモンズ」、5~6階を「講義室フロア」、7階を「研究室フロア」として利用。ラウンジやカフェスペースなども備え、学びの目的や用途に応じて学生が使い分けられるフロア構成となっています。

 

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「教育棟のコンセプトは、『1日8時間大学で過ごす。快適に学べる空間』。大学設置基準では、授業と授業外学修を合わせて1単位45時間の学修時間が定められており、4年間で124単位を取得するには1日およそ8時間の学修が必要となります。本学では、授業と授業の間にあえて空き時間を設ける時間割構成を採用。さらにシラバスに授業外学修についても詳しく掲載するなど、1日8時間の学修を推進する環境作りを目指しています。教育棟はそれらを実践する場なので、個人学修やグループ学修、討論など、さまざまな学びのスタイルに対応できる柔軟性が必要。余白のある空間に可動式のデスクやチェアを配置することで、学生が『こういう学びをしたい』という思いを、叶えられる空間であることを目指しています」と山崎課長。その言葉を物語るように、ラーニング・コモンズ(写真上)には実に多様な学修の場が散りばめられていました。

 

教育棟は、正門とキャンパス内の各校舎を結ぶメインストリートの役割も果たしており、隣接する『朔風館2階(Cafeteria Sakufu)』では授業期間中『100円朝食』を継続的に実施。多くの学生にとって教育棟は、キャンパスライフの起点のような場所。年間利用者数は、リニューアル前の図書館に比べて2.2倍にも上ると山崎課長は続けます。

専任教員を、学びの伴走者に。充実の学修支援体制

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さまざまな学びの空間を備える教育棟ですが、ソフト面でも学生の学びを支えるための工夫が行われています。その象徴ともいえるのが、充実する学修支援体制です。教育棟の3階には「ITのサポート・デスク」があり、専門の教員や「ICTプロフィシエンシー検定」3級以上の資格を持つ学部生がスタッフとして常駐。また、4階の「学修支援のサポート・デスク」では、専任・非常勤の教員と大学院生のTA(Teaching Assistant)が学修支援を行っています。

 

「授業の合間の時間を使ってここで学修する学生にとって『学びの流れを止めない』ことは、非常に重要なポイント。本学では学生全員が個人用PCを持参し学内ネットワークに接続する『MyPC』の活用を進めているため、ITのサポートは欠かせません。また、学生が課題やレポートの進め方などで悩んだ時にアドバイスを受けられる学修支援のサポートも、学びを支える大切な要素のひとつです」と山崎課長は語ります。

 

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TAやSA(Student Assistant)が学修支援を行う大学は多いですが、玉川大学では文科省の「大学教育再生加速プログラム(通称:AP)」を活用して採用された2名の専任教員が学修支援における中心的な役割を担っています。月曜日から金曜日の10時から19時および土曜日の11時から17時の時間内は、基本的に専任もしくは非常勤の教員が学修支援のサポート・デスクに常駐。アカデミック・スキルズの学修支援を行っています(写真左)。

 

「学修の基礎となる『話す』、『書く』、『聞く』、『読む』技術についてアドバイスするのが、アカデミック・スキルズの主な支援内容です。最も多いのは、レポートの書き方に関する相談ですね。『大学に入ったばかりで、レポ-トにどう手を付けて良いのかわからない』という1年生から『卒論の質を高めたい』という4年生まで、さまざまな学生がいます。学修支援で心がけているのは、単に答えや知識を教えるのではなく、学生とともに考えて試行錯誤する"伴走者"であること。どのように思考し、学ぶべきなのかを身をもって感じてもらえればと考えています」とは、学修支援のサポート・デスクの専任教員のひとりで、同校学術研究所高等教育開発センター助教の鈴木美穂先生(写真右)

 

アカデミック・スキルズの利用件数は、昨年度5月から3月までで800件以上。学生の伴走者としてひとつひとつの課題に向き合うため、長い時にはひとつの相談に1時間以上を費やすこともあるそうです。サポート・デスクに相談に来ていた農学部の3年生は「課題のプレゼンテーションに使う写真の引用方法などを相談に来たのですが、悩んでいたことが解決しました。過去に何度もサポート・デスクのお世話になっていますが、課題で悩んだ時や壁に当たった時には、とても心強い存在ですね」と話します。

学び続けるチカラを、育むために。

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ハード・ソフト両面において、学生の学びを支えるための仕掛けや工夫が凝らされた教育棟。その根底に流れるのは「生涯学習の基礎となるチカラを育みたい」という想いだと山崎課長は話します。

 

「知識はいつか必ず古くなるものですから、学生一人ひとりが成長していく過程で大学時代に学んだことが役に立たなくなることもあるでしょう。そんな時に必要なのは、"自ら学び、新しいものを身につけるチカラと意欲"です。だからこそ、『話す』、『書く』、『聞く』、『読む』というアカデミック・スキルズが必要ですし、個人学修や討論、グループ学修など、さまざまな学修スタイルを体験することも大切。もちろん、学生の"伴走者"として『どのように学んでいくか』を指し示す学修支援も大きな役割を果たすでしょう。ラーニング・コモンズで得た経験が、生涯学習のモデルケースとして学生のなかに残るのではないかと思います」

 

知識を授けるだけではなく、生涯学び続けるための土台を作る―――。教育棟には、幼稚部園児から大学院生までがひとつのキャンパスに集い、自学自立に力を注ぐ玉川学園ならではの理念が宿っていました。この空間で悩み、対話し、議論を深める学生たちの活き活きとした姿こそが、この空間にアクティブラーニングが根付いているなによりの証です。

 

 

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