コクヨファニチャー株式会社
コクヨの教育空間

"Fab"なものづくりで、教育家具が変わる!? 「教室の進化論-小学校の家具は3Dプリンタで進化する-」 イベントレポート

2015年9月4日・5日、10月7日の3日間にわたって開催した「Ready Make-a-thon 教室の進化論-小学校の家具は3Dプリンタで進化する-」。コクヨの教育家具に3Dプリンタでつくったアイテムを付け加えることで、教育家具の新たな可能性を探るワークショップイベントには、世代もスキルも異なる約15名のクリエイターが参加。「学びが楽しくなる教育家具」をテーマに、既存の教育家具を3Dプリンタで“Hack”するワークショップで見えてきたもの。それは、教育家具をめぐる多様なアイデアと気付き、そしてオープン・イノベーションという方法論が持つ、大きな可能性でした。

3Dプリンタを使って小学校の家具を”Hack”!

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2015年9月4日・5日、10月7日の3日間にわたって行ったワークショップイベント「教室の進化論-小学校の家具は3Dプリンタで進化する-」。その名の通り、3Dプリンタを使ったアイテムを付加することで、既存の教育家具の可能性を拡張するのが目標。当日は、多彩なバックグラウンドを持つ約15名のクリエイターが参加しました。

 
全3日間のワークショップでは、参加クリエイターがコクヨの教育家具(1.スクールセット※サイズ固定式、2.スクールセット※サイズ可動式、3.教卓、4.折りたたみイス、5.図工室用スツール)のいずれかを題材に選び、3Dプリンタを使ったオプションやアタッチメントを考案。互いに意見を出し合いながら実際にプロトタイプを制作し、「学びが楽しくなる教育家具」の新たなカタチを模索しました。最終日となる10月7日には、参加メンバーによるプレゼンテーションが行われ、既製品と3Dプリンタ技術を組み合わせた多彩で斬新なアイデアが次々と登場。厳正な審査の結果、優秀作品も決定しました。

クローズドからオープンへ。新たな視点が、これからの教室をつくる。私たちが“メイカソン”をはじめた理由。

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「時代がめまぐるしく移り変わるなかで、教育家具は何十年も変わらなくてもいいの?」、「課題解決型のものづくりのほかに、できることがあるのでは?」、「空間や家具が変わることで、学び方はもっと自由になれるはず」――――。「教室の進化論-小学校の家具は3Dプリンタで進化する-」を企画した背景には、いくつもの思いがありました。

 
直接のきっかけは、凸版印刷株式会社が主催する「Ready Make-a-thon(レディ・メイカソン)」との出合いでした。「Ready Make-a-thon」は、さまざまなクリエイターが集まり、意見を出し合いながら短時間でプロトタイプをつくるというイベント。凸版印刷の田邊集さんが、「3Dプリンタを使って、既製品プラスαで何ができるのかを考えるのが『Ready Make-a-thon』。0から1ではなく、1から“?”を生み出すイメージです」と話す通り、3Dプリンタという“Fab”なツールを使い、オープン・イノベーションで既製品の形状を“Hack”することが特徴です。
 
教育家具というある意味で究極の既製品を使った、オープン・イノベーションなものづくり。そんな新しい試みに挑戦することで、クローズドな環境では見えてこないアイデアや課題、ものづくりの新しいプロセスにふれることができるのではないか。それが、私たちが「教室の進化論-小学校の家具は3Dプリンタで進化する-」を企画した最大の理由です。

教室はみんなの原体験!多彩なアイデアが生まれた2日間

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さて、ここからはイベント当日のレポートをご紹介します。

 
初日は、ワークショップに必要な情報のインプットです。参加クリエイターのみなさんには「Ready Make-a-thon」の概要や楽しみ方に加え、学校教育や教育家具についての現状や課題など、アイデアの材料となるさまざまな情報が伝えられました。教育家具が何十年も変化していないこと、他社との差別化が難しいこと、安全性やコスト面の重要性、教育家具が学びの空間に与える影響のこと……。具体的な情報にふれたクリエイターのみなさんは、驚いたり、深く納得したり……。誰もが使用したことのある”教室“という空間がテーマだけに、それぞれの情報をすんなりと飲み込めた様子。これらのインプットをもとに、「どんなモノをつくりたいか」を考えておくことが、ワークショップ2日目に向けた“宿題”です。
 
2日目は前日のインプットをもとに、それぞれのアイデアをシートに記入。それをグループで共有しながら、アイデアをブラッシュアップしていきます。グループワークが行われるテーブルでは各クリエイターの実体験に基づいた意見が飛び交います。誰もが自分の“原体験”として持っている空間がテーマだけに、議論は白熱。単なるモノにとどまらず、「教育空間とはどうあるべきか」ということにまで話題が発展します。各テーブルにはコクヨの社員も2名ずつ参加しましたが、「学校のテーブルといえば、腕相撲」「椅子を乗り物にしたい」……など、会議室や開発の現場では決して出ることのない新鮮な着想に一同驚かされるばかりでした。
 
午後は、実際に手を動かしてのソロワーク。3Dプリンタを使ってのお試しプリントをはじめ、紙粘土やPC、木工……など、それぞれのアプローチでプロトタイプづくりを進めていきます。そして、最後に中間報告として各自の作品をプレゼンテーション。十人十色のアイデアの発表に、会場が熱気と笑いに包まれます。

スニーカーを履いた机!?机が楽器になる!?受賞者発表の最終日

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前回のワークショップからおよそ1カ月。3回目のワークショップとなる10月7日は、参加クリエイターによるプレゼンテーションと審査、授賞式が開催されました。参加クリエイターはこの日までに、3Dプリンタで出力したプロトタイプとプレゼンテーション用ポスターを自主制作。各自が持ち時間の5分+質疑1つを使って、順番に作品を発表していきます。審査員は、参加クリエイターも含むこの場にいる全員。審査のポイントは「学校で使ってもらえそう!」(マーケティング視点)、「話題になりそう!」(メディア視点)、「学びが楽しくなりそう!」(教育視点)の3つ。各自が苦労してプロトタイプを制作してきただけに、審査する目にも自然と力が入ります。
 
この日発表された作品は、実に多様性に富んでいました。机に小さな植木鉢をつくるためのアタッチメントや、机自体を弦楽器として利用するためのアイテム、インタラクティブな授業をサポートするアプリケーションとシステム……など。最優秀賞を獲得した佐藤さんの「ツクエスベール」をはじめ、いずれもハイレベル。それぞれの実体験に根差した、自由で発想と軽やかな飛躍に満ちた作品が続々とカタチになっていて、およそ一カ月でつくり上げたとは思えないクオリティの作品に驚かされました。
 
参加したクリエイターのみなさんからは「他の人の思考のプロセスを知れて面白かった」、「教育家具、というテーマでものづくりを考えたことがなかったので楽しかった」といった意見などが。クリエイター同士の横のつながりも生まれ、和やかな雰囲気のまま3日間のワークショップは幕を下ろしました。
 
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《最優秀賞》

佐藤翔一さん
「ツクエスベール」
机の脚につけるポップなスニーカー型のアタッチメントを3Dプリンタで出力。シンプルながら遊びゴコロと実用性に富んだ作品。
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《審査員賞》

皆川めぐみさん
「小さな世界」
ロープやフラッグを机や椅子に固定するアタッチメント。教室をある種の“舞台装置”と見立てるコンセプチュアルなアイデア。
 
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《コクヨ賞》

渡辺仁史さん
「Deg Jig」
図工室の椅子につけるシンプルなアタッチメント。45度、60度という正確な角度でノコギリを使える極めて実用的で精度の高い作品。

ふわふわとした場からきっと未来は生まれてゆく。

多様性を信じるものづくりの大切さ

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3日間に及んだ「教室の進化論-小学校の家具は3Dプリンタで進化する-」。この新たな試みは、私たちにさまざまな気付きを与えてくれる経験となりました。

 
たとえば、教育家具の価値について。今回参加してくださったクリエイターのみなさんは、20代~50代と幅広い年齢層で、もちろんそれぞれのバックグラウンドも違います。けれど、教室や教育家具というテーマを前にすると、自らの思い出や愛着、懐かしさともにアイデアを活き活きと語ってくれました。教育家具はみんなの“原体験”であり“共通言語”。その価値を再認識できたことは、大きな収穫です。
 
また、クローズドではなくオープンなものづくりを進めることの大切さも強く感じました。教育とは異なる分野で活躍するクリエイターたちのアイデアは、自由でユーモアに満ちていました。もちろん、それらのアイデアがすべてイノベーションや商品につながるわけではありませんが、多様な意見にふれることによって、教育家具の変わるべき点、変えるべきでない点が浮かび上がるのだと思います。“Fab”なツールを使ったオープン・イノベーションなものづくりは、今やメーカーとして無視できない大きな流れとなっています。その世界観を肌で体感・検証できたことも、今後のものづくりやビジネスの糧になるのだと考えています。
 
「教室の進化論-小学校の家具は3Dプリンタで進化する-」というワークショップイベントは、一見ふわふわとした場のようにも感じられます。けれど、メーカーとクリエイターがつながり、ゼロベースでものづくりを考える。こういう弾力性のある場が、これからの未来をつくっていく。「教室の進化論-小学校の家具は3Dプリンタで進化する-」は、そんな予感に満ちたイベントとなりました。

《Information》

【テーマ】 

学びが楽しくなる教育家具
 
【使用する教育家具】
1.スクールセット(サイズ固定式) 2.スクールセット(サイズ可動式) 3.教卓 4.折りたたみイス 5.図工室用スツール
 
 【日程】
DAY1: 2015/ 9/ 4(金) 19:00-21:30
DAY2: 2015/ 9/ 5(土) 10:00-18:00 
DAY3: 2015/10/ 7(水) 19:00-21:30
主催:凸版印刷株式会社、コクヨファニチャー株式会社
協賛:XYZプリンティングジャパン株式会社
会場:KREI Salon http://www.krei-project.com

 

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