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ICTの"ワクワク"で、生徒のモチベーションと創造性を育む〜「城北学園 城北中学校・高等学校 iRoom」事例レポート〜

東京都板橋区に広大なキャンパスを構える「城北学園 城北中学校・高等学校(以下:城北学園)」は、1941年に創立した中高一貫の男子校。「着実・勤勉・自主」を校訓とし、都内屈指の進学実績を実現してきた同校に、新たな学びの空間が登場したのは2017年4月のことでした。グループワークに適したホワイトボードやテーブル&チェアをはじめ、iPad ProやApple Pencilなどのツールを用いたクリエイティブな授業が展開されるアクティブ・ラーニング専用教室「iRoom」をレポートします。

iPad Pro、Apple Pencil、ホワイトボード……。多彩なツールを使い、主体的に学ぶ

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「起立、気をつけ、礼、静座」−−−−−−。伝統のかけ声で中学2年生の総合学習の授業がスタートすると、アクティブ・ラーニング専用教室「iRoom」には生徒たちの声が飛び交い始めました。3人?6人ごとにグループ分けされたテーブルでは、ホワイトボードに意見を書き出したり、iPad Proでプレゼンテーションの資料作りを進めたり、椅子を動かして一箇所に集まって議論したり……。やがて教室は、さまざまなアプローチでグループワークに臨む生徒たちの熱気に包まれていきました。

 

「今回の授業は、情報モラル啓発アプリを使い、ネットリテラシーを学ぶ全3回構成の授業です。最初の授業では生徒一人ひとりがアプリを通じて『ネットいじめ』や『ネット依存』といった問題にふれ、2回目の授業では前回の内容についてグループでディスカッション。3回目の授業では、各グループによるプレゼンテーションと相互レビューを行う予定です」とは、同授業の設計を行い、城北学園のICT活用を主導する井上昭雄先生。

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なによりも驚いたのは、生徒たちがiRoomに用意された多彩なツールをとても楽しそうに使いこなしていること。ホワイトボードに書き込んだメモをiPadで撮影する生徒や、Apple Pencilでメモを取りながら意見を交わすグループ、iPadにインストールされた授業支援アプリ「ロイロノート」を使って資料を共有するチームなど、多彩なツールを使い分ける様子が、実に生き生きとしています。

 

「iRoomには直感的に使えるツールが多く、生徒たちは楽しみながら“文房具”として上手に使ってくれています。一斉講義型の授業だとなかなか集中力が続かないのに、この教室に来ると積極的に議論を引っ張るというタイプの生徒もいます。ICTツールを使ったアクティブ・ラーニングは、生徒のモチベーション向上に大きな役割を果たしています」(井上先生)

 

教室のあちこちから生徒の声が飛び交い、活気に溢れるiRoomでの授業。各ツールの使い方や課題へのアプローチなど、授業に関わる多くのことが生徒の自主性に委ねられていることも印象的です。

 

「生徒の自主性を尊重するのは、彼らのクリエイティビティや表現力を最大限に引き出してあげたいからです。今回の授業では、教室内を立ち歩くことも、雑談をするのもOK。要所要所で声をかけながら、自由にディスカッションできる場を作ることを心がけています。もちろん、授業内容の設計や資料作成などの事前準備には徹底的にこだわっています。良いコンテンツを作り、生徒を動かす言葉を的確に届ける。アクティブ・ラーニングも通常の授業も、教える力が求められることは変わりませんね」(井上先生)

“雰囲気”、“利便性”、“流動性”にこだわる学びの空間

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2020年の教育改革とその先の未来に向けて、ICTを使ったアクティブラーニングを積極的に推進する城北学園。その象徴ともいえるiRoomには、生徒が1人1台使えるiPad ProやApple Pencilをはじめ、大型モニターやプロジェクター、勾玉型の可動式テーブルや移動式のホワイトボードなど、さまざまなツールが用意されています。では、この空間はどのような考えから設計されたものなのでしょうか。

 

「これからの時代に必要とされる主体性や思考力、表現力を育むためには、生徒がワクワクし、好奇心を持って学んでいくことが大切。城北学園では、ICTを『ワクワクするためのツール』だと考えています。iRoomの役割は、ICTが持つワクワクを空間的にサポートすること。主体性を引き出すための“雰囲気”づくりや、ツールや空間の“利便性”、さまざまな学びを受け入れる空間の“流動性”を追求して設計されています」とは、城北学園のOBでもあり、教育・ICTコンサルタントとしてiRoomの設計や授業開発に関わる株式会社FlipSilveliningの福原将之さん。

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かつてのLL教室をリノベーションして造られたiRoomを見渡せば、福原さんの言う“雰囲気”、“利便性”、“流動性”へのこだわりが随所に見て取れます。たとえば、緊張感を持ちながらもリラックスできる“雰囲気”を演出するために、チェアの配色や床・天井などの内装色にこだわっています。また、Wi-Fi+CellularモデルのiPad Proを導入している点は、“利便性”を象徴するポイント。Wi-Fiの接続トラブル時にも安定して利用でき、野外にも持ち出せる同モデルは、ICTを活用した授業になくてはならない存在。通常のタブレットに比べてコストは高いものの、十分に価値があると言います。さらに、可動式のデスクやチェア、ホワイトボードを採用することで、個人学習からグループワーク、セミナーなど、さまざまな学びに対応する“流動性”を確保していることも見逃せません。

 

「教室に入った時に感じる非日常感だったり、最新のICTツールに触れた時のワクワクだったり……。空間やツールには、学びを変容させる力があります。生徒が能動的に学び、クリエイティビティを育む。iRoomがそんな空間になれば、と思っています」(福原さん)

教科を横断した学びで、クリエイティビティを育む

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iRoomの空間設計と並行して進められたのが、新たな教室のポテンシャルを最大限に活かす授業コンテンツの開発でした。

 

「学問と真摯に向き合い、入試科目をしっかりと学べることは昔から変わらない城北学園の良さ。一方で、変化する時代に対応するためにも、各教科の枠だけにとどまらない学びを提供することも必要だと考えています。iRoomで行われるアクティブラーニングは、そんな新しい学びの可能性を切り拓くものだと考えています」(井上先生)

 

井上先生や同校ICT委員長の清水団先生、教育・ICTコンサルタントの福原さんが中心となり、試行錯誤しながら作りあげたコンテンツは実にユニークです。たとえば生徒が自分の「選挙ポスター」を作る授業は、クリエイティブなキャッチコピーを作る発信力とデザイン的な表現力を育む授業コンテンツ。また、各種メディアに載っている恣意的なデータを見抜く授業は、グラフや統計の分析を行う数学だけでなく社会的な知識も求められる授業となっています。このほかiRoomでは、ビジネスシーンで用いられるPREP法やSDS法などの「プレゼンテーション・文章技法」を学び、ディスカッションを行う授業なども展開。いずれもiPad ProやApplePencilを使いながら、既存の授業とは異なる視点や切り口で、論理的な思考力やクリエイティブな表現力を育むことを目指しています。

 

「新しい授業コンテンツを設計するプロセスは試行錯誤の連続で、まるで教師生活1年目の苦労を再び味わったような感覚でした(笑)。ただ、iRoomでのアクティブラーニングをきっかけに、生徒同士でのディスカッションやプレゼンテーションが以前より活発に行われるようになったことは大きな収穫。ここでの授業だけでなく、ホームルームや通常の授業でもホワイトボードや付箋メモを使いながら議論する生徒が増えたことに手応えを感じています。これからは、知識だけでなくコミュニケーション力やクリエイティビティが問われる時代。今、身につけた能力は、生徒の今後の人生にとっても大きな力になるはずです」(井上先生)

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2020年の教育改革を前に、ICTを活用した新たな学びに挑戦する城北学園。こだわりのツールと学習空間を活かし、ユニークな教育コンテンツを展開する同校の取り組みは、今後の教育の在り方を考える上で大きなヒントとなるでしょう。

 

2017.10.16
新校舎建設と働き方改革の両輪で挑む"変わる近大"~「近畿大学 東大阪キャンパス」事例レポート~

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