【特別連載コラム】地方自治体職員の"働く場"のこれから

2回 働く場のコンセプトワークの必要性意識を変える助走期間

京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 デザイン・建築学系 仲隆介教授

-西予市のオフィス改革モデル事業では、職員が参加するワークショップを約1年かけて行われたということでしたが。

仲教授:これはとても重要なプロセスです。意識改革の面で働き方改革に後ろ向きになっている人の気持ちをほぐす作業期間でもありますし、働く場に対してのコンセプトワークにもなります。なるべく多くの職員に参加してもらい、職員自ら『どんなオフィスにするか』を考えてもらいました。というのも、職員が自らオフィスを考えるというプロセスがなければ、結局のところ腹落ちしないからです。新しいオフィスがなぜそうなったのか、分かっている人とそうでない人では、場の活かし方や工夫の仕方に大きく差がつきます。

-これまで使ったことがないレイアウト空間や什器、ツールに突然変わったら、使い方をもてあましてしまうことも多いと想像されます。

オフィスは工夫して使うもの

仲教授:どんなオフィスも、場が全ての状況をカバーできるわけではありません。ですから、時と場合によって工夫して使う必要が出てきます。特にABWを導入しているので、ここでどんなことができるのか、知っておくほうが活用できる。自分が行おうとしていることにふさわしいレイアウト空間を把握し思い描いて、そこに何かを持ち寄ったり、什器を動かしたりして働きやすくする。オフィスが設計された目的がきちんと腹落ちできていれば、それぞれの空間を上手く活かし、また早く上手く工夫できるのです。

ワークショップはインターバルが大事

仲教授:もう1つ、このワークショップは長いスパンで行うことにも意味があります。数日間集中して行っても意味がありません。ワークの後、通常業務に対応する中で、「そういえばあのときあんなこと言われていたけど、確かにこうなるとどうかな」などの気付きが生まれ、気持ちに少しずつ変化が起こります。インターバルを開けて何度も繰り返すことにより、新しい働き方への意識が醸成されて、意識改革が定着するのです。
 こちらのコンセプトワークは、部門を超えて行われます。どんなことを課題に考えているか、さまざまな部門の職員がさまざまな意見を持ち寄り、コミュニケーションにより徐々にお互いの理解を深めていきます。オフィス改革によって、今まで縦割り組織で決められた席で働いていた職員がある日、その日その日で場所を変えて働くように変わるのです。ワークスタイルの変化をスムーズにするには、長期スパンで行われる職員主体のコンセプトワークが新しいオフィスや新しい働き方を受け入れる準備期間となり、意識を変えていく必要不可欠なプロセスなのです。建築家や我々の考えるオフィスデザインが何故必要なのか、どういった理由で自分たちに有効なものになるのかが腹落ちした上で、自分たちが新しいオフィスを作ったという実感がないと、改革は風土として根付きません。

(作成/コクヨ)

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