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横浜市立富士見台小学校 職場環境改善プロジェクト 「Work Style × Work Place Seminar Ⅱ」イベントレポート

2017年2月、横浜市立富士見台小学校にて「Work Style × Work Place Seminar Ⅱ」が開催され、横浜市内の小中学校の教職員をはじめ多くの教育関係者が参加されました。セミナーは同校とコクヨが取り組んできた職場環境改善プロジェクトの事例報告を中心に進められ、本プロジェクトにアドバイザーとして携わるコクヨ(株)WORKSIGHT LAB.主幹研究員の齋藤敦子が講師を務めました。

環境が変われば意識が変わる、意識が変われば働き方が変わる

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富士見台小学校校長 須貝広幸氏(左)/コクヨWORKSIGHT LAB.主幹研究員 齋藤敦子(右)

セミナー第一部の冒頭では、須貝広幸校長が「横浜市内の小中学校全体に働き方改善の取り組みが浸透すれば、セミナーで発信するという負担を負う本校の教職員にとっても、他校に異動した際にメリットになります。そんな思いで、今回のセミナーの開催を決めました。本校の取組の成功・失敗事例を発信することで、他校が働き方改善に取り組むきっかけになれば幸いです」と挨拶しました。

 

続いて、コクヨ(株)WORKSIGHT LAB.主幹研究員の齋藤が「働き方を支える、環境改善の取り組み」と題して講演し、働き方と働く環境の関係性や、働き方改革の先進的な事例などを紹介しました。続いてテーマは、現在富士見台小学校が取り組んでいる3つの活動「机周り整え方プロジェクト」「色々な会議のやり方プロジェクト」「職場改善プロジェクト」の中間報告へ。富士見台小学校は本活動の一環として教職員が民間企業を訪問し働き方のヒントを得る「大人の遠足」を実施。2016年夏、コクヨ霞が関ライブオフィスを見学したときに紹介された「オフィスカイゼン委員会」は、「職場改善プロジェクト」として職員室でも実践されることになりました。今回のセミナーでは各プロジェクトリーダーを努めた先生方自身からこれまでの成果と課題と今後の課題についての発表も行われました。

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「『机周り整え方プロジェクト』では、机周りを整えるクリーンタイムを設け、個人の物を共有化することで"個人商店化"を防ぎ、書類や物を探す時間を減らすことを目指しました。見た目はきれいになり、物を共有することに抵抗感がなくなったものの、浸透させるためには課題も残り継続性も重要だと思いました」
プロジェクトリーダー:荒井信孝先生(上記写真左)

 

「『色々な会議のやり方プロジェクト』では、劇的に会議の時間が減るなどの成果は出せませんでした。取組を通して見えてきたのが、教職員の会議に対する認識にバラつきがあるということ、また、当事者が会議の良し悪しを評価できず、達成感や満足感が得られにくいということです。来年度も継続して取り組んでいきたいと考えています」プロジェクトリーダー:本安尚人先生(上記写真中)

 

「『職場改善プロジェクト』は、コクヨのカイゼン委員会をヒントに活動し、職員室が抱える問題についてチームで話し合い、具体的に改善をしていきました。みんなからアイデアを吸い上げる方法やアイデアを実現する予算などが今後の課題として上がっています」
プロジェクトリーダー:鈴木容子先生(上記写真右)

 

それぞれのプロジェクトリーダーの発表を受け、齋藤からは「職場や働き方の改善は、3ヶ月やってみて振り返ることが重要。さらに習慣化させていかないと戻ってしまう。継続するためには、アイデアを出していくことに加え、取組に対する評価・検証をしっかり行うことが大切。」とプロジェクトを継続・発展させる重要性を語りました。

 

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ワークショップの様子

その後は参加者全員によるワークショップが行われ、「職場環境における課題・困りごと」や「働き方を変えるためのアイデア」についてグループごとに活発な意見交換が行われました。横浜市の小中学校の教育関係者やPTA、横浜市役所の職員、企業関係者も入って活発な議論が交わされました。
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参加者に説明をする場家誠副校長(写真左)

続くセミナー第二部は、職員室見学会。参加者たちは富士見台小学校の先生方に積極的に質問をしたり、写真やメモなどの記録をとったりと、熱心に見学されていました。職員室中央にはスタンディングデスクとフリーアドレステーブルがあり、日常的なコミュニケーションが起こりやすいレイアウトになっています。

「職場環境」から働き方改革にアプローチ

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富士見台小学校主任事務主事 上部充敬氏

セミナー終了後、本セミナーならびに同校の職場環境改善プロジェクトを学校側の中心として先導してきた主任事務主事の上部充敬氏にお話を聞きました。

 

プロジェクト始動の背景には、多忙化に伴い教職員のコミュニケーション機会が減ること、また、それによりチーム力が低下することへの危機感があったと言います。

 

「当時は、個人がたくさんの仕事を抱え込んでしまい、多忙感が募っていました。どうしても自分の仕事で精一杯になると、いわゆる"個人商店化"してしまいます。これが進んでいくと、それぞれの教職員が持っているスキルや知識が職場内に共有・継承されず、より多忙感が募っていく状況が容易に想像できました」(上部さん)

 

教育の質向上を継続していために、一人ひとりが個性を活かしながらチームとして働き、充実感を得られる働き方へと変えていく必要があると感じた当時の校長や上部さん。働き方を変えるために、まずは教職員の意識を変えようと考えましたが、意識というのは一朝一夕では変わりません。そこで、「職場環境を変える」というアプローチを取ることにしたのです。

 

まず取り組んだのが、職員室のレイアウトの変更です。
たくさんの民間企業の取り組みを参考に、動線やコミュニケーションのとりやすさを考慮しつつ、より働きやすい環境作りを意識したレイアウトを実現。空間を「個人や学年の場所(Study)」、「管理職の席(Manager)」、「教材置き場・発信の場(Library)」、「学年を越えた話し合いをする場所(Cafedio)」、「情報の貯蓄場所(Labo)」と分け、目的に応じて使い分けられるようにしました。また、レイアウト変更に加え、グループウェア「ミライム」を活用することで、教職員間の連携がスムーズになっただけでなく、ミライム上での意見交換も行われるようになりました。さらに、2015年度に開催した「Work Style × Work Place Seminar Ⅰ」のセミナーをきっかけに、書類や物品を整理する「クリーンタイム」を導入。よりスマートな働き方を意識できるよう改善していきました。

 

その結果、教職員の働き方にも変化が見られました。中央に配置したミーティングテーブルやハイテーブルなどの共有スペースの周りには自然と人が集まり、忙しい中でもコミュニケーションが生まれています。特に、齋藤からのアドバイスを受け、中央の共有スペースの機能強化のために設置したハイテーブルは、設置後1週間で全教職員の8割が使用するという盛況ぶりでした。また、ファイル収納を工夫することにより情報共有や書類検索もスムーズになり、時間短縮にもつながりました。

 

 

人を思いやる気持ちが、継続的な改善につながる

学校現場は働き方改革が進みにくいとされている中で、富士見小学校の事例は注目を集めています。今回のセミナーにも、横浜市内の小中学校の教職員をはじめ、文部科学省や横浜市教育委員会からも担当者が参加されました。

「忙しくても業務は問題なく回っていたのだから、働き方改革なんて不要だ、という雰囲気や抵抗感も少なからずありました。しかし、外部に発信し、外部から評価をいただくことで、こうした内部の認識にも変化が起こりました。また、自分たちの労務環境の改善となるとなかなかアイデアが出ないのですが、職場改善のヒントを得る場としてコクヨのオフィス見学ができたこと、齋藤さんはじめコクヨの社員の方々にアドバイスをいただけたことは、大変勉強になりました」(上部さん)

教職員の意識は少しずつではあるものの着実に変わっていると、上部さんは感じています。こうした意識・働き方改革の「成果の見える化」も、今後の課題のひとつです。

「実践しなければわからないことが多いですし、実践した後の方がたくさんの意見をいただけます。職場を、意識を、働き方を改善できると信じ、失敗を恐れず、まずは行動に移してみることが大切だと思います。須貝校長からも、『改善に取り組む人たちみんなが、"あの人の課題を解決するために何ができるか"という思いやりの気持ちを持つことが大切』との言葉をいただきました。人を思いやることが、今後の働き方改善継続のポイントなのではないかと感じています。もう一つ、業務改善に取り組むうえで忘れてはならないのが、すべては子どもたちの豊かな学びを支えるために行っていることだということ。本校の取組は、楽して働いて早く帰宅することを目指しているのではありません。様々なライフステージにいる教職員が、また、多様な職種の教職員が、限られた時間のなかで、教育の質向上を図るために活発なコミュニケーションをもとに働いていくにはどのような環境や仕組みがあれば良いかを考え、実践しているのが本校の取組だと思います。この思いをブレずに持ち続けることが何よりも大切だと思います」(上部さん)

富士見台小学校では、これまでの取組を、「インフラ整備・強化期」、「情報の共有化期」、「コミュニケーション活性化期」、「ひびきあい期(イノベーション期)」という発展モデルとして体系化しようとしています。他校から異動してきた教職員が、これまでの取組を踏まえた上でさらなる働き方改善に努められる環境を整えることが目的です。また、「ひびきあい」という言葉は、同校の学校教育目標の中にある言葉です。子どもたちだけでなく教職員同士も「ひびきあう」ことで、教育の質のさらなる向上を図ろうという思いを込めて、発展モデルの最終段階に「ひびきあい期」を設定しているのです。発展的な未来を見据えた同校のさらなる進化に、注目が集まります。

 

 

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富士見台小発展モデル(仮)

●イベント概要
「Work Style × Work Place Seminar Ⅱ」
?環境が変われば意識が変わる、意識が変われば働き方が変わる?
日時:2017年2月3日(金)
場所:横浜市立富士見台小学校
主催:横浜市立富士見台小学校、コクヨ株式会社、株式会社ミライム、横浜市教育委員会事務局 教育政策推進課
〈タイムスケジュール〉
◆第一部
15:27 オープニング
15:30 校長挨拶
     (横浜市立富士見台小学校校長 須貝広幸氏)
教育政策推進課挨拶
     (横浜市教育委員会事務局教育政策推進課主任指導主事 熊切隆氏)
15:40 ワークスタイル ワークプレイス セミナー
     ((株)コクヨWORKSIGHT LAB.主幹研究員 齋藤敦子)
16:38 文部科学省からのお話
     (文部科学省初等中等教育局参事官付運営支援係 永井美季氏)
終わりの言葉
     (横浜市立富士見台小学校副校長 場家誠氏)
◆第二部
16:50 職員室見学会

 

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