自治体庁舎とユニバーサルデザイン

3回 3要素その(2)・動線

 2つ目の要素は動線です。そもそも、動線とは何でしょうか?"動線"とは、目的地へ向かう際に辿る経路を指します。庁舎を利用する人が総合案内やサインで目的の窓口を確認し、移動しようとする時、様々な利用者とすれ違います。また車イス利用者や目の不自由な人、子ども連れなど、必要な通路の幅や歩く速度はひとそれぞれです。ユニバーサルデザインな自治体庁舎を実現するためには、利用者の動線に配慮することが重要なのです。動線を設計する際は、(1)距離 (2)通路幅 をそれぞれ最適化する必要があります。

(1)距離:まっすぐ・最短距離がベスト

 基本的に、目的地まで最短距離で行くことができ、かつまっすぐであることが重要だと考えます。というのも高齢者の方などは長い距離を歩くと疲れてしまうでしょうし、杖を頼りに歩く目の不自由な方などは通路がくねくねしていたり、また障害物があったりすると非常に危険だからです。

(2)通路幅:メイン動線は幅をしっかり確保する

 一般的に、歩行者が歩く際に必要な通路幅は600mm程度と言われています。一方、車イス利用者ではそれよりも広く900mm程度必要だと言われています。つまり、車イスの人が通る通路においては最低限でも900mm確保する必要があるということです。しかしこの程度の幅では、車イス利用者と歩行者がすれ違うことは難しいです。

UDcolumn_vol03_inline.jpg

 多くの人がすれ違う通路(これをメイン動線と呼びます)では、車イスと歩行者、あるいは車イスと車イスがすれ違うことができるよう、通路幅を広く取ることが求められます。1500mm程度確保できると車イス利用者と歩行者がぶつかることなくスムーズにすれ違うことができ、1800mm程度確保できると車イス利用者同士快適に行き来が可能になります。限られたスペースにおいて全ての通路を広くすることは難しいですが、メインの動線だけでもすれ違いができるように配慮することがユニバーサルデザインにつながります。

 距離と通路幅を最適化した際に、もうひとつ気をつけるべきことがあります。それは、家具で動線をふさがないということ。例えばエントランスから窓口に行くまでのメイン動線上に記載台を設置してしまうと、窓口に向かう人・出て行く人と、記載台で申請書類を書いている人がぶつかってしまうなどの危険性があるからです。基本的に、動線は交錯しないように設計することをおすすめします。

職員にとっての動線計画

 ちなみに、職員に対する動線の配慮も上記同様です。障害者差別解消法(正式名称「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」平成28年4月1日施行)の施行により合理的配慮が求められる中、車イスを利用している職員がどの部署に所属したとしても、快適に業務を行えるようにするには、ユニバーサルデザインの視点で執務空間の動線を設計することが重要です。

(作成/コクヨ)

コラム一覧へ戻る